【2020年最新版】地方創生/地域活性化おすすめ本15選-入門書, 事例集, 専門書等-

少子高齢化、人口減少、財源不足、中心市街地の空洞化、多様な人々の共生、災害など社会課題/地域課題だらけの日本を生きる私たち。2014年にこれらの課題を解決し日本全体の活力を高めることを目的に掲げられたのが「地方創生」でした。

いつの時代も「地域活性化」「まちづくり」「地域づくり」「ふるさと創生」などさまざまな言葉で地域を元気にする活動は表現され鼓舞されてきました。しかし多くの地域が常にその取り組みに失敗し負のスパイラルから抜け出せない、それが日本の地方がここ数十年歩んできた道のりだったように思います。

今回の「地方創生」も過去の失敗と同じ1つの事例となるのか、それとも真の地方創生を達成するのか。この記事では巷にあふれる地方創生/地域活性化本の中から、さまざまな地域に実践者として関わり現在は地域に関する研究も行う筆者が選んだおすすめ本を紹介します。

入門書から研究者向けのものまで広く紹介していますが、全体的に意識して「わかりやすく」「すぐに安価に手に入る」「最近の本」を中心にピックアップしました。ぜひ参考にし購入し日々の取組に生かしてみてください。(なお内容は適宜更新していきます。)

地域再生の失敗学|飯田泰之, 木下斉他

成功するために必要なのは成功事例を知ることではなく、過去の失敗事例とそのパターンを知り同じ轍を踏まないことである、そんなコンセプトのもとに注目を集める経済学者、実業家、政治家、研究者が議論した内容をまとめた1冊。人口減少を前提とした地域の再編成と、そこにしかない強みを武器にした真の地方創生/地域活性化のための条件を探る議論は迫力満点で学びに溢れています。

地方創生の正体|山下祐介, 金井利之

地方創生が掲げられて1年後に出版された本書では、社会学者の山下祐介氏と行政学者の金井利之氏が地方創生の問題点を対談形式で明らかにしています。どうして国策として地方創生が推し進められることになったのか、地方創生に根本的に潜む問題は何か、国の狙いは何かなどいま1度考えるべきテーマが取り上げられています。盲目的に「地方創生=良いこと」と考えている人こそ、読んでおくことをおすすめする1冊です。

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則|木下斉

高校生のときに学生社長として注目され一橋大学商学研究科を終了し、現在まちおこし業界の風雲児と呼ばれる著者木下⻫が、地域ビジネスで利益を生むための心構えから具体的な事業のつくりかた、回し方まで、これからの時代を地方が生き抜く方法を「10の鉄則」としてまとめた1冊。厳しくも優しい言葉と体験を交えたわかりやすく胸に刺さる木下節が、いつも通り炸裂している1冊。

老いる家 崩れる街|野澤千絵

人口は減少し空き家の数も年々増えているにもかかわらず、都市部では高層マンションの建設ラッシュが続いており、地方では田畑を壊して新築向けの宅地造成が進められています。筆者がデータや実例をもとに冷静沈着に「住宅過剰社会」というキーワードを軸に、日本の「家」と「街」の課題を明らかにしていくこの本は、不都合な真実を暴くホラー本ともいえます。

「空き家」「都市計画」に関心がある人にとっては必読書であり、地方創生に興味関心が無くても今後の住まいについて悩んでいる人は読んでおくべき1冊です。

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること|河合雅司

ベストセラーとなった本書はこれから約100年の間に日本でどんな社会問題が起きるのか、どのような状況になっていくのかを検証していく1冊。将来予測の中でも予測通りにいく可能性が高い人口をベースに、人口減少社会が直面する問題を冷静にわかりやすく解説しています。地方創生/地域活性化に関わる人だけでなく、ビジネスマンや学生も読んで損はない人口減少社会の教科書です。

地方創生大全|木下斉

大全と銘打っているだけあり、本書では地方が抱える問題を「ネタ」「モノ」「ヒト」「カネ」「組織」の5つに体系化。28の「問題の構造」を明らかにし、明日から取り組める具体的な「再生の方法」を提言しています。他の本と比べて厚く書名も仰々しいため一見すると手を伸ばしにくいですが、文字は大きめで平易な言葉でわかりやすく書かれているので入門書としてもおすすめ。小室直樹『危機の構造』にも通ずる日本が抱える闇を明らかにしています。

地方暮らしの幸福と若者|轡田竜蔵

豊富な社会調査データから、地方暮らしの幸福に注目が集まる時代を検証した1冊。これまで地方創生/地域活性化や地方移住と若者を結び付けて語られた言説を検証したうえで、多様な地方暮らしの若者のリアルを「幸福度」「生活満足度」「地域満足度」といった指標から解き明かしています。学部~大学院で地方創生/地域活性化・地方移住などを研究したい学生は必読です。

SDGsの実践 ~自治体・地域活性化編~|村上周三他

専門的な視点から約10名の執筆者が地域におけるSDGsを解説している1冊。専門性を重視しているので、はじめてSDGsに触れる人や地域にあまり接点がない人には難しい内容かもしれませんが、今後は地方創生/地域活性化にもSDGs的視点は求められてくるため、思考のアップデートのために読んで損はありません。

付録として「自治体SDGsチェックリスト」が掲載されているのもおすすめポイント。SDGsを自治体が導入する際は具体的な目標の設定がネックとなりがちですが、このチェックリストを活用すれば自治体におけるSDGs推進に際して取り組み状況を自己認識できます。自治体の共有本棚に入れておきたいですね。

SDGsについてより深く知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

人口減少社会のデザイン|広井良典

これまでコミュニティや社会福祉を扱ってきた京都大学こころの未来研究センター教授広井良典氏の著作。AIを活用した人口減少社会のシミュレーションを基に、破局シナリオ(財政破綻、人口減少加速(←出生率低下←若者困窮)、格差・貧困拡大、失業率上昇(←AIによる代替等)、地方都市空洞化&シャッター通り化、買物難民拡大(現在600~700万人)、農業空洞化)と、社会の持続可能性を①人口、②財政・社会保障、③都市・地域、④環境・資源の4側面から検討した画期的な1冊です。AI活用による社会構想・政策提言への挑戦はとてもワクワクします。

まちづくりの哲学:都市計画が語らなかった「場所」と「世界」|蓑原 敬, 宮台真司

都市工学を超えて幅広い知識を持つ蓑原敬氏と社会学者宮台真司氏による対談をまとめた1冊。本書の特徴は宮台氏が「まちづくり×哲学的思考」の角度から発言していること。一般的に地方創生/地域活性化と哲学は結びつかないように思われますが、実は哲学の思考や社会学的思考を取り入れることで一気に「まち」と「人間」の関りがクリアになります。少し変わった角度から地方創生/地域活性化を考えてみたい人におすすめです。

宮台真司氏が専門とする「社会学」とはいったいどんな学問なのか、興味関心のある方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

観光ブランドの教科書|岩崎邦彦

2019年11月に発売された新刊 岩崎邦彦著『地域引力を生み出す 観光ブランドの教科書』は、地域×観光という既存の公式に「ブランド」を掛け算することの大切さを説明した本です。

2003年の観光立国宣言以降、日本政府をはじめ都道府県や自治体の観光関係者は観光客の「量」を増やすことばかりに着目してきました。その結果、オーバーツーリズムや観光公害といった問題が表出し始めています。これからの時代は地域ごとに観光ブランドを確立しリピーターを増やしたり1度あたりの満足度を高める「質」の観光への転換が必要だと説いてるのが本書。

2020年以降新しい「地域×観光」の教科書になること間違いなしの1冊です。本の詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください

地方創生/地域活性化と密接に関係する「観光インバウンド」に関するおすすめ本をまとめた記事もあります。興味ある方はご覧下さい。

ふるさと納税の理論と実践・ふるさと納税と地域経営|ふるさと納税・地方創生研究会

ふるさと納税・地方創生研究会による2冊は、地方創生とふるさと納税について各分野の専門家や実務者が著したふるさと納税の理論的実践書。『ふるさと納税の理論と実践』では支持を得て寄附を集め、地方創生を実現していくために必要な理論とその実践が解説されています。

『ふるさと納税と地域経営』はふるさと納税制度を活用して、いかに地域経営をしていくかという視点で構成されており、各自治体での取り組み事例が数多く掲載されています。2冊セットで読むことをおすすめします。

地方消滅 東京一極集中が招く人口急減|増田寛也

第二次安倍内閣が地方創生を実施するうえでベースとなっているのが、元岩手県知事の著者増田寛也氏らが発表した「消滅可能性市区町村」と「選択と集中」の論理です。このままいくと多くの自治体が消滅する、そんなセンセーショナルな発表は多くの地方自治体の危機感を煽り/もしくは生み出し、地方創生への自然な流れをつくりました。

なぜいま私たちは地方創生へと向かっているのか、その原点にはどのような前提があるのか、政策としての「地方創生」と真の地方創生を考えるうえで読んでおきたい1冊です。

まとめ-地方創生/地域活性化を批判的に捉える眼差しを身につける-

本記事では地方創生/地域活性化に関する本を紹介してきましたが、ここで紹介した以外にもおすすめの本はたくさんあるので随時内容は更新していく予定です。実践に重きが置かれる地方創生/地域活性化ですが、そもそも本を読む意味は一体どこにあるのでしょうか?

私は「現状に対して批判的なまなざしを身につけると共に、さまざまな視点と実践例を知ることで多角的に思考できるようになる」ことが、地方創生/地域活性化に関わる人が本を読む意味だと思います。ここで紹介した本を読む際にも、全てを鵜呑みにするのではなく「本当にそうかなぁ?」「うちの地域に当てはまるかな?」と良い意味で批判的なまなざしをもって読んでみてください!

-ラジオ版KAYAKURA-

ラジオ版KAYAKURAは毎回1つのテーマについて5分~10分で深堀する音声コンテンツです。テーマは社会課題・最新ニュース・地方創生・観光インバウンドなど。スキマ時間の学びを思考を促す内容となっていますので、ぜひ聴いてみてください。

この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.