【5分でわかる】まちづくりとは?定義や歴史・用法をわかりやすく解説

近年、地域に活力を与える行動を指す言葉として「地域活性化」や「地域づくり」などの言葉が使われますが、これらの言葉の源流には「まちづくり」という言葉があります。メディアでも地域活動の現場でも様々な文脈で「まちづくり」は使われますが、その言葉の本来の意味は意外と正確には理解されていません。

一体「まちづくり」はどのような意味で使われてきたのか?「まちづくり」の歴史を紐解いていくと共に、現代においてどのような用法があるのか、まちづくりを理解するためにはどんな本を読むのがいいのかを分かりやすく解説していきます。

本記事の内容は地域社会学会編『新版キーワード地域社会学』の「まちづくり」項目を参照しました。

まちづくりの意味と用法・漢字

「まちづくり」という言葉を使う場合は、物理的な面やハード面ではなく、ソフト面での取り組みを強調するのが一般的です。 まちづくりは都市の街並みやインフラ形成を指す従来の用法に加え、仕事の確保や人材教育・さまざまなイベント・情報発信・観光促進など、地域を元気にする「コト的」要素が重要視されます。

「まちづくり」は基本的にひらがなで「まちづくり」と表されます。「まち」には町・街など複数の用法があり漢字を用いると意味が限定されたりわかりにくくなったりするため、あえて平仮名で記載されるのが一般的です。

まちづくりの歴史

まちづくりについて説明する場合、事例の紹介はよくわりますが歴史と整理する記述はあまりみられません。それは「まちづくり」が現場第一主義でアカデミックな分野と現場の融合がなかったことなどが理由として考えられますが、ここでは先進の失敗から学ぶ意味を込めて「まちづくり」の歴史を紐解きます。

まちづくりは1980年代に日本各地ではじまった

まちづくりが日本各地で展開されるようになったのは1980年代であるといわれています。1980年代は高度経済成長期に特徴的だったハード重視・もの重視の開発発展方向から、 ソフト面の充実を目指す公共事業が発展してきた時代でした。

理由としては、70年代までの日本社会の開発重視による工業化や過剰都市化による公害・生活環境問題・自然破壊の頻発といった事態があり、地方においては第1次産業の衰退、過疎問題の進行がありました。そのほか郊外化やモータリゼーションなど地域の個性が失われる現象も加速し、 地域アイデンティティの再構築を目指すソフト面の充実が図られたのです。

もう一つの理由として地域住民自身の変化があります。戦後的経済重視の価値観から生活重視の価値観への移行がこの時期にみられるようになりました。それまでは行政によって上から事業展開がなされていたのに対し、住民自治・住民主体の地域を元気にする活動が求められていったのです。

1990年代以降のまちづくり

1990年代になると、それまでのまちづくりのあり方はより複雑性を増していきます。バブル経済による経済の急激な拡大は、地方自治体の財政規模を過去に例をみないほどに膨張させました。特に1988年の「ふるさと創生一億円事業」に代表される各地域の独自政策を促す事業は、地域の個性化やアイデンティティの再構築を推し進めましたが、一方ではリゾート地の開発や人数の少ない公園やホテルの開発など、不必要なハコモノが作られる事態を発生させました。

今日に続く規制緩和の動きは、それまで保護されていた地域の経済活動や産業構造に大きなダメージを与え、地域の解体へともつながっていきます。モータリゼーションと郊外化そして外国製品の輸入拡大は、地方自治体のさらなる衰退や中心商店街の存続の危機をもたらしました。

「まちづくり」の言葉で強調されるソフト面でも、それまでは限られた範囲で行なっていた自治的な活動に対し、多額の公金がつけられることでかえってその自主性・自律性が損なわれ中心との相互依存関係が生まれていったのもこの時代です。。

2000年代に入るとまちづくりは「B 級グルメ」「観光イベント」「ゆるキャラ」「道の駅」の充実など、その時々の流れを取り入れながら独自性を確立する、地域の存続の要として注目されるようになっていきました。

「まちづくり」「地域活性化」の違い

「まちづくり」と似た言葉として「地域活性化」があります。「地域活性化」という言葉を使うときは、前提として地域が活性していない状況があるため、都市よりも地方農山漁村において使われる言葉になっています。

2000年代以降「地域再生」という言葉も使われるようになりましたが、これもすでに壊れた地域を再生することを目的としており、2000年代地方自治体の苦しい状況を反映した言葉であるといえます。その他にも「地域づくり」「村づくり」「地域おこし」などの言葉が使われていますが、明確な意味の違いはなく文脈や使う人たちの意図によって適宜使い分けられます。

現代のまちづくりにおける課題と傾向

2010年代のまちづくりの課題としては、1980年代以降公金に依存してきた自主的な活動の自主性・自立性を再度高めることがあります。また東日本大震災以降、防災×まちづくりの視点も強く重視されるように泣てきています。

近年のまちづくりはコミュニティ・ガバナンスの面も高まっています。コミュニティ・ガバナンスとは地域コミュニティにおける民主的なルールづくりに向けた運動を指す言葉であり、これも地域コミュニティ在住者の多様性が増していることに起因します。コミュニティについてより深く知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

まちづくりを学ぶのにおすすめの本

まちづくりに関する本は1980年代から今日にかけて多数出版されています。都市のまちづくりなのか地方自治体のまちづくりなのか、社会学的なまちづくりなのか建築的なまちづくりなのかとカテゴライズによって内容は全く異なってきますが、ここでは長年まちづくりに携わってきた筆者がおすすめするまちづくり本を3冊ピックアップします。

最後に-2020年代のまちづくりのキーワードは「SDGs(持続可能性)」-

2020年代まちづくりのキーワードは「持続可能性」です。2030年の達成に向けて世界中が動き出しているSDGsの流れはまちづくりも汲んでいく必要があり、SDGs目標達成を目指したまちづくりの実現は地域住民にとっても行政にとってもそして世界全体にとっても大きな意味をもたらします。2020年代まちづくりのキーボードとなるSDGsについてもっと知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

KAYAKURAではまちづくりに関する講座や勉強会の講師・WSのファシリテーション、執筆、関連事業のサポート/コーディネートを行っております。特にコロナ後は「コロナ後のまちづくり」「まちづくり×SDGs」を深堀する企画などを行っています。お困りの方はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.