おすすめの社会学入門書16選-社会学研究科の大学院生が選書-

社会学入門書

大学で社会学の授業があるけど難しくてついていけない!

就職して少し余裕ができたから社会学を学んでみたい!

社会学って胡散臭いイメージだけどどんな学問か分からないから知りたい!

そんな方は多いかもしれません。

そこで今回は365日、社会学分野の研究を行う大学院生が16冊の社会学入門書を選びました。紹介する本は全て私が持っていて読んだことがある本なので、自信をもっておすすめできる社会学入門書だけを紹介しています。

ぜひ気になったものがあったら購入して社会学沼にハマってみてください。

【10分でわかる】社会学とは何か?社会学研究科の大学院生が簡単にわかりやすく解説

社会学(新版)|長谷川公一, 浜日出夫, 藤村正之, 町村敬志

多くの社会学系の学部で使われている言わずと知れた日本で最も有名な社会学入門書の1冊。約500Pとボリューミーなコンテンツは16章に分かれており、社会学で押さえておきたい分野と単語をほぼ網羅しています。

本文とは別に各章の内容と関連した事象をちょっと専門的に取り扱うコラム記事も本書の魅力。社会学入門書でありながら大学院入試まで活用できるレンジの広さが特徴です。

ちなみに本書の執筆者のうちの1人は私の師匠ですが、分かりやすく丁寧な授業内容がそのままこの本に表れています。

社会学原論|宮島喬

まずは全体をさらっと知りたい大学1年生や社会学初心者に最適な社会学入門書。

特に大学生におすすめな理由は、著者の宮島喬さんが大学(お茶の水大学・法政大学・立教大学)で長年行ってきた講義をもとに書かれた入門書なので、大学生が理解しにくく躓きやすいポイントを的確に押さえていること。

ただ学問的側面だけでなく、できる限り現実の社会諸問題を視野を入れようとしているので、実践的な社会学的アプローチの意味や意義にも触れられます。2012年発行の入門書なので取り扱われる事象が古すぎないのも高評価ポイントです。

社会学への招待|P. L. バーガー

著者のP.L.バーガ—(ピーター・ラドヴィク・バーガー)は2017年に亡くなったアメリカの社会学者です。オーストリアでユダヤ系として生まれ第二次世界大戦直後にナチスから逃れるためにアメリカに移住した経験を持ちます。

バーガーは現象的社会学という思想の流れを汲んでおり、彼の軸となる考え方は「社会的現実は意識の一形態に過ぎない!」というもの。

訳書なので全体的に初心者にとっては読みにくいかもしれませんが、学問的に社会学を捉えるのではなく「社会学的に世の中をみると、こんなふうに見えるよ!おもしろいでしょ!」というスタンスはここで紹介する入門書の中でも異色です。単語を学べる系の本とセットで買うのがおすすめです。

社会学をつかむ|西沢晃彦, 渋谷望

社会学をこれから学びたい高校生や大学1年生、社会人にとっては本記事で紹介する入門書の中で最も読みやすい1冊。

ページ数は200Pちょっとと多すぎず、8ページごとに概念や考え方が広く浅く説明されているので毎日ちょこちょこ読んだり、興味あるページをつまみ食いして読むのに適しています。

知っておきたい単語をくまなくカバーしており各章の最後には単語チェックシートもあるので、社会学で出てくる初歩的な用語を覚えたい人に特におすすめです。

個人的に好きなポイントは、ところどころ著者の説明の口が悪くなるところです笑 専門書なのに親しみやすい入門書です。

社会学のすすめ|大澤真幸

1996年発行の本書は私・遊戯・家族・政治・都市・夢などを各分野を専門とする社会学者が解説する入門書です。

1人の社会学者が広く書くのではなく、各分野の専門家が掘り下げつつもわかりやすく各分野の魅力を伝えようとしているのが印象的。

ある程度専門用語も出てきて文体も少し難しめなので、社会学入門書1冊目には向かない気がします。ぜひ2冊目、3冊目で読んでみてください。

巻末に各分野をさらに学びたい人向けのブックガイドもついているので、上記の分野に関心がある人はこの本をキッカケにさらに深堀できるでしょう。

古市くん、社会学を学び直しなさい!!|古市憲寿

ワイドショーのコメンテーターとして活躍する社会学者 古市憲寿さんが、日本を代表する12人の社会学者と対談し「社会学ってなんですか?」という問いの答えを探していく内容です。対談形式で話が進んでいくのでとても読みやすく、内容も全く社会学を勉強したことが無い人でも読めるものになっています。

「そもそも社会学って何だろう?」という問いの答えを知りたい方、広く様々な社会学分野の基本的な考え方を知りたい方、いまの日本を代表する社会学者の考え方や人柄を知りたい方におすすめの本です。

登場する12人の社会学者は小熊英二、佐藤俊樹、上野千鶴子、仁平典宏、宮台真司、大澤真幸、山田昌弘、鈴木謙介、橋爪大三郎、吉川徹、本田由紀、開沼博の12人。この中の一部の方は以下の記事でも取り上げていますので、興味ある方はぜひこちらの記事も読んでみてください。

大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる|出口剛司

大ヒットシリーズ「大学4年間の○○学が10時間で学べる」の社会学ver。「こういう短時間で○○が学べる系の本って怪しいなぁ」と思う方もいるかもしれませんが、この本は東京大学大学院人文社会系研究科教授の出口剛司さんが書いておりとても信頼できる内容です。

目次は以下のようになっており広く浅く社会学の基本知識を身につけたい方におすすめです。

第1部 社会の謎と正体を探求する:1章〈社会〉の謎と正体を探る(1) 2章〈社会〉の謎と正体を探る(2) 3章 社会学の流儀 4章〈社会〉を知るには集団を見よ

第2部 身近な世界から出発しよう:5章 家族の作り方/6章 性愛と親密な関係/、7章 都市と地域社会、8章 変容する都市空間

第3部 働き方と職場の人間関係:9章 人が働く/人を働かせる方法、10章 日本人の働き方、11章 働き方を見直す、12章 集団とネットワーク

第4部 日常と非日常のインターフェイス:13章 神話世界としての消費空間、14章 宗教と社会、15章 政治という非日常、16章 グローバル化する世界と日本

第5部 社会学物語:17章 社会の発展法則を解明せよ!、18章 危機の時代にこそ、社会学を!、19章 社会の秩序はこうしてできている、20章 現代社会学への道

社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像|田中正人, 香月孝史

累計13万部のベストセラー『哲学用語図鑑』『続・哲学用語図鑑』の著者が、社会学の300以上の主要用語と75人以上の社会学者を徹底図解した1冊。

他の社会学入門書と比べてイラストが多めで1つ1つの説明が簡潔なので、視覚的に楽しみながら社会学を学びたい人におすすめです。

社会学的想像力|C. ライト.ミルズ

世界で最も有名な、社会学を学問的に勉強するための入門書がA. ギデンズの『社会学 第5版』なら、世界で最も有名な、社会学的な考え方や視点を学べる入門書はC. ライト. ミルズの『社会学的想像力』でしょう。

社会学的想像力創造力とはわかりやすく言うと「自己的なことと公的なことを結び付けて考える力(私的な問題だと思っていることも必ず社会の影響を受けていると認識する力)」「社会学的分析における批判的にものをみる力」のようなものです。

社会学を学び活用する者はどうあるべきかが書かれた名著です。ビジネスや日常生活にも活かせる考え方が多いのと、文庫本サイズで持ち運びやすいのもおすすめポイント。

社会学 第5版|アンソニー・ギデンズ

その厚さから通称「鈍器」と呼ばれる世界で最も有名な社会学入門書の1冊。英語版ではさらに版を重ねていますが翻訳が大変すぎるので日本語ではまだ第5版までしか出ていません。

本記事で紹介した1冊目『社会学 (新版)』で押さえられていない分野もしっかり押さえたうえで、各分野を数倍深彫りしています。これさえ持っていれば社会学で何も敵はいないですが、最後まで読み切るのは10人に1人程度だとか…

大学院入試を考えている方は、英語版と日本語版の両方を買ってひたすら翻訳する勉強法がおすすめです。買うときは英語版の版を間違えないように!

社会学 (シリーズソーシャル・サイエンス)|筒井淳也

2021年末に出版され大きな話題を呼んでいる1冊。筆者は数量データを用いない「質的研究」の比重が(とくに日本において)大きい社会学においても、近年「量的研究」が浸透してきましたが両者の間は基本的に分断していると指摘します。

ときに「サイエンスと言えるのか」との問いも投げかけられる社会学には何ができるのか?古典的研究から最先端の成果までを縦横に紹介しながら、その存在理由を鮮やかに描き出したこれまでにない新たな入門書であり、すでに社会学を長年学んだ人にもおすすめの本です。

21世紀を生きるための社会学の教科書|ケン・プラマー

パンデミック、経済格差、気候変動など現代世界が直面する諸課題を視野に収めつつ社会学の新しい知見を提示した社会学の可能性を論じる決定版入門書です。

本書は2021年1月の発売以降多くの読者に読まれており、特に大学や大学院の社会学入門授業で多く読まれていると聞きます。筆者も所属する大学院の2つの授業で本書を用いて授業を進めていると聞いています。この事実は本書が研究社内でも広く読まれ認められていることを示していますね。

よくわかる社会学第3版|宇都宮京子, 西澤晃彦

本書はミネルヴァ書房の人気シリーズ「よくわかる」シリーズの社会学版。現代の社会学の全貌を捉えるために、見開き構成で簡潔明快にその基幹部分を解説しています。

A4判と大きく文字も読みやすいので幅広い年代の方におすすめ。好評既刊の内容を最新情報にアップデートしている点も良いですね。

入門 家族社会学|永田夏来, 松木洋人

ピエール瀧さんが逮捕された際の作品出荷停止に抗議する活動をしたり、ニュース番組でコメンテーターを務めたりと一般認知度が比較的高い社会学者 永田夏来さんらが書いた家族社会学の入門書。

数多く家族社会学の入門書を読んできましたが ①2017年発行なので取り扱っている事象が新しい ②統計を効果的に活用していて考え方のエビデンスがわかりやすい ③文体が優しい の3点を理由にこの本を選びました。

常識を崩す目から鱗が落ちる情報がたくさん載っているので、社会学を学ぶために読むのではなく会社や家族のことを考えるためにもおすすめ入門書です。

地域の社会学|森岡清志

7人の社会学者が広く地域について取り扱う本書は、自治体行政・地方創生・地域活性化・まちづくり・地域福祉・自治会/町内会などさまざまなカタチで地域関わる人すべてにおすすめの社会学入門書。

全12章で多角的に地域を取り上げており、具体的な地域課題をどう社会学的に捉えるべきか、どのような解決策が考えられるのかが書かれている実践的な本です。

ちなみに、社会学には「地域社会学」という分野がありますが、この本では地域社会学に留まらずひろく都市社会学も農村社会学も取り扱うという事で『地域の社会学」』という名前がついていると考えられます。

質的社会調査の方法|岸政彦, 石岡丈晃, 丸山里美

Twitterのフォロワー2万5000人、紀伊国屋じんぶん大賞2016大賞受賞、芥川賞候補ノミネートといま最も有名な社会学者の1人である立命館大学教授の岸政彦さんらが書いた本。

社会学の中の社会調査という分野の中で、インタビューやフィールドワークで社会を理解する質的社会調査についてわかりやすく解説された入門書です。小説も書く岸さんが先導して書いた本なのでドラマティックで物語のように読めるのが最大のポイント。

大学の課題や卒業論文を書くために質的調査をする学生は絶対に読んでおくべきですし、社会人になって調査をしなければならない人も読むと調査の質が上がる1冊だと思います。

最後に-読むと世界が変わる?社会学入門書-

社会学入門書

社会学入門書を読むと世界が変わります。「ここにきてスピリチュアルか?」と思う方もいるかもしれませんが、これは本当です。これまで当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないことに気がついたり、常識が崩されたり、社会には多様な考え方があることが理解できたり、社会学がもつこんな力をわかりやすく解説しているのが社会学入門書です。

ちょっと極端かもしれませんが読む前と読んだ後では、あたながみている世界は変わると思います。ぜひ社会学入門書を読んで新しい世界をみてみてください。

KAYAKURAでは大学院で社会学を専門に研究を行う筆者が、難しいけど理解したい社会学用語や概念をわかりやすく解説する記事を多数公開しているので、ぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

KAYAKURA 編集部

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