毎年全国進出!大町岳陽高校放送部から学ぶ「放送部」とは-活動内容・大会・NHK杯・やりがい-

高校生が企画から撮影編集までをおこなう高校の放送部。マンガやドラマのコンテンツとしても人気な放送部は、それがキッカケで入学を決める学生もいるほど一部で人気な部活になっています。

ではマンガやドラマではなく実際の放送部はどんなことをしているのでしょうか?長野県大町岳陽高校放送部は前身の大町北高校時代から全国大会に毎年進む強豪校です。1年に2度ある大会、学校のお昼休みの放送、文化祭での出し物など意外と知られていない放送部のリアルを聞いてきました。

※本記事は信州池田活性化プロジェクトMaple Treeが発行するフリーペーパー「いけだいろ」18号の記事を一部編集したものです。

放送部の活動内容と2つの大会-NHK杯・全国総文祭-

現在、3年生3人、2年生2人、1年生2人で活動しています。もともと、大町岳陽高校になる前の大町北高校が強豪校だったため、今でも毎年全国大会に進むことを目指しています。

主たる活動は、夏と秋にある大会に向けて作品を作ることです。一つの作品を作るのに約3ヶ月かかります。夏の大会は「NHK杯 全国高校放送コンテスト」。自分たちの学校生活について、高校生の視点から作品を制作します。秋の大会は全国総文祭の予選で、主に地域の話題を取り上げます。

大町岳陽高校は近年、毎年全国大会まで進んでいます。全国に進める人の割合としては、アナウンス部門と朗読部門があり、どちらも約50人が出場し6人が全国へ。番組部門がテレビドキュメント、ラジオドキュメント、テレビドラマ、ラジオドラマに分かれていて、ドキュメントは上位4作品、ドラマは上位2作品が全国に進出できます。また、研究発表という部門もあり上位2つが全国にいけます。いずれにせよ、全国に進むのはそう簡単ではありません。

高校放送部が撮る作品で大切なのは「高校生の視点」

昨年度は、ラジオドキュメント部門で大町岳陽高校の全校登山を取材しました。当初は映像を撮る予定でしたが、雨が降ってしまったためラジオにしました。高校の卒業生にインタビューし、今の生徒や先生は「全校登山は大変だからやめたほうがよい」といっているのになぜ続いているのかをテーマに取材しました。

自分たちの高校生活からテーマを選んだ作品もあります。私達、コミュ障(コミュニケーションが苦手)なんです!取材するのにコミュ障なので「コミュ障ってどうすれば治るんだろう?」「コミュ障とは?」をテーマに、取材しました。これまでは、インタビューすることが多かったので、自分たちで調べながら番組を作るというのは大変でした。忙しい日程のなか作りましたが、全国に進み自分たちでもびっくりしました。

作品制作への思い

写真左:牧野さん 写真右:井口さん

牧野文音部長(以下、牧野):モチベーションは人によって結構違うと思います。私は、初めの頃は「作っていて楽しければいい!」という感じでしたが、番組で賞を獲ることで多くの人に認めてもらえること、しっかりできているから評価されているということがわかってきました。評価されてかつ自分が伝えたいことを伝えられる番組を作っていきたいです。

井口瑞稀副部長(以下、井口): 私は反対で、最初は結果が全てだと思っていました。試験勉強と同じで結果がでなければ努力は無駄になると。でも取材の過程で地域の人と話す中で、結果以上に大切なことがあると気が付いてきました。結果も大切ですが「まずどうやって番組を作るか」「みんなとどうやって関わっていくか」が大事なのだと考え方が変わっていきました。

高校放送部の活動を通して学んだこと

井口:昨年秋の大会は私が担当でした。ビデオメッセージ部門に出場しましたが、実は大町岳陽高校が、県大会で3年連続で最優秀賞を獲っていました。当時は、私で最優秀賞が途絶えたらどうしようと深く悩んでいました。先生に相談したところ「結果だけじゃないんだよ」と言ってくださいましたが、「みんなそういうだろうな!」という感じでした。

「とにかく最優秀賞を獲らないと!」という気持ちで臨み、最終的には獲れましたが、先生に「4連覇できてよかったです」と話したところ「賞も大切だけど井口さんはできた作品を観てどう思う?」と聞かれました。取材対象だった方との繋がりもできましたし、地域の人とも知り合いになれたし、なにより自分の技術がとても高まりました。番組の構成を立てるのも得意じゃなかったのですが、終わって考えてみたら「自分こんなに成長したんだ」と気がつきました。過程は無駄じゃないと気が付いたのはこの体験からです。

印象的だったこと・難しかったこと

井口:難しいのは、地域はもちろんですが校内でも放送部の活動を具体的に知らない人が一定数いることです。1年生の頃とある先生に取材に行ったのですが、先生はインタビューを受けたくないといっていました。一応、連絡を取り取材に応じてもらったのですが「やっぱり無理だわ」と言われてしまい、「少しだけ話してもらえませんか?」とお願いしたら「放送部ってめんどうくさいな」と言われてしまいました。私達は「よりよい映像を撮る」という目的がある一方で、あくまで相手の気持ちを考えなければと感じました。

牧野:あれは超怖かったね… 私も印象的な出来事があります。私にとって最初の制作だった1年生の作品で、白馬村で紫陽花を育てている男性を取材しました。初めてのインタビューだったので、決められたことしか喋れず相手に申し訳なくなってしまい、最終的には無言になってしまいました。そのとき先生に「気を遣いすぎて逆に失礼になっているから、もっと積極的に話していいよ」と言われ、そこからコミュニケーションが大きく変わりました。放送部では取材交渉からインタビューまですべてを自分たちで行うので、1年生にとっては初めてのことばかりでワクワクすると同時にたくさんの緊張を味わいます。

地域とのつながり

井口:私は今日までずっと地元で育ってきたので、地元のことを知っているつもりでいました。高校に入って、地域との関わりが薄れる一方で放送部で地元に取材に行くことが増えました。そのとき「こんな場所があったのか!」「こんな人がいたのか!」という発見がたくさんありました。

牧野:私も地元在住ですが、「地元なんにもないな」と今まで思っていて嫌いでした。しかし、この前の大会などで地域の人と喋っているうちに「こんなに面白い人がいたんだ!」という気付きがあって、地元を好きになったわけではないですが新たな一面を知れました。

井口:高校生になると一切地域に関わらないし、社会人でも町外に出たら地域の情報って住んでいてもほとんどわからないんです。でも、情報誌をみたらこんな場所があるんだとか、こんな人がいるんだというのがわかりますよね。情報がないと、良さそうなお店があっても入るのをためらってしまいます。情報発信は難しいと思いますが、例えば若者向けのフリーペーパーのような媒体が高校生のような層にも更に広がっていくと良いですよね。

牧野 地元には頑張っている人が大勢いるんですが、その人達同士があんまりつながっていない印象をうけます。そこの関係が密接になっていけば、更にすごいことになりそうだなと思います。

最後に-大町岳陽高校放送部が最後に伝えたいこと-

お昼の放送だけをしているわけではないし、機械をいじっているだけでもないということを一人でも多くの方に知っていただきたいです!また、取材をお願いされたら快く引き受けてください!お願いします!


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この記事を書いた人

Masato ito

国際大学GLOCOM研究員/講師。1996年、長野県出身。博士(社会学)。一橋大学大学院社会学研究科、日本学術振興会特別研究員を経て2024年より現職。専門は地域社会学・地域政策学。研究分野は、地方移住・移住定住政策研究、地方農山村のまちづくり研究、観光交流や関係人口など人の移動と地域に関する研究。多数の地域連携/地域活性化事業の立ち上げに携わり、2事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。日本テレビDaydayやAbema Prime News、毎日新聞をはじめ、メディアにも多数出演・掲載。