みんな不安!「地方移住先での子育て」のリアル-人間関係・教育・治安・医療・仕事など-

池田つむぐプロジェクト

家族で地方に移住することになった!そんなとき最も多くよせられる不安の一つが「地方移住先での子育て、うまくいかなぁ」というものです。子どもの数が少なく学校の選択肢が少ない?医療機関は充実している?いじめられない?そんな不安を抱く人は多いはず。

2018年に一般社団法人移住交流推進機構JOINが実施した「若者の移住」調査の結果をもとに、この記事では「よくあがる地方移住先で不安なこと」とそれに対して実際に地方で子育てしている方々と交流のある筆者がリアルな実感をお伝えします。ぜひ地方移住先での子育ての参考にしてみてください!

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地方移住先での子育てで不安なこと 1:人間関係

JOINによる調査によると地方移住先で子育てをするうえで不安なことの1つ目に人間関係があがっています。具体的な質問は以下の通りです。

  • いじめられないか不安(東京都女性36歳)
  • その地域にすぐとけこめるのか。またよそ者扱いされるのではなく、迎えいれていただけるのか(埼玉県女性37歳)
  • 環境が変わることによって子供が変化についていけるかどうか(埼玉県女性26歳)
  • 近所と仲良くできるか、住む地区の祭りや掃除などの役割の負担がどのくらいあるか(東京都女性28歳)
  • 現在の友人関係・地域の関係と遠くなってしまうことが寂しい(神奈川県女性32歳)
  • 知り合いがいないから母と子供だけで孤立してしまう。相談相手がいない(神奈川県女性28歳)
  • 友達がちゃんとできるか。子どもと同世代の家族がいるか(千葉県女性26歳)
  • トラブル(いじめ)が起きたとき、都会のように、フリースクールやカウンセラーなど、多様な選択肢がない(東京都男性33歳)

移住先が保守的な地域なのかそうじゃないのか、移住者が多い地域か少ない地域かによって受け入れてもらう際の感触は大きく異なります。「移住先で孤独になりたくない!いじめられたくない!」と思う方には以下のようなアドバイスができるのでぜひ参考にしてみてください。

  • 朝や夕方、会ったら一言でいいので挨拶をする
  • 分からないことは分からないままにせず相談する
  • 移住前に土地や住む場所を選ぶ段階で不動産屋さんや工務店に地域の雰囲気について聞く
  • 役場の移住窓口で地域ごとの特性や移住者の数を聞く
    例:移住先の歴史、同世代の数、過去に起こった出来事などなど

大切なのは相手に受け入れてもらうことを待つのではなく、自分から自己開示することです。困ったときには助けを求めたり、すれ違ったときにはあいさつをしてみたり、聞かれた質問には真摯に答えたり、分からないことは分からないとしっかり言ったり、こういったことの積み重ねが重要です。相手に理解してもらうためにまずは自分も相手を理解する。それがうまく共生していくための秘訣かなと思います。

地方移住先での子育てで不安なこと 2:教育

JOINによる調査によると地方移住先で子育てをするうえで不安なことの2つ目に教育があがっています。具体的な質問は以下の通りです。

  • 学校までの通学の距離と、都市部に比べて学力が下がらないかどうか(埼玉県女性39歳)
  • 高校・大学の進学先の選択肢の少なさ・不便さが避けられないと思うこと(東京都男性35歳)
  • 子どもたちがのびのびと過ごせる環境が整っているのか(東京都女性39歳)

学校までの通学の距離は地域によってバラバラですが大都市よりも電車で通学する割合はとても少なくなります。自転車通学や歩いての通学がメインになるので道草したり友達とのびのび遊びながら登下校することで健康的な子どもになるという人が筆者の周りには多くいます。

進学先の選択肢の少なさ・不便さは地方の教育環境の大きな課題の一つです。近年は子どものライフステージが変るごとに教育環境も変える「教育移住」という考え方が広まっていますが、親は小学校・中学校・高校・大学と子どもがどのように進む選択肢があるのか常に情報を集めておく必要はあります。

例えば小学校は地元の小学校で、中学高校とインターナショナルスクールで学ぶというようにその土地の学校環境に縛られないステップアップの選択肢を子どもに提示してあげることは大切です。しかしどの選択肢が子どもにとってベストなのかは誰にもわかりません。しっかり選択肢を用意し提示し話して子どもが自身をもって自分で選んだ道だといえるようにすることがこれからは重要です。

地方移住先での子育てで不安なこと 3:医療

JOINによる調査によると地方移住先で子育てをするうえで不安なことの3つ目に医療があがっています。具体的な質問は以下の通りです。

  • 医療機関が充実しているかが不安。子どもは急に具合が悪くなることが多そうなので(東京都女性27歳)
  • 今病院などが近くにあり、選択肢の多い環境にいるため、医療機関が限定されることが不安(神奈川県女性32歳)
  • 病院設備や技術力が最新かどうか(千葉県女性38歳)

医療機関の充実度は大都市と比べて劣る地域が少なくありません。特に最後の「病院設備」はなかなか最新のものを取り入れられない現状があります。しかし大都市と比べて一人一人の患者さんとの関係性が近くなるため、何度も受診する中でお医者さん自身が子どものことを深く理解してくれるようになります。

普段雑誌の取材などもしている筆者は数日前に長野県のとある眼科に取材でいきました。そのお医者さんは京都で大きな個人医院を十数年した後、もっとゆったりと1人1人の患者さんと向き合って医療がしたいとの思い約9年前に移住してきました。近年は大都市で経験を積んだのち、皆さんと同じように地方に移住して医療機関を開業するお医者さんもいるので技術力をもったお医者さん・医療機関の選択肢は増えているかもしれません。

地方移住先での子育てで不安なこと 4:仕事

JOINによる調査によると地方移住先で子育てをするうえで不安なことの4つ目に仕事があがっています。具体的な質問は以下の通りです。

  • 収入の減少を不安に思っています(埼玉県男性38歳)
  • 就職先が見つかるかどうか(東京都女性33歳)

地方への移住を考える際に、空き家の利活用促進や移住者向けの土地造成などで住む場所は決まりやすくなってきていますが、なかなか改善されず最後まで多くの方が悩むのが「仕事」です。東京や大阪などの大都市とは最低自給も異なり存在する仕事の多様性も異なるため、都会で得たスキルをもとに同等の収入を確保するのは厳しいのが現実です。

就職先については飽和状態の業種と人手が足りていない業種に大きく差があります。地方中小企業や福祉系は人手が足りていないですが一方で移住してきた方でそういった仕事に付きたい方はなかなか少ないですよね。最近は大手求人サイトに求人を出す企業も増えているので大手求人サイトやハローワークは要チェックです。

地方への移住を機会にフリーランスに転職したりリモートワークに切り替えるというのも一つの手です。正当に自身のスキルが評価されないと感じたら、評価してもらえるところから仕事がもらえる仕組みを自身の中で確立するという考え方も大切です。新しい働き方を検討したり試してみる意味でも、おためし移住制度やリモートワーク推進制度は積極的に活用することをおすすめします!

地方移住先での子育てで不安なこと 5:治安・安全

JOINによる調査によると地方移住先で子育てをするうえで不安なことの5つ目に治安・安全があがっています。具体的な質問は以下の通りです。

  • すごく田舎だと、夜の怖さとか治安が心配(東京都女性30歳)
  • 通学路など安全かどうか(神奈川県女性30歳)
  • 道路や信号などが整っていないと、特に高齢者が増えている地方では事故が起きないかとても心配です(神奈川県女性34歳)

夜のこわさ気になりますよね。私が住んでいるのは人口約1万人の町の山際ですが、中心地から家に行くまでの道は一部全く街灯がない場所があったりします。東京にもアパートがありますが比べるとその差は一目瞭然。地方で実際に住み始めると強く実感するはずです。

裏を返すと夜は「静か」で「暗い」本当の夜の中で過ごせるということでもあります。睡眠時に電車や車、工事の音で起きることはなく、たまに近所のネコが喧嘩していることが聞こえるくらいです。また夜に行動する人の数も少ないため、何か怪しい動きをしている人がいたらとても目立ちますし、遅い時間に行動する人の数がとても少なく夕方くらいになるとほとんどの人が家に帰っているかもしれません。

地方の夜の暗さと静けさは、移住後に手に入れた宝だと以前お会いした方が言っていました。人を不安にさせる暗さと静けさですが、上手に付き合えたら不安から幸せにつながるかもしれません。街灯の数は以前と比べると防犯の観点から増えているので、十数年前私が子どもだった頃と比べると通学路の安全性は高まっていると実感しています。

まとめ-地方移住先での子育ての不安は1つずつ潰していこう!-

池田つむぐプロジェクト

この記事で取り上げた以外にもまだまだ不安なことはあると思います。全部一気に不安が消えることはないですが、大切のは1つずつ正確な情報を入手してわからなさを解消していくことです。KAYAKURAには移住後のトラブルを防ぐ方法や移住前に絶対にやっておいた方がいいことをまとめた記事もあるのでぜひこちらも参考にしてください。

KAYAKURAでは地方移住・新しい時代のライフスタイルに関する講座や勉強会の講師・WSのファシリテーション、執筆、関連した地域活性化・地方創生・観光インバウンドなど関連事業のサポート/コーディネートを行っております。お困りの方はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

参考資料

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この記事を書いた人

KAYAKURA 編集部

これからの地域・社会・観光を考えるWebサイトKAYAKURA編集部です。編集部記事では、KAYAKURAメンバーの専門性を生かした記事や、わかりやすくまとめる解説系記事を公開しています。