地域・自治体は古いモノサシを捨てる勇気を持とう

地方で地域を元気にすることを生業にしていると、増える望みが薄い古いモノサシで測れる資源に縛られてツラい思いをしている地域の姿をよくみます。限られた資源を奪い合いお互いに摩耗している地域の姿です。

私たちはいま、古いモノサシを捨て新しいモノサシを持つ勇気を持つべきときを迎えているのではないでしょうか。本記事では「モノサシ」の役割を整理したうえで、なぜ古いモノサシ捨て新しいモノサシで測るべきかを丁寧に考えていきます。

人も地域もモノサシは目的と目標を定める大切な指標

人はそれぞれモノサシを持って生きています。モノサシは人生の目標を定めるものであり、進むべき方向を指し示すコンパスです。例えばそれは「お金」「家族の幸せ」「健康」「寿命」などがそれにあたるでしょう。

自治体(市町村)を1人の人と捉えた場合、地域も同じくモノサシを持っています。

  • 人「お金」=地域「予算・税金」
  • 人「家族の幸せ」=住民の幸福度
  • 人「健康」=地域「健全な体制」
  • 人「寿命」=地域「独立した自治体としての年数」

人生のモノサシ・地域のモノサシどちらも不変じゃない

人生のモノサシも地域のモノサシも、どちらも永遠に使えるものではありません。ときには違うモノサシを使ったほうがいいときもありモノサシには寿命があるからです。

例えばこれまで「どれだけお金を稼げるか」のモノサシで生きてきた人が、定年退職を機にお金よりも「どれだけ健康に長く生きられるか」にモノサシを変えることはよくあるでしょう。

モノサシを変えるということは勇気が必要なことです。なぜなら1度、過去の自分を否定しなければならないから。お金を稼ぐことが1番だと思っている人がお金よりも大切なものがあると気がつくことは、それまでの自分の頑張りを評価するモノサシでは100まで溜まっているものを捨てることになるからです。

地域のモノサシを変えることが地域を元気にするために最も必要なこと

地域を元気にしようと頑張る人たちにいま求められるのは、お金から健康にモノサシを移行した人と同じように「地域をはかるモノサシ」を変えることです。

高度経済成長期から2000年代までは、自治体は「国からどれだけお金をもらえるか」もしくは「どれだけ新しいものを作りインフラを整えたか」もしくは「どれだけ人口を増やし税収を増やせたか」をモノサシにしていれば困ることはありませんでした。

しかし2000年頃の構造改革、2000年代後半のリーマンショック、2010年代にはじまる人口減少、そして頻発する自然災害を経て自治体はこれまで使っていたモノサシでは正常に「地域の元気さ」を測れなくなってしまったのです。

自治体はいまこそ勇気をもってモノサシを変えなければなりません。従来増えていたものが減っていく時代に突入しているのに測っても増えていかないモノサシを使っていてもツラくなるだけ。それならモノサシを変えて新しい自治体にとっての幸せや元気さを目指したほうが時代にあった姿に変われるはずです。

新しいモノサシはお金と人口にとらわれないものにしよう

では新しいモノサシとは具体的に何か?例えば「地域住民のの地域生活に対する幸福度や満足度」「住民の健康寿命」「健全な財政計画と地域の未来を決めるためにどのくらい多くの人の声を取り込んだか」「多様性ある地域社会でコンフリクトなく共生できているか」などが新しいモノサシになるかもしれません。

新しいモノサシとして大切なのは、お金と人口数に縛られない測り方です。日本における人口は2012年をピークに減少局面に突入しています。また経済状況も芳しくありません。たとえ経済状況を改善できたとしても自治体がその恩恵を受けられるかは分からないですし、お金は行動した結果に伴い後からついてくるものです。口を開けて待っている地域に御上がお金を与える時代は終わろうとしています。

本記事では自治体の話をしましたが、もっと小さな地域レベルでも同じことは言えるでしょう。古いモノサシと過去の自分を捨てて新しいモノサシに変える勇気を持つ地域から元気な地域になっていくことは間違いありません。

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この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.