SDGsの問題点はどこにあるのか-3つの批判ポイントを押さえる-

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昨今、SDGsという言葉をよく聞く。SDGsとは簡単に言えば「この先の世界が今以上によくなるために、2030年までに世界の人全員で協力して解決したい目標」のことで国連が2015年に定めたものである。正式には「持続可能な開発目標」という。

SDGsは現在、さまざまな場所で目にする。企業の広告、地方自治体の総合計画、学校の授業の題材、商品のタグなどなど。2020年代の人類共通の目的として掲げられるSDGsは「やらないといけないもの」もしくは「乗っかったほうが得しそうなもの」として捉えられ、その考え方や用語、ロゴが広まっている。

しかしここで1度立ち止まって考えてみる必要がある。果たしてSDGsは本当に良いものなのだろうか?SDGsは私たちの人類に一体、何をもたらすのだろうか?良いものとして語られることがほとんどのSDGsに問題点は無いのだろうか?

本記事では、主に3点のSDGsへの批判、問題点を取り上げる。この3つは筆者が全て0から考え定義するものではなく、あくまで昨今取り上げられることの多いSDGsへの批判であり問題点である。SDGsになんとなく違和感を覚える人にも、SDGsを盲目的に良いものと思っている人にもぜひ読んでもらい個々の考えを深めるキッカケになれば幸いである。

「そもそもSDGsって何?」「なぜSDGsが必要だといわれているのか」などを予め押さえたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

SDGsへの批判・問題点1:SDGsが人々の免罪符となりつつある

経済学者の大阪市立大学准教授 斎藤幸平氏によれば、「SDGsは大衆のアヘン」であるという。斎藤氏は著書『人新世の「資本論」』の中で、SDGsを痛烈に批判している。

温暖化対策として私たちが行う取り組みは多岐にわたる。エコバッグを使うこと、マイボトルを持ち歩くこと、プラスチックのストローを使わないこと、外で火を焚かないことなどなど。これらの取り組みのひとつひとつは環境に配慮したものであるが、その行動の背後には大きな危険性がある。

第一の批判、問題点は、これらの取り組みをすることで私たちは「温暖化対策している」と思い込み、真に必要とされているもっと大胆なアクションを起こさなくなってしまうことである。つまりSDGsを免罪符のように思いこんでしまうのである。

斎藤氏によればSDGsが免罪符として機能する消費行動は、後程触れるが、資本の側が環境配慮を装って消費者を欺く「SDGsウォッシュ」にいとも簡単に取り込まれてしまう。かつてカール・マルクスは宗教を「大衆のアヘン」であると批判したが、斎藤氏によればSDGsはまさに現代版「大衆のアヘン」なのである。

SDGsで掲げられた多くのゴールは2030年前に達成することが求められている。2030年までアヘンを吸い続けたらどうなるか。気付いた時には地球という身体はボロボロになり、取り返しのつかない状況になってしまうかもしれない。

なお本記事における批判、問題点1と2は主に斎藤幸平氏の著書『人新世の「資本論」』を参照している。2020年後半に発刊された必読書であると思うので、興味ある方はぜひ読んでみていただきたい。

SDGsへの批判・問題点2:SDGsをなぞっても気候変動は止まらない-必要なのは資本主義へのブレーキ-

第二の批判、問題点は多くの科学者や研究者が指摘し始めたことだが、そもそも経済成長と二酸化炭素の削減・気候変動を止めることは、いま求められているペースでは両立しえないものであることが明らかになりつつあるという事実である。

斎藤氏によれば、無限の経済成長を追い求める資本主義というシステム自体に今すぐブレーキをかけない限り、気候変動が止まらないという。資本主義が引き起こしている問題を、資本主義という根本原因を温存したままで、解決することはできない。

これが気候変動の問題の核心部分であるにも関わらず、そこに対しては国連も各国も強くメスを入れることなく、SDGsでなんとなく対策を行っている風を装っている。そのことに問題があるのである。

SDGsへの批判・問題点3:多発するSDGsウォッシュ

第三の批判、問題点は「SDGsウォッシュの多発」である。現在、SDGs=地球環境に良いことを行うことは企業に強く求められている。先進諸国においてはSDGsを含む環境に負荷の少ない取り組みの促進が、消費者からの印象向上やよりよいブランディングに直結するためSDGs的なものを前面に押し出すようになってきている。

そこで問題となるのが「SDGsウォッシュ」である。SDGsウォッシュとは、SDGsに取り組んでいるようにみえて、実態が伴っていないビジネスを揶揄する言葉である。 実際はそうでないにも関わらず、広告などで環境に良いように思いこませる「グリーンウォッシュ」が語源となっている。

日本で唯一の持続可能な社会の実現をテーマにした雑誌「alterna(オルタナ)」編集長の森摂氏のインタビューによると、例えば日本では、3メガバンク(三菱東京UFJ、みずほ、三井住友)による石炭火力への融資が「ウォッシュ」だと言えるという。

SDGsバッジを胸に付けている金融機関が、石炭火力からの投資撤退に動かないのは矛盾しており、表では「SDGsに積極的に取り組んでいる」といいつつ、裏では「石油火力に力を注いでいる」。これは消費者を欺いているということができ、SDGsウォッシュにあたるのだ。

SDGsウォッシュの事例からわかるのは、「SDGsに取り組むことの価値が高まるにつれ、実態が伴わないビジネスであるSDGsウォッシュが拡大する」という事実である。むろん、真面目にSDGsに取り組む企業がほとんどであるとは思うが、こういった企業が存在する以上、SDGsはうわべだけであると批判されても仕方がない。国連や管理する側は罰則を強化したりより愚直に真面目にSDGsの目標達成に取り組むことが企業や個人にとってインセンティブとなるような仕組みをつくる必要がある。

最後に-SDGsへの批判や問題点の指摘が真の意味あるSDGsをつくる-

本記事ではSDGsへの批判、問題点をいくつか取り上げてきた。ここで取り上げた点以外にもSDGsへの批判は問題点は存在するが、大切なのはそれらの批判や問題点を公の問題として共有し議論を深め是正していくことである。SNS上でも口コミでもいいので声に出してしてきすることが、SDGsウォッシュや1人1人の免罪符的SDGs行動を変えていく。

最後に、SDGsバッジを付ける企業や公的機関の人々は、いますぐ意識を変え、社会におけるSDGsの先導者として責任を果たす行動を行うべきである。また私たち1人1人は、SDGsが掲げられた商品や広告をみてそれを鵜呑みにすることなく、1度疑ってみることが求められる。SDGsが免罪符として機能する消費行動から企業も個人も抜け出していかなければいけない。

KAYAKURAではSDGsに関する講座や勉強会の講師(オンライン可)・WSのファシリテーション、SDGsと関連した地域活性化・地方創生・観光インバウンド・移住関連事業のサポート/コーディネート、執筆、調査を行っております。まずはお気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。講師のプロフィールはこちらをご覧ください。

参考資料
Oga Yukiko, 2019, 「うわべだけの「SDGsウォッシュ」にご用心。「ウォッシュ」にならないために必要なこと」HUFFPOST.
斎藤幸平, 2020, 「SDGsは「大衆のアヘン」。資本主義に緊急ブレーキを!」現代新書.
・斎藤幸平, 2020, 『人新世の「資本論」』集英社新書.

この記事を書いた人

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Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.