【ワーケーションに関する調査結果公表】ワーケーション体験会は仕事のストレス軽減と交流機会創出に効果があり、職場でのワーケーション導入意識と地域再訪意識を高める | KAYAKURA社会動向レポートvol,3

ワーケーション調査

KAYAKURAでは不定期で地域・社会・観光のトレンドを分析した社会動向レポートを公開しています。今回(2020年11月24日)に公開するのは社会動向レポートvol,3「ワーケーション体験会が参加者に与える影響に関する研究-長野県千曲市ワーケーション体験会を事例として-」です。

本稿では近年、企業や自治体から注目される「ワーケーション」について、長野県千曲市でのワーケーション体験会参加者への調査結果の分析を通してその効果と影響を分析しました。

分析の結果、ワーケーション体験会は交流機会と弱いつながりを創出すること、仕事のストレスを軽減する効果があること、地方自治体にとっての関係人口を効果的に創出する可能性があること、体験会参加者は他自治体でのワーケーション実践希望も高いこと、職場でのワーケーション導入意識が高く他者へのワーケーションおすすめ意識も高いことが明らかになりました。

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「ワーケーションについて基本から知りたい」方は、あわせてこちらの記事もご覧ください。

1, はじめに

近年、オンライン技術の進歩、働き方の多様化、観光産業の規模拡大、モビリティ(mobility)の高まりになどに伴い「ワーケーション(workation)」に注目が集まっている。ワーケーションとは仕事(work)と休暇(vacation)とを融合させたワークスタイルを指す欧米発の概念である [松下慶太, 2018]。

日本においては2017年2018年頃から働き方改革や地方創生の流れで注目され始め、コロナ禍に一般的にも認知されるようになった。日本におけるワーケーションは、その独特の文脈と広まり方から日本型ワーケーションと呼ばれる形で確立しつつある。

しかし日本型ワーケーションが確立されつつあるとはいえ、ワーケーションがバズワード化している状況は否めず、関わるアクター(地域行政・関連事業者・個人・制度導入企業)によっても目的や方法が異なるため、持続可能なワーケーションの在り方は十分に検討されているとは言いにくい。

ワーケーションに関する先行研究や各種調査数は未だ少なくその多くが概念整理や実践者ではない非実践者への希望調査に留まっている。ワーケーションの印象調査と分析はエクスペディア・ジャパンや株式会社日本旅行、山梨大学田中研究室などによって実施されているが、ワーケーション実践者にワーケーションが与える影響についての分析はNTTデータ経営研究所他によるもの以外ほとんどない [エクスペディア・ジャパン, 2020] [株式会社日本旅行, 2020] [三科百花, 2020] [株式会社NTTデータ経営研究所, 株式会社JTB, 日本航空株式会社, 2020]。

そこで本研究では、長野県千曲市で官民が連携して実施する2泊3日のワーケーション体験会参加者への調査を基に、ワーケーションが参加者に与える影響とこれからのワーケーションの在り方と可能性を考察していく

2, ワーケーションとは何か

天野によればワーケーションという言葉は2010年代前半からBBC、ニューヨークタイムズ、フォーブス等の欧米主要メディアで報道されるようになりその存在が知られるようになった [天野宏, 2018]。

日本においては企業では2017年頃から働き方改革、副業・複業促進、Well-Being向上などを目的にJAL等の企業を筆頭に導入されてきた。自治体では2018年頃から地方創生や関係人口・交流人口創出を目的に和歌山県や長野県が先導して促進されてきた。

官民の取組が本格化してきた矢先に新型コロナウイルスが拡大し、菅総理大臣が観光戦略実行推進会議や所信表明演説で言及し一般にもワーケーションという言葉が広まるところとなった。

上記のような背景から短期間に急速に拡大するワーケーションという言葉だが、その定義は確立されておらず田中らの研究では10の異なる定義が示され、定義によって含まれる要素がそれぞれ異なることが明らかにされている [田中 石山, 2019]。

また田中らは欧米のワーケーションと比較して日本におけるワーケーションを「日本型ワーケーション」と名付け、その定義を「個人が主体的に価値を認めて選択する、日常的な仕事(ワーク)に、非日常的な余暇(バケーション)の感覚を埋め込んだ、柔軟な休暇体験と働き方」としている。

日本型ワーケーション拡大の背景としては、①長時間労働の是正・企業の積極的な休暇取得要請 ②若年層を中心としたワークライフバランスの重視など働く価値観の変化 ③人材不足や離職率の上昇、企業の魅力ある働き方推進の戦略上の重要性 ④テレワーク・リモートワーク等の普及、浸透 ⑤地域における関係人口創出、拡大への期待感 ⑥地域における外部人材や地域外人材との交流によるイノベーションの創出という6つの要因が挙げられる。

3, ワーケーション体験会が実施された長野県千曲市の概要

千曲市は長野県の北部、北信地方の千曲川流域に位置する人口約60,000人の自治体である。2003年に更埴市、上山田町、戸倉町が合併して誕生した。

古くから日本三大車窓の姨捨駅からの夜景や姨捨の棚田、戸倉上山田温泉、東日本最大級の前方後円墳森将軍塚古墳、名産である杏子など豊かな資源が人々を魅了し続けてきた。個々の観光資源の質は高くファンも多い一方で、一社千曲観光局職員によれば、千曲市としての認知度が高くない、個々の資源をつなぐ仕組みが無いなどの課題がある。

また2019年には台風19号の大きな被害を受けたため、一部でクライシスによるネガティブな千曲市のイメージが全国に拡大した。

千曲市は2019年に長野県のワーケーション推進事業「信州リゾートテレワーク」モデル地域として認定された 。ワーケーションの取組は主に千曲市役所と民間事業者株式会社ふろしきやとが連携して進めている。

ワーケーションを推進するための主な取り組みとしては、2019年度から株式会社ふろしきやと連携し、不定期でワーケーション体験会を実施している。2019年度には1回、2020年度には計4回実施する予定であり、2020年11月23日時点で計3回実施している。11月4日~6日に開催されたワーケーション体験会については、こちらの記事をご覧いただきたい。


これ以降(約8,000文字)はPDFにてご覧ください。


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この記事を書いた人

KAYAKURA 編集部

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