安倍総理大臣 辞任による影響は-地方創生など-

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安倍総理大臣は8月28日、総理大臣を辞任する意向を固めました。安倍総理大臣は、28日夕方に記者会見することになっており、辞任の理由などを自ら説明するものとみられている。

コロナ禍、8月に入ってから体調不良が各種メディアで取り上げられてきましたが、安倍総理大臣は検査の結果、持病である「潰瘍性大腸炎」が悪化していることが分かったことなどから国政に支障が出る事態は避けたいとして、総理大臣を辞任する意向を固めたものと思われる。

歴代最長の在任期間となった安倍総理大臣が辞任するとなると気になるのがさまざまな施策への影響。特に地域・地方に関する取り組みを行ったり興味関心を持つ読者が多い本サイトとして気になるのは、地方創生の行方である。

2020年7月17日には地方創生に関する基本方針が閣議決定された。新型コロナウイルスを経て決定された2020年今後の方針は、移住先での在宅勤務やワーケーションを推進、東京一極集中と若者の地方離れを食い止めるため、東京に本社を置く企業の地方でのオフィス開設や従業員の地方移住を促すほか、地方大学の魅力強化にも取り組むようなものであった。

安倍総理大臣が辞任した場合、すぐに変わることはないものの来年度以降は予算配分や力の置き方に変化が出てくる可能性がある。安倍総理大臣が辞任した後、地方創生にはどのような影響が出るのだろうか。地方創生のこれまでを振り返りながら検討していく。

安倍総理大臣の肝いりで始まった地方創生・『まち・ひと・しごと創生本部』

2014年9月、安倍総理大臣の肝いりで『まち・ひと・しごと創生本部』が設置された。人口減少克服、地方創生という課題に省庁横断で取り組むことを目指したこの組織は、その後、地方創生を推進するためにさまざまな施策・事業を行ってきた。

『まち・ひと・しごと創生本部』の基本方針は(1)若年層の就労・結婚・子育て支援、(2)東京一極集中の歯止め、(3)地域課題の解決であった。2015年から本格的にはじまった地方創生事業ではこれらの課題を解決するためにさまざまな取り組みがなされてきた。

地方創生開始から5年、効果は出ているのか、いないのか

開始から5年、地方創生が具体的にどのような効果を地方にもたらしたのかは今後大いに検討していく必要がある。2020年1月20日に安倍総理大臣が行った施政方針演説では、政府が推進する「地方創生」の成果について、具体例を挙げて強調したが誤解を招きかねない表現が一部散見され、野党からは「フェイク(うその)演説だ」との批判もあった。

東京都の2020年5月1日時点で推計した人口が初めて1,400万人を突破したこともコロナ禍に明らかになった。基本方針として掲げられた、(2)東京一極集中の歯止めは残念ながらあまり効果が出ていないのが現状である。

安倍総理大臣退任後、次期総理大臣が地方創生をどうしていくのか注目

安倍総理大臣の肝いりで始まった地方創生関連の補助金や助成金によって活動している地方の団体は数多く存在する。特に地方創生のなかではじまった総合計画の策定や人口ビジョンの策定などは地方自治体の未来を大きく左右するものにもなっており、もしも見直されるとしたらそれなりの影響はある。

今後、安倍総理大臣が辞任したことで誰が後任になるのか、次期総理大臣は地方創生についてどのような方向性で進めていくのか。地方創生に関わる人々、地方自治体にとって安倍総理大臣の辞任は単なる辞任ではなく、今後の施策や事業を進めていく上で大きな影響がでる可能性もある。

これはあくまで一例だが、時期総理大臣候補の1人として名前があがることの多い2018年の自民党総裁選に立候補した石破茂元幹事長は、地方創生、地方重視を公約の柱の一つに掲げ、安倍総理大臣との一騎討ちに臨んだ過去がある。

石破氏がこのとき地方創生を強調したのは、国会議員票の7割以上を固めているとされる安倍総理に対抗するためには、地方票を押さえるしかないという戦略があった。また石破氏は地方創生担当大臣を2016年8月まで務めていたため、地方創生は貴重な実績の一つであり思い入れがあることも理由の1つである。

このように地方創生に思い入れが深く関わった経験もある人物が次期総理大臣になれば地方創生への予算や取組が増える可能性がある。しかし地方創生にあまり関心がない、もしくは効果が無かったと判断する人が次期総理大臣になったら予算は削られ各種取り組みも縮小していくだろう。

ただ誰が次期総理大臣になったとしても、安倍総理大臣が辞任するこのタイミングは開始から5年経った地方創生を見直すよい機会であることは確かである。1つの区切りとして政策評価しけじめをつけることは必要ではないか。そうしなければズルズルと結果が出ないままお金と時間が泡に消えかねない。2020年代の地方創生がどうなるのか、引き続き状況を注視していく必要がある。

参考資料
・事業構想, 地方創生 「ブーム」で終わらせないために必要な視点.
・NHK NEWS WEB, 安倍首相 辞任の意向固める 持病が悪化したことなど理由に.
・西日本新聞, 首相演説「フェイク」批判も 地方創生成功例は転出、最高税収も暗雲.
・島澤諭, 自民党総裁選を前に地方創生を勝手に検証してみた

この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.