コロナによる道路占用許可の緩和について解説-期間・費用・申請方法・期待と課題など-

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として国内外で注目される路上でのテラス席設置や販売営業活動。これまでの日本の法律では諸外国と比べて路上利用がうまく進みませんでしたが、コロナをキッカケに道路占用の需要が高まることが見込まれるため緊急措置として道路占用許可が緩和されることになりました。

国土交通省が示した今回の緊急措置のポイントは以下の4点となっています。

  • 新型コロナウイルス感染症対策のための暫定的な営業であること
  • 「3密」の回避や「新しい生活様式」の定着に対応すること
  • テイクアウト、テラス営業等のための仮設施設の設置であること
  • 施設付近の清掃等にご協力いただけること

この記事では今回の道路占用の基準が特例的に緩和されることに関して、

  • そもそもなぜ道路占用の緩和をこのタイミングで行うのか
  • 道路占用が緩和されることで何ができるようになるのか
  • 道路占用の緩和がどのような場合にできるのか
  • 道路占用した営業活動がしたい場合はどうすればいいのか

などを国からのリリース情報をもとにわかりやすく解説していきます。

道路占用許可基準が緩和される理由と背景

新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が解除されたことで、今後は感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を持続させることが求められてきます。感染拡大の防止のために営業再開する飲食店などで求められるのが「三密の回避」です。三密を回避した新しい生活様式が広まっていくのに際して、飲食店などからは店内の飲食やテイクアウトだけでなく「沿道の飲食店等が、テイクアウト販売やテラスにおける飲食提供等のための仮設の施設を路上に設置」する営業活動を望む声が高まっていました。

これらの声を踏まえて国土交通省は6月5日に「地方公共団体等と連携して申請するとテイクアウトやテラス営業などのための道路占用の許可基準を緩和する」ことを決定しました。法律では道路に物を置く場合には道路管理者の許可が必要です。ただ現状の法律では飲食店が店先にテーブルなどを設置する場合は敷地内に置くよう求められ、道路の使用は認められない場合が多いため今回の緩和は画期的であるといえるでしょう。

今回の措置で見逃してはいけない点は2点あります。1つ目は「地方公共団体等と連携して申請すると道路占用の許可基準が緩和される」こと。2つ目は「緊急措置」であり現時点では永続的な対応ではない点です。

道路占用許可の期間

道路占用の許可基準緩和は現時点では令和2年11月30日までの予定です。主に夏秋期間のみの緊急措置ですが、延長を望む声が多ければ形式を変えつつより長くなる可能性はあると考えられます。

道路占用の主体は自治体や地域のまちづくり協議会団体などからのみ受け付ける

道路占用許可の申請は個別の店ごとではできない点に注意が必要です。申請する場合は以下の4つの主体条件に当てはまる必要があります。飲食店を営んでいて道路占用許可申請を行いたい場合は、まずは自治体に相談しましょう。

  • 地方公共団体又は道路協力団体
  • 地方公共団体を含む地域住民・団体等の関係者からなる協議会等
  • 都市再生推進法人又は地域再生推進法人等
  • 地方公共団体が支援する沿道飲食店等の路上利用(地方公共団体が支援する理由及び内容並びに当該路上利用に係る占用の許可に関する意見を占用許可申請書に付しているもの)の実施主体(商店街振興組合、商工会等を含む。)

道路占用許可申請を経て利用できる場所

道路占用許可申請を経て利用できる場所は、道路の構造又は交通に著しい支障を及ぼさない場所が示されています。歩道では交通量が多い場所は3.5m以上、その他の場所は2m以上の歩行空間の確保が必要です。また沿道店舗前の道路にも設置は可能です。

道路占用料は免除

今回の緊急措置による道路占用の場合、占用料はなんと免除となります。ただしこれには施設付近の清掃等にご協力いただけている場合という条件はありますが、つかった場所とその周辺はキレイにするという当たり前のことができていれば問題ありません。

道路占用許可の条件

道路占用許可にあたっては、一般的な条件のほかに必要に応じて以下の条件が付されています。実施する場合は周辺状況を鑑みて適宜対応するようにしましょう。

  • 迂回路や駐車場等の交通案内を行うこと。
  • 沿道飲食店等の路上利用により多数の来客が見込まれる場合は、十分な駐車場等を確保すること。
  • 沿道飲食店等の路上利用の終了後は、道路の清掃を行い、原状回復すること。
  • その他道路管理者が必要と認める事項。

まとめ-道路占用許可緩和への期待と展望・課題-

道路占用許可が緩和されることによって、オープンエアの店やテラス席のある店が増えることが予想されます。日本では規制が厳しくこれまでテラス席は進んできませんでしたが、諸外国のような景色が日本でもみられるようになることが期待できます。特にこれから夏の暑い時期は外でお酒を飲むことを楽しめるため、これまでの夏とは少し違う光景と体験が拡がるかもしれません。

一方で懸念点や注意すべき点もあります。民家が密集している地域の場合は騒音トラブルなど近隣住民への配慮が必要となります。緊急措置が今後も続いていくためにも1人1人のマナーが求められるでしょう。また同じく夏時期は食べ物が傷みやすかったり虫も寄ってきやすかったりするため、これまでの提供方法とは異なる知恵を絞ることも求められます。点字ブロックにも配慮が必要でしょう。

今回の緊急措置が画期的なのは歩行者中心の街並み整備が進む可能性がある点です。これまで多くの日本のまちづくりは車中心の設計となっていました。しかしMaaSなどによってサービスとしての移動が高まる可能性やパブリックスペースの新たな展開がなされつつある今日、歩行者にとって暮らしやすく心地よいまちづくりへの転換が求められ始めています。

道路占用許可の一時的な緩和の延長線上に歩行者中心のまちづくりがどれほど広まっていくのか、新たな地域への社会実験として11月30日までの結果に注目です。


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参考資料
国土交通省:新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用の取扱いについて
国土交通省:リーフレット
国土交通省:「新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用の取扱いについて」等の送付について

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この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.