5つの新しいコミュニティ概念の定義と関連本11選-コミュニティデザイン, マネージャー, マネージメント, ビジネス, マーケティング-

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コミュニティ概念は時代と環境と共に使われ方が変化している。日本では東日本大震災以降とくに広い文脈でコミュニティという言葉が使われるようになってきたが、安易なコミュニティの使用と広まりにより「コミュニティの氾濫」ともいえる状況にもなっている。そこで主に2010年代に生まれ少しずつ広まっている「コミュニティ○○」概念5つの定義を確認するとともに、さらにコミュニティに知るための各概念と関連するおすすめの本を紹介する。

→【徹底解説】コミュニティとは何か?研究者が定義と歴史をわかりやすく解説(社会学)

コミュニティ・デザイン|定義とおすすめの本

コミュニティデザインは、2011年に東北芸術工科大学・京都造形芸術大学、studio-Lの山崎亮氏が著書「コミュニティデザイン-人がつながるしくみをつくる」で広く世に知られた概念である。山崎氏らが関わった兵庫県三田市の有馬富士公園、鹿児島県鹿児島市のマルヤガーデンズ、兵庫県姫路市のいえしまプロジェクトなどのデザインが、その代表的な仕事として知られている。

山崎氏によればコミュニティデザインとは「人のつながりのデザイン」である。具体的にいうと「人の集まりが力を合わせて目の前の課題を乗り越え、さらに多くの仲間を増やしながら活動を展開することを支援する」ことを目指す一連の流れと手法をコミュニティデザインと呼ぶ。山崎氏はコミュニティデザインという言葉を使うことで「ハード(箱もの)」のデザインと区別し、ソフトな手法で上記の目標を達成することを目指す。現在では山崎氏に影響を受けさまざまな地域でコミュニティデザインの手法を用いて課題解決の活動に取り組む人がいる。

コミュニティマネージャー|定義とおすすめの本

『コミュニティマネージャーの仕事』の著者 中山領氏によればコミュニティマネージャーとは「コミュニティづくりの立役者」である。中山氏が専門とする企業が主体のオンラインコミュニティである「ブランドコミュニティ」においては、期待されるマーケティングゴールを達成するためにコミュニティを常にアクティブな状態に維持するキーマンがコミュニティマネージャーであるという。コミュニティの運営方針の決定から投稿計画の立案、投稿案の製作手配、ファンへの対応、効果測定、今後の展開や実施に向けての進行などがコミュニティマネージャーの仕事だ。

コミュニティマネージャーは企業が主体のオンライン上以外でも利用される。コミュニティマネージャーとしていくつものコミュニティに携わる長田涼氏によれば、コミュニティマネージャーは「コミュニティを安全な場としてマネジメントする存在」であるという。株式会社ツクリエのWakasa Kaori氏は、株式会社ツクリエにおけるコミュニティマネージャーの役割は「ハブのような存在で、メンバーさん同士のマッチングやパートナーとの連携など、メンバーさんにより近い存在でサポートする」ことだという。株式会社ツクリエの場合はオフラインのランチ会やミートアップも企画するオフラインでのコミュニティマネージャーだ。

コミュニティビジネス|定義とおすすめの本

本記事で紹介する5つの概念の中で唯一政府系の団体がページをつくり普及に努めているのがコミュニティビジネスである。経済産業省関東経済産業局によるとコミュニティビジネスとは「地域課題の解決を「ビジネス」の手法で取り組むものであり、地域の人材やノウハウ、施設、資金を活用することにより、地域における新たな創業や雇用の創出、働きがい、生きがいを生み出し、地域コミュニティの活性化に寄与する」ものとして期待されている概念である

近年こちらもよくつかわれる「ソーシャル・ビジネス」が社会的課題全般の解決を目指すのに対し「コミュニティビジネス」はそのうちの地域的な課題に特に着目する。つまりコミュニティビジネスはソーシャルビジネスに包含されるのである。活動分野に制限はなく、地域課題解決というミッションを第一義に活動していればそれはコミュニティビジネスである。特に多い団体形態はNPOなど、現在多くの団体が抱える課題は事業の自立・継続である。本記事で紹介する中で最も行政に近い距離にあるため補助金などで数年は運営できてもその後自立できない事例が多く課題となっている。

コミュニティマーケティング|定義とおすすめの本

コミュニティマーケティングは、マーケティングがデジタルシフトする現在注目を集める概念である。HubSpotの向井拓真氏によればコミュニティマーケティングとは「コミュニティ「を」通じて売るマーケティング」である。注意すべきは「特定のコミュニティや自社で築いたコミュニティ「へ」売るマーケティング手法」ではないということ。サブスクリプションサービスの勢いが増していることで、企業は継続的に使い続けてもらうことを考える必要が発生しコミュニティに目を付けたのである。

一方、博報堂コンサルティング代表取締役社長協働CEO/エグゼクティブクリエイティブディレクターの喜馬克治氏は様々なブランドが自ら主宰するコミュニティマーケティングが注目を集めている指摘する。トヨタ自動車が主宰するスポーツカー86のファンコミュニティーが企業が主催するコミュニティマーケティングの好例であり、企業は主催するコミュニティおいて公平な視点から積極的に「コミュニティ・ガーディアン」の役目を果たすことが大切であるという。2人の考えから、識者によってコミュニティ・マーケティングの定義はいまだ明確に定まっていないといえるだろう。

コミュニティマネージメント|定義とおすすめの本

コミュニティマネージメントとは、東京大学Funder Xの馬田隆明氏によれば「ユーザーグループなど、新しいつながりを作ったり、既存のつながりを強めることを含む活動」を指すという。コミュニティマーケティングとの違いは、コミュニティマーケティングが口コミマーケティングやアンバサダーマーケティングなど人のつながりを活用することよりなのに対し、コミュニティマネージメント新規につながりをつくったり、維持したり、強化したり、組み替えたりと関係性に介入するのが特徴である。

コミュニティマネージメントは都市計画・まちづくりの世界でも使われている。東京都市大学の室田昌子氏によれば、老朽化したインフラや拠点の整備、地域の魅力づくりに向けた活動など地域単位でトータルに再生し継続的に価値向上を目指すためのマネージメントが、コミュニティマネージメントと呼ばれる。地域におけるコミュニティマネージメントは特にドイツの社会都市におけるマネジメントが先進的事例である。ちなみに龍谷大学は社会学部の中にコミュニティマネジメント学科を設置している。

まとめ-なぜいまコミュニティが注目されるのか?と常に考え続けよう-

本記事で紹介したのは数多くあるコミュニティ関連の概念のほんの一部にすぎない。海外から輸入された言葉、学術的には使われている言葉など視野を広げるとコミュニティ○○という概念はさらに多くある。このような現状をうけて考えるべきは「なぜいまコミュニティが注目されるのか?」ということ。この問いの答えが各々携わる分野でみえてきたとき、自分が用いるべきコミュニティ概念が明らかになるだろう。

KAYAKURAではコミュニティ・社会に関する記事を多く掲載しています。興味関心のある方はぜひご覧ください。

参考資料

この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.