六次の隔たりとは?わかりやすく解説-SNSで共通の友達が出てくるのは小さな世界を生きているから-

自分の知り合いが、まったくつながっていると思っていなかった友達とも実は知り合いだった!なんて経験をしたことありませんか?私たちはたった5人を介せば世界中の誰とでもつながる「小さな世界(It’s a small world)」を生きています。新型コロナウイルスの拡大スピードやFacebookの共通の友達機能で注目される「六次の隔たり」についてわかりやすく解説していきます。

六次の隔たりとは?小さな世界問題

六次の隔たりとは「世界中の人間の中からAさんとBさんという2人を取り出したとき、2人を媒介する知人を何人つなげばこの2人がつながるか?」という問いと、それに対する答え「どこに住んでいるのかに関わらず、無作為に選ばれた個人AさんとBさんをつなぐには、平均してたった5人の媒介者がいれば十分である」という事実を指します。

媒介するのは5人ですが、AさんとBさんを入れるとスタートからゴールまで7人になり、その間は6つなので「六次の隔たり」と呼ばれます。たったの5人媒介すれば誰とでもつながる、この驚きの事実を指して「小さな世界問題」と呼ばれることもあります。

六次の隔たりを提唱したのはアメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラム

六次の隔たりを世界で最初に提唱したのは、アメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムです。彼はこの実験以外にも多くの功績を残しています。

最も有名なのは、人は権力がある人に命令されると自分の意思に反していても「責任ないからいいや」と思い悪い行動をしてしまうことを発見した「ミルグラム実験」です。これはユダヤ人虐殺問題を筆頭に「人はもとから悪いのではなく、思考停止することで忠実に命令に従い悪を侵す」ことを論理的に証明した実験として有名です。

六次の隔たりを世界で最初に提唱した論文と実験方法

ミルグラムは1967年に六次の隔たりを提唱する論文”The Small-World Problem”を発表しました。実験方法は単純です。任意のAさんとBさんを選出し、Aさんから知り合いを通してBさんまで手紙を送るのに、何人を経由する必要があるのかを実験しました。ミルグラムは実験する際に以下のような条件付けを行いました。

  • MITのマイケル・グレッヴィ博士により、人々は100日間で約500人と接触することがわかった
  • 手紙にはこのように記しました。「もし目標人物Bさんを個人的に知らない場合は、直接連絡しないでください。代わりに、あなたより目標人物Bさんを知っていそうな個人的な知り合いに郵送してください。それはファーストネームで呼び合うような関係性でなければなりません。」

六次の隔たりの実験を通して検証されわかったこと-SNSでも通ずること-

六次の隔たりが実験によって明らかになりましたが、それ以外にも多くのことが実験で検証され明らかになりました。

  • 異性に郵送するよりも同性に郵送する確率が約3倍高かった=ある種のコミュニケーションは性別役割によって強く制約されている
  • 目標人物Bさんの1つ前の人は、64枚の手紙のうち16枚が同じ人から最後Bさんに届けられていた=とくに人気を集める一部の経路を通して連鎖が伝達された=ハブとなるような知り合いの多い人物がキーマンとなっている
  • 1人目で目標人物Bさんのすぐ近くまで手紙がいったケースもあったが、近くの地域に来たにも関わらず届かなかったケースが多数あった=社会的なコミュニケーションは、物理的距離よりも社会的距離によって制約をうける

3つ目を分かりやすい事例に落とし込むと、あなたがある人にこう話しかけられたとします。

「君さ、○○さんって知ってる?ほら、君が住んでる地域でいろいろ地域をよくするために活動している有名人だよ!」

話しかけた人は自分が属する世界の有名人が、地域が同じというだけであなたも知っていると思い話しかけてきています。しかし話しかけてきた人にとって社会的距離が近い○○さんは、あなたにとっては物理的距離が近いだけで社会的距離は近くないため知り合いである可能性は低いのです。同じ地域に住んでいることよりも、何でつながっているかが知り合いかどうかを規定するのです。

六次の隔たり=5人で目標人物に達する事実と直感の差はなぜ生まれるのか

「たった5人を仲介すると世界中誰とでもつながる」という事実は、直観ではにわかに信じられないかもしれません。では、どうして事実と直感が異なるのでしょうか?それは目標人物Bさんのもとに手紙が届く過程の5人は、それぞれが約500人以上の人とつながっているからです。

1人目が500人の中から1人を選び、2人目も500人の中から1人を選び…と5人が続けていくと、31,250,000,000,000通りもパターンが存在することになるのです。500人の中には被りもあるので単純に計算はできませんが、単に倍増するのではなく幾何級数的に増えていくからたどり着くという事実はわかると思います。

六次の隔たりはインターネットによって3,5次の隔たりになった

六次の隔たりは1960年代に郵送で行った研究でしたが、同じことをFacebookがインターネット上で2016年に行いました。Facebookがアクティブユーザー15億9000万人を対象に調査を行ったところ、平均して3.57人を介すれば誰とでも繋がっている状態であるとわかりました。

Facebookによると、この値は2.9~4.2の間に収まる人が大多数。創業者であるマーク・ザッカーバーグCEOは3.17、シェリル・サンドバーグCOOは2.99だったとのこと。インターネットによって私たちの社会的距離はどんどん縮まり、世界はより小さくなっているのです。

六次の隔たりを深堀するのにおすすめの本

六次の隔たりをこの記事だけですべて理解することは不可能です。社会学的な研究所からビジネスにも応用できる本をいくつかピックアップしたので、ぜひ購入して六次の隔たりへの理解を深めてみてください。

まとめ-六次の隔たりはさまざまな場面で応用可能な理論-

六次の隔たりは社会学・社会心理学の枠にとどまらず、さまざまな場面で応用可能な理論です。マーケティング、地域運営、ウイルス感染の広まり方、SNS分析などなど。直観では見誤ってしまう事実を正確に捉えるためにも、ぜひ六次の隔たりやKAYAKURAに掲載されている他の社会学用語を身につけてみてください。特に弱い紐帯理論は六次の隔たりと並んで現代でとても重要なネットワーク理論です。

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最後に、効率よく学ぶために本を電子版で読むこともオススメします。

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この記事を書いた人

KAYAKURA 編集部

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