コミュニティ運営で失敗しないために押さえるべき3つのポイント-社会心理学的に解説-

池田つむぐプロジェクト

オンライン・オフライン問わず人気を集めるコミュニティ。同じ価値観、同じ目的意識を持った人たちが集い情報を交換し学ぶ合うコミュニティは、個人化がより一層進む現代社会においてもはやトレンドではなくなってきています。そこで増えているのが「コミュニティを運営したい!」「コミュニティを運営してみたけど失敗した」という声。

この記事では社会心理学的に「コミュニティ運営で失敗しない方法」を伝授します。言い方を変えればこれは「成功するコミュニティ運営方法・運営者の共通点」でもあります。これからコミュニティを運営したい人、いまコミュニティの運営で行き詰まっている人はぜひ参考にしてみてください。

→【徹底解説】コミュニティとは何か?研究者が定義と歴史をわかりやすく解説(社会学)

集団思考:全員の意見一致を目指すと悲惨な結果を招きかねない

コミュニティが抱えていがちな特徴

複数人が所属するコミュニティ運営で避けて通れないのが「コミュニティ全体で物事を検討し決定するプロセス」です。1人のカリスマが全てを決めるタイプのコミュニティであればこの問題は起こりませんが、本来、考えたり学んだりすることに興味があるコミュニティメンバーがみんなで考えたことで、普通では考えられないような残念な結論を出してしまうことがあります。これを「集団思考」と呼びます。

コミュニティの内部は多くの場合、以下のような特徴を持ちます。

  1. コミュニティのまとまりが強い
  2. 最も影響力の強い立ち上げ人がいる
  3. ライバルとなるような似たコミュニティがある
  4. 外部からの情報が入りにくい

こうしてコミュニティは悲惨な結果にたどり着く

1~4の集団思考が生まれる要因によって、全員の意見一致を求める集団思考が発生します。なぜ集団思考は発生するのでしょうか?集団思考が生まれる理由は大きく以下の7つだと考えられます。

  1. 楽天的になり、自分たちはすごい!無敵だ!という幻想が発生する
  2. このコミュニティは完全に正しいと信じるようになる
  3. コミュニティの意見に反対する情報を無視する
  4. 他の集団は劣っていて、自分たちのコミュニティのある種の敵だと思う
  5. コミュニティ内での異論や、方針に沿わない情報は歓迎されなくなる
  6. 異論があっても言葉にしなくなる
  7. 5,6によって、コミュニティメンバー全員の意見が一致している!とみんなが思い込んでしまう

集団思考を回避するためのコツ

「うちのコミュニティはそんなこと起こらない!」と自信を強く持っている人ほど要注意です。歴史的な出来事でいえば、第2次世界大戦でドイツが敗戦確実となった出来事の一つであるソ連侵攻は、まさにこの流れで決定されました。つまり数千万人単位の集団でさえも集団思考は発生するのです。

コミュニティ運営者は全員一致、もしくは多数決などで結論を出すときは「本当にみんな正直に意見を言っているかな?」と常に疑うことが大切です。投票や意見の収集の差異には個人が特定できないように匿名化するなどもときには重要です。そして、コミュニティ運営時は常にメンバー内の「風通しの良い雰囲気」があるかどうか気にしてみましょう。

優れたリーダーの特性:コミュニティの運営者に必要な8つの特徴

優れたコミュニティ運営者=リーダーには特徴がある

はじめに断っておきますが、ここで紹介するコミュニティ運営者=リーダーに必要な特徴とされる特性は現在、少しずつ学術的には疑問視され始めています。しかし研究水準で疑問の声は上がっていても、コミュニティ運営のようなリーダーシップを発揮する場では、以下の特性を意識することが優れたリーダーとしてコミュニティを失敗しないように運営するために重要です。また以下の特性はコミュニティのタイプによってその必要度合いは変わるため、自身が運営するコミュニティに合わせて活用してみてください。

コミュニティの運営者は集団のリーダーだといえるでしょう。社会心理学では現在まで多くの研究者が「優れたリーダーは普通の人とは違う特性をもっていて、特性は多くのリーダーが共通して持っている」という特性論に興味をもってきました。特性論は現在でも実践の場で強く効果を発揮する考え方なので、もし欠けている特性があってそれが努力によっていまから身につけられるものであれば、特性を身につけるために頑張ってみてもいいでしょう。

優れたリーダーの特性は8つに分けられる

ここで紹介するリーダー特性はR.M.ストッディルとB.M.バスがまとめたものです。彼らはリーダーシップを発揮するために必要な特性は8つに分けられると考えました。以下の表でYESが多いほどリーダーシップが発揮できる人とされています(現在は一部当てはまらないものもあり)。

責任感が強いYES or NO
学業成績がよいYES or NO
たくさんの社会活動に参加しているYES or NO
社交性が高く優れた対人コミュニケーション能力をもっているYES or NO
活動的でエネルギッシュであるYES or NO
支配性が強いYES or NO
自信をもっているYES or NO
知能が優れているYES or NO

現代のコミュニティ運営者に特に必要な3つのリーダー特性

8つのリーダー特性のなかで現代のコミュニティ運営者に特に必要だと私が思うのは「たくさんの社会活動に参加している」「社交性が高い」「自信をもっている」です。これらは具体的な行動と努力、学びで習得することができます。

不確定要素が多い現代で生き残るコミュニティは「柔軟性」がありつつも「ぶれない軸」があり「メンバーの多様性が高い」コミュニティです。これらの条件を満たすうえで、他のコミュニティや社会活動に積極的に関わり学ぶことは欠かせません。また多様なメンバーとの意思疎通のためには豊かなコミュニケーション能力も必要です。そして流動的な時代に流されない信念=自信をもつことも大切です。コミュニティの運営者として欠けている部分があると感じた人は、ぜひコミュニティ運営に失敗しないためにも欠けた特性の習得に力を入れてみてください。

状況対応理論(SL理論)コミュニティの運営者は段階ごとにスタイルを変えよう

状況によって効果的なコミュニティ運営者の振る舞いは変わる

2つ目に紹介したコミュニティ運営者が身につけておきたい能力でしたが、ここで紹介するのは「状況によって効果的なリーダーシップの発揮方法は変わる」という考え方です。失敗するコミュニティ運営者の多くは初期の成功体験にとらわれ段階が進んでもリーダーシップの発揮方法を変えません。しかしコミュニティは生き物であるため、日に日にその姿(成熟度)を変えます。コミュニティ運営者はメンバーの成熟度によって運営方法を変える必要があるのです。

メンバーの成熟度によって4つにリーダーシップ・スタイルは分けられる

P. ハーシーとブランチャードはメンバーの成熟度によってリーダーシップのスタイルを以下の4段階に分けました。以下で用いる指示的行動とは課題達成行動を指し、協労的活動は関係維持行動を意味します。運営者は段階ごとにこの2つの行動をうまく調整してい用いる必要があるのです。

メンバーの成熟度
未成熟指示的行動高め
協労的行動低め
指示的リーダーシップ・スタイル
やや未成熟指示的行動高め
協労的行動高め
説得的リーダーシップ・スタイル
やや成熟指示的行動低め
協労的行動高め
参加的リーダーシップ・スタイル
成熟指示的行動低め
協労的行動低め
委任的リーダーシップ・スタイル

コミュニティができたばかりのときは指示を多めにしメンバーへの協力は少なめに、少し軌道に乗り始めたら指示もメンバーへの協力も多めに、完全に軌道に乗ったら指示は少なくしメンバーへの協力行動を多めに、そして、軌道に乗って時間がたったら指示を少なめにし協力も少なめにし運営やプロジェクトを任せていきましょう。

段階を見誤らないために大切なこと

まだコミュニティが未成熟なときに指示することをやめたり、コミュニティが軌道に乗ってきたにも関わらずいつまでも指示が多かったりするとコミュニティ運営は失敗します。メンバーと密度の濃いコミュニケーションをとりながらコミュニティの現状を把握し、運営者はリーダーシップ・スタイルを段階ごとに変えていくことが成功の鍵です。

もしも運営者が指示行動は得意だけど、一緒に活動に取り組んだり軌道に乗せるためにシステムを整備するのが苦手な場合は、自身の弱みを補う他のメンバーに役割を任せるのも賢い手です。しかし自身の弱みを補う優秀なメンバーを見つけるにも結局は密度の濃いコミュニケーションが必要になります。

コミュニティ運営で失敗しないためにおすすめの社会心理学本

この記事を書く際にも活用したコミュニティ運営で失敗しないために読んでおきたいおすすめの社会心理学本を紹介します。ぜひ買って読んでみてください。コミュニティ運営者はインプットを怠ってはいけません。

最後に-コミュニティ運営で失敗しないためにはコミュニケーションが不可欠

池田つむぐプロジェクト

コミュニティ運営で欠かしてはならないのは「メンバーとの密度の濃いコミュニケーションを継続すること」です。コミュニティ運営で失敗する一番の要因は、コミュニティの現状を見誤ることです。今回紹介した3つの失敗しないためのコツは全て密度の濃いコミュニケーションを継続していれば防げる可能性が高まります。ぜひ密度の濃いコミュニケーションを意識しつつ、コミュニティ運営を失敗しないために紹介した3つの社会心理学的ポイントを押さえてみてください。

KAYAKURAではコミュニティに関わる人が知っておいたら得する情報をまとめています。興味関心のある方はぜひ読んでみてください。

-ラジオ版KAYAKURA-

ラジオ版KAYAKURAは毎回1つのテーマについて5分~10分で深堀する音声コンテンツです。テーマは社会課題・最新ニュース・地方創生・観光インバウンドなど。スキマ時間の学びを思考を促す内容となっていますので、ぜひ聴いてみてください。

この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.