コロナ対策「新しい生活様式」とは?実践例と課題をわかりやすく解説

新型コロナウイルス対策のために、新規感染者数がある程度落ち着いた地域での「新しい生活様式」を政府専門家会議が発表しました。新しい生活様式は、コロナの拡大を防ぐために社会全体・地域全体で実践するライフスタイルを指します。

専門家会議の発表では「日々の暮らしの対策」「移動に関する対策」「買い物時の対策」「娯楽時の対策」などケース別に詳しく実践例が示されています。この記事では専門家会議の発表をもとに具体的な「新しい生活様式」を見ていくと共に、その課題について分かりやすく解説していきます。

新しい生活様式とは?

新しい生活様式とは、新型コロナウイルスの新規感染者数が落ち着いた/限定的になった地域で生活する際に実践することが求められる行動規範です。

「生活様式」という言葉は、現代では「ライフスタイル」という言葉で使われることも多くあります。生活様式とは「ある社会において成員が共通して行われているような生活の送り方」を指す概念です。広義には「文化」と同じような意味で使うこともあります。

「新しい」生活様式と書かれた背景には、従来の生活様式では新型コロナウイルスの感染拡大を防げないという考えがあります。一方で「新しい生活様式」には、新型コロナウイルスの拡大は防げても「他の問題を生み出す」ような面もみられます。1人1人が主体的に「新しい生活様式」の実践をその都度考え、取り入れていく必要があるでしょう。

ここからはケース別「新しい生活様式の実践例」をみていきます。

移動に関する感染対策

  • 感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。
  • 帰省や旅行は控えめに。出張はやむを得ない場合に。
  • 発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモしたり、スマホの移動履歴をオンにしたりする。
  • 地域の感染状況に注意する。

日々の暮らしの感染対策

  • 外出は、マスクを着用する。遊びにいくなら屋内より屋外を選ぶ。
  • 人との間隔は、できるだけ2メートル (最低1メートル)空ける。
  • 会話をする際は、可能な限り対面を避ける。
  • 家に帰ったらまず手や顔を洗う。できるだけすぐに着替え、シャワーを浴びる。
  • 手洗いは30秒程度かけて水とせっけんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)。

日常生活を営む上での新しい生活様式

  • まめに手洗い、手指消毒
  • せきエチケットの徹底
  • こまめに換気
  • 身体的距離の確保
  • 「3密」(密集、密接、密閉)の回避
  • 毎朝家族で体温測定、健康チェック。発熱または風邪の症状がある場合は無理せず自宅で療養
  • 屋内や会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用

買い物時の新しい生活様式

  • 通販も利用
  • 1人または少人数ですいた時間に
  • 電子決済の利用
  • 計画をたてて素早く済ます
  • サンプルなど展示品への接触は控えめに
  • レジに並ぶときは、前後にスペース

娯楽・スポーツの新しい生活様式

  • 公園はすいた時間、場所を選ぶ
  • 筋トレやヨガは自宅で動画を活用
  • ジョギングは少人数で
  • すれ違うときは距離をとるマナー
  • 予約制を利用してゆったりと
  • 狭い部屋での長居は無用
  • 歌や応援は、十分な距離かオンライン

食事の際の新しい生活様式

  • 持ち帰りや出前、デリバリーも
  • 屋外空間で気持ちよく
  • 大皿は避けて、料理は個々に
  • 対面ではなく横並びで座ろう
  • 料理に集中、おしゃべりは控えめに
  • お酌、グラスやおちょこの回し飲みは避けて

冠婚葬祭・親族行事の新しい生活様式

  • 多人数での会食は避けて
  • 発熱や風邪の症状がある場合は参加しない

公共交通機関の新しい生活様式

  • 会話は控えめに
  • 混んでいる時間帯は避けて
  • 徒歩や自転車利用も併用する

働き方の新しい生活様式

  • テレワークやローテーション勤務
  • 時差通勤でゆったりと
  • オフィスはひろびろと
  • 会議はオンライン
  • 名刺交換はオンライン
  • 対面での打ち合わせは換気とマスク着用

新しい生活様式の課題点

新しい生活様式には「新型コロナウイルスの感染拡大リスクを下げる」効果があります。一方で別のリスクが高まる可能性は無視できません。

過度な相互監視・共同体性の高まり

最も懸念されるのは「過度な相互監視の助長」「地域の共同体性の高まり」です。新しい生活様式によって明確な行動指針が示されたことにより、守っていない人に対する過度な誹謗中傷や非難が起こる可能性があります。

専門家会議も政府もこれを「強制」しておらず、できる範囲で個々人が実践する者だと思いますが中には正義感を振りかざしあたかも「絶対に守らなければならないもの」かのように他者に強制する人は出てくるでしょう。

地域内でも相互監視が高まり「○○さん、新しい生活様式全然守ってないよね」と陰口が共有されたり、ある種の偏見に結びついたりする可能性があります。「新しい生活様式」は強制されるものではなく、できる範囲で1人1人が努力するものであることを忘れてはいけません。

少人数なら実現できることもみんながやれば実現できないジレンマ

新しい生活様式の中には「公共交通機関の理由は混んでいる時間帯は避ける」「食事の際には対面ではなく横並びで座ろう」「公園は空いた時間・場所を選ぶ」などの実践例があります。

1人1人が「公園は日中混んでいるから夕方に行こう」と意識して夕方に訪れると、結果的に日中は人が少なくなり夕方に人が集中するようなことが起こります。「食事の際は対面ではなく横並びで座ろう」とみんなが横並びで座ると、席がうまく配分されず結果的に三密での待ち時間が伸びたり、そもそもの目的である食事を楽しむことができなくなってしまいます。

新しい生活様式の実践を絶対視せず、1人1人がケースバイケースで適切な対応をとることが重要になります。新しい生活様式を徹底的に実践している=正義ではないことを自覚してできる範囲で実践することが求められます。

終息しつつある韓国における新しい生活様式

BBC NEWS JAPAN5月1日の記事によると新型コロナウイルスが収束しつつある韓国では、以下のようなことが行われている。新しい生活様式は”例”として示されたものであり日本ではいまだ”自粛”が基本だが、感染リスクの高いものから低いものまで1度整理したうえで、段階ごとに対応の厳格さを変えていく必要があるだろう。

専門家会議が定めた「生活様式」の中にもグラデーションがある。羅列するだけでなくリスクをエビデンスに基づいて正しく整理することで経済活動と自粛のバランスが正常に取れてくるのではないだろうか。

  • 教会は再開されているが、距離を置きマスクを着用することが義務化
  • 企業は従業員同士の接触を減らすため昼休みの時間を分散化
  • 社会的距離の保持は引き続き求められている(義務でも強制でもない)
  • イベントに参加したり建物の中に入ったりするときは検温必須
  • 投票所ではビニール手袋を着用、間隔をおいて立つ、入る前には検温
  • 野球は無観客試合(実施はしている)
  • 授業はオンラインで実施
  • 韓国を訪れる人は全員、14日間の隔離を受ける

最後に-新しい生活様式として示されたのは、あくまで実践”例”-

新しい生活様式の実践は、経済活動と新型コロナウイルスの拡大防止を両立するための提案ですが、それは個々人の楽しさや幸せを過度に縛るものになっては本末転倒です。自分にできることから1つずつ無理のない範囲で新しい生活様式を実践していくことが、短期的にも長期的にも重要であると考えられます。参考:毎日新聞2020年5月4日記事

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この記事を書いた人

KAYAKURA 編集部

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