新型コロナウイルスの影響で学業の継続に支障が出ている学生に対して金銭的な支援を行う『学生支援緊急給付金』事業がスタートしました。しかしこの学生支援緊急給付金、資料の説明がわかりにくく学生泣かせな給付金である側面があります。
この記事ではできる限りかみ砕いてわかりやすく学生支援緊急給付金を解説していきます。筆者自身も現役の大学院生であり大学生側の立場や気持ちがわかっているからこそ、痒い所に手が届く説明をしていきます。(記事の後半ではあまり公にされていないこの給付金の特徴(採用倍率に関わること)についても触れています。)
学生支援緊急給付金とは?
現在、コロナ拡大の影響により世帯収入の激減、アルバイト収入の激減・途絶など、学生生活にも経済的な影響が出始めています。今後さらに状況が悪くなることが予想されるので、政府が特に家庭から自立した学生等において、今回の新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入の大幅な減少等により、大学等での修学の継続が困難になっている者に対し、現金を支給することで支援する制度を始めることになりました。これが『学生支援緊急給付金』です。
学生支援緊急給付金申請開始はいつから?
給付金の申請は5月19日以降、大学ごとに適宜始まっています。申し込み締め切り日や申請開始日は大学によって異なるので、大学からの連絡を見逃さないようにしましょう。
学生支援緊急給付金の条件(要件)は?
学生支援緊急給付金で最もややこしいのが、申請条件です。以下に申請条件をできる限りわかりやすく列挙していますので自身が当てはまるかどうか確認してみてください。
重要なのは、これらの要件は絶対的なものではないという点です。文科省の書類には「こうした要件を考慮した上で、経済的理由により大学等での修学の継続が困難であると大学等が必要性を認める者は対象とすることにしており、最終的には大学等が学生等の自己申告状況に基づき総合的に判断を行う」と書いてあります。
判断するのは大学などの教育機関でここに書いてるのは、あくまで目安です。学校の判断次第では要件を満たしていなくても申請できる可能性はあるので、わからない場合は学校に相談してみましょう。
- 国内の大学(専攻科、別科及び大学院含む)、短期大学(専攻科、別科を含む)、高等専門学校、専門学校、日本語教育機関に在籍している人
- 家庭からの多額の仕送りを受けていない人(家庭からの仕送り金額が授業料込みでおおよそ150万円以下の人)
- 原則として自宅外で生活をしている人(申請にあたっては自宅外通学であることの証明書(アパートの賃貸契約書のコピー)などが必要)(自宅生でも経済的に自立している場合は対象になる)
- 生活費・学費に占めるアルバイト収入の割合が高い人
- 家庭(両親のいずれか)の収入減少等により、家庭からの追加的支援が期待できない人
- コロナ感染症の影響でアルバイト収入が大幅に減った人(前月50%以上減少)している(今年入学した人の場合は、アルバイトの予定があって得られるはずだった収入がなくなった人も対象になる)
- 既存の支援制度を活用している人(「高等教育の修学支援新制度」、日本学生支援機構の第一種奨学金(無利子の貸与型奨学金)、民間等の支援制度の3つがこれにあたる)
学生支援緊急給付金の申請書について
学生支援緊急給付金の申請書はこちらからダウンロードできます。申請書自体は簡潔ですが、証拠書類として以下のものの提出が求められるのでこちらをできる限り早く用意しましょう。また申請は郵送含めいくつかの方法があるので、詳しくはそれぞれの大学に確認してみましょう。
- 預貯金通帳の写し(任意)
- アパート等の賃貸契約書の写し(自宅外生のみ)
- 新型コロナウイルス感染症対策に係る公的支援を受けている受給証明書等(提出可能な場合)
- アルバイト先からの給与明細(減額前、減額後)(任意)
- 奨学生証又は住民税非課税証明書(提出可能な場合)
- その他
学生支援緊急給付金はLINEで申請できるって本当?
これは本当です。文科省は給付金の申請がLINEでできるようなシステムを用意しています。学校によっては25日から申請できるようですが、対応していない学校もあるのでこれも学校から連絡を確認したり、問い合わせたりする必要があるでしょう。
学生支援緊急給付金の支給金額はいくら?
支援金額は20万円と10万円の2つのコースがあります。20万円もらえるのは住民税非課税世帯の学生等です。住民税非課税世帯については少し難しいですが、以下のページに詳しく記載があるので見ることをおすすめします。自分1人で分からない場合は親に書類をみせて相談しましょう。
自身が対象になるかどうかのおおまかな判断は日本学生支援機構がていきょうする進学資金シュミレーターでできるので、こちらも積極的に利用してみてください。
学生支援緊急給付金の申し込みの流れ-申請書・誓約書のリンク有-
学生支援緊急給付金の申し込みは1~5のように進んでいきます。このように見てみると基本的に受付~審査まで一通り大学が行うことがわかります。文科省ではなく分からないことがある場合、相談がある場合は大学に聞くほうがいいことがこのことからわかります(大学によって対応に多少の差があることが予想されるので)。
- 文部科学省HPに掲載されている様式(学生支援緊急給付金申請書・誓約書)をダウンロードして必要事項を記入。
申請書はこちら
誓約書はこちら - 学校ごとの期限までにこちらのPDFの6,7ページの書類を学校に提出。(学校によってはLINE対応可)
- 大学が提出書類を確認して審査する
- 審査結果を大学がリスト化して機構へ提供する
- 機構から学生の口座に給付金が振り込まれる
留学生も学生支援緊急給付金を申請できる
留学生も学生支援緊急給付金を申請できますが、日本人学生の要件のほかに下記の要件を満たすことが求められるので注意が必要です。
- 学業成績が優秀な者であること。具体的には、前年度の成績評価係数が2.30以上であること
- 1か月の出席率が8割以上であること
- 仕送りが平均月額 90,000円以下であること(入学料・授業料等は含まない。)
- 在日している扶養者の年収が500 万円未満であること
学生支援緊急給付金に年齢制限はあるのか?
年齢制限はありません。条件に当てはまれば社会人を経て再度学生生活を送っている人も申請できます(日本人学生の条件となっている既存の支援制度の活用は留学生は無視してよい)。
学生支援緊急給付金は休学中の人は対象になるのか
休学中でも要件を満たせば対象になります。私は学部中に1年間休学したことがありますが、休学中は申請できない制度も多数ある中でこれはありがたいですね。
学生支援緊急給付金の必要書類が揃わなくても申請できる!
証拠書類の一部が揃わない場合でも、自己申告で申請することは可能です。但しもしも、自己申告内容で嘘を書いた場合には返金しなければなりません。これは重要な点です。
コロナの関係で県境をまたいで移動できない学生にとっては全ての書類をそろえることが難しいケースも多数考えられます。書類が揃わなくても諦めることなく、余裕をもって大学に相談してみましょう。
学生支援緊急給付金採用される確率は?
ここで触れる情報はあまり公になっていない情報です。ある大学によると学生支援緊急給付金は大学ごとに価格設定が決まっておりその採用率は通常の他の支援金や助成金と比べて結構低いとのこと。この点について詳細を知りたい方はこちらのnote音声コンテンツを聴いてみてください。
最後に-1人で悩まずにまずは学校に相談を!-
できる限りわかりやすく解説しようとしましたが、わかりにくいところが多々あるかと思います。学生支援緊急給付金は大学を通して申請するものなので、わからないことがあった場合はとりあえず大学に問い合わせて相談してみるようにしましょう!また文科省が定める要件はあくまで目安なので、自身が当てはまるか分からない場合も積極的かつ早めに問い合わせしてみましょう。