成功する地域活性化は日常生活に立脚している

「地域活性化」は曖昧な言葉だ。地域とはどこを指すのか、活性化とはどのような状態にたどりための過程を指すのか、使う人にその意味を全部ゆだねるのが特徴である。

これまでさまざまな地域で地域活性化に携わってきたが、持続/成功する地域活性化には1つの共通点があるように感じる。それは「日常生活立脚している」ことだ。

日常生活に立脚しない地域活性化は、根の無い花のように表面的には美しくてもちょっとしたことで倒れ枯れてしまう。逆に日常生活に立脚した地域活性化は、花が咲くのがどれほど遅くてもちょっとやそっとで倒れることなくいつか必ず花を咲かせる。そして花はなかなか枯れず水をあげることで常にイキイキしている。

日常生活に立脚した地域活性化の本質は3つにわけられる

日常生活に立脚した地域活性化が大切と言うと、たまにこんな質問を受けることがある。

「住んでいる地域とは異なる地で地域活性化に関わる人を批判するんですか?」と。

日常生活に立脚した地域活性化は、決してよそ者が地域活性化に携わることを非難しているわけではない。人はそれぞれの「日常」を生きている。日常生活に立脚した地域活性化の本質は大きく3つにわけて説明できる。

歴史と文化の延長線上にない地域活性化は成功しない

第一に「歴史と文化の延長線上にない地域活性化は成功しない」。地域では何人もの人々がそれぞれ異なる価値感と体験をもち、それぞれが正しいと思うことをして生きている。地域には古くからの記憶がありいま生きている人々も地域に根付く先人の生活の上を生きている。

これは「地域には人々がつむいできた歴史と独自の文化がある」ことを示している。独自の歴史と文化を無視して、どこか他の地域で成功した事例をそのまま輸入しても決して成功はしない。なぜなら輸入された事例は他の地域の独自の歴史と文化のうえに成り立ったものであり、この地域とは異なる生活の延長線上にある地域活性化だからである。

他の地域で成功した事例を輸入する際は、まずはじめに自身が関わる地域の実態を細かく把握し、成功事例を地域独自の歴史と文化に最適化したうえで実装することが大切だ。焦って輸入品をそのまま当てはめようとしてはいけない。1つのパズルピースが同じ形でも、他のピースは違う形をしているのが常である。

日常と断絶した地域活性化は成功しない

第二に「日常と断絶した地域活性化は成功しない」ということ。人はそれぞれ他には代えがたく戻れない日常を送っており、それは地域外から地域活性化に関わるよそ者も同じである。地域活性化は日常と密接に絡んでいる。日常と断絶した地域活性化は手触りのないものとなり、見た目は美しくてもちょっとのことで倒れ枯れる花になってしまう。

言い方を変えれば「自分事として考える」となる。他人の生活だから、他人の地域だからという感覚で取り組んでいては地域活性化の目的は達成できない。大切なのは自身の日常と照らし合わせて「私ならどう思うか」「私は本当にそれが必要か」と問い直すことである。関わる人たちが何度も何度も何度も問い直すことで、日常生活と離れた地域活性化は防ぐことができる。

日常生活を阻害する地域活性化は成功しない

第三は「日常生活を阻害する地域活性化は成功しない」ということ。地域活性化は日常生活を疎かにしてまでやることではない。暮らしているだけの収入がないなら稼がなければいけないし、家族との時間が満足にとれていないなら家族との時間をとったほうがいい。

たまに「不眠不休で地域活性化事業に取り組んでいます」という人に会う。人によって考え方は異なるので別にそこでは口にしないけれど、心の奥底では「週に2日以上は休んで、1日に7時間以上は寝たほうがいいんじゃないですか」と思ってしまう。満足いく結果は十分な休息から生まれると私は思っている。

最後に-日常生活に立脚した地域活性化を実行するために-

「では具体的に何をすればいいんですか?」そんな声が聞こえてきそうだ。日常生活に立脚した地域活性化を行うために今日からできることを3つ紹介する。1つ目は日常生活に疑問をもつこと。地域活性化のアイデアやスタート地点となる課題は意外と身近にあることが多い。常日頃から「Why?」と思うクセをつけよう。

2つ目は歴史と文化を学ぶこと。関わる地域の歴史と文化は未来を考える際にも大きなヒントとなる。図書館で○○町史のような本を読んだり、オンライン上で自治体が無料公開している過去のデータに目を通したり、地域のイベントやお祭りに足を運んだり、歴史と文化から地域が持つ「独自性」はみつかる。

3つ目は前向きな気分で地域活性化に取り組むことである。共に取り組む仲間と会うのが憂鬱だったり、大きな責任のもとに取り組むのは健康によくない。それに健康や気分がよくない状態で関わると、他の仲間や地域の人たちにもよくない雰囲気は伝染していく。気分が優れなければ休んだり、一時的に距離をとったほうがいい。本当に関わりたいのなら、どこからともなくやる気はきっと湧いてくる。


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この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.