テレハーフとは何か?小池都知事が提唱した新語の意味や課題点を解説・考察-

テレハーフとは

東京都の小池百合子知事は1月29日に、新型コロナウイルス対策として、コロナ禍にテレハーフという新しい造語を提唱しました。

小池都知事によればテレハーフとは「半日時間単位のテレワークとローテーション勤務などの組み合わせ」を指す言葉だと言います。一体この言葉の意味。背景、この言葉の課題点とは。この記事では最新の情報をもとに「テレハーフ」について考察・解説していきます。

(急ピッチで書いたので荒い部分、読みにくい部分がありますがご了承ください。)

テレハーフとは-意味は「テレワーク×一日の一部を会社で働く」-

小池都知事によればテレハーフとは「終日のテレワークだけでなく、半日、時間単位のテレワークとローテーション勤務を組み合わせた働き方」を指すと言います。

英語にすると「Teleharf」ですが、既存の英単語でこの言葉は存在しないため今回新たに登場した造語です。

小池都知事は会見の中で「昔、半ドンという言葉がありましたけれど(笑い)、そう言う世代の方も減って来ました。これからはテレハーフで、午後から出社するとか工夫することを推奨したい」と語っており、半ドンにインスピレーションを得てテレハーフを造ったと想像できます。

半ドンとは「半分」と「ドンタク」をくっつけた「半分ドンタク」の略で、「午後半休」あるいは「半日の休日」を意味する俗語です。午前中に業務や授業が終了して午後から休みになる早期終業のことを指します。

テレハーフが誕生した背景

テレハーフが出てきた背景としては、緊急事態宣言の発令からおよそ3週間が経過したものの、都内の新規感染者数は依然として連日1,000人前後で推移しており「顕著な変化が出ていない」ことが挙げられます。

小池知事は人と人の接触を減らす必要があるとして、すでに実施されているテレワークに加えて、フルでのテレワークが難しい場合は半日もしくは時間単位でのテレワーク=テレハーフの取り組みを広げるように事業者に協力を求めました。

テレハーフ考察-テレハーフは普及するのか?課題点は?-

テレハーフに対しては「新しいカタカナ語をつくらないでほしい」「それならいっそのことテレワークをもっと促進したほうがいいのでは」といった声が上がっています。ワーケーションや移住後の働き方を研究している筆者の視点からはテレハーフは以下のように思えます。

カタカナ語の乱発は国民の共感を得ない

第一に小池都知事は新たなカタカナ語をつくり広めることには長けています。しかし新たなカタカナ語の頻出は国民から「真剣に私たちに協力してほしいという気がないのでは?」「カタカナ語言われてもわからない」といった声はあがるでしょう。

往々にしてカタカナ語の造語は日本ではわかりやすさにつながりません。その結果、国民は「わかりやすく伝えようという気が無いのでは?」という反応があがり共感はあまりされません。同じカタカナ語である「ワーケーション」の場合は、すでに一定数の人に使われていたため受け入れられた側面もありましたが、全くこれまで使われていない「テレハーフ」はそうはならないでしょう。

→ワーケーションとは?「仕事or休暇」から「仕事and休暇」へ-ワーケーション事業参画者が解説-

テレハーフは問題の本質的解決にならない

第二に「テレハーフ」という造語が果たして何を指すのかということです。テレワーフの半分を構成するテレワークについての詳細は解説は以下の別記事をご覧いただきたいですが、テレワークとは「ネット環境や通信機器を活用して場所や時間の制約を受けることなく働くワークスタイル」を指します。

→テレワークとは?メリットデメリットを実践者がわかりやすく解説

テレハーフの場合は、例えば小池都知事が会見で例として語ったように午前は会社で午後は家でというようになるかもしれません。この際に本来は完全にリモートでテレワークで家で仕事をしていれば必要のない通勤や他者との接触はテレハーフの場合生じます。

場所や時間の制約を受けることなく働くのがテレワークの本来の意味なのに、ローテーション勤務や時間を指定しての通勤は逆に大きく社員のワークスタイルを制約しているといえます。またコロナ禍のテレワークには他者との接触を少なくする意図がありますが、環境面を考慮してもあまり良い策とは言えません。

→テレワーク・リモートワーク・在宅ワークの違いと意味をわかりやすく解説!

テレワークができない企業にテレハーフはできない

第三に現時点でフルのテレワークが不可能な企業に、果たしてテレハーフは可能なのかという点があります。東京商工会議所の調査によれば、テレワークを「一時期実施していたが、現在は取りやめた」企業では、やめた理由は「業務の生産性が下がる」が45.7%で最大でした。

また「一度も実施していない」企業では、「テレワーク可能な業務がない」が55.6%で最大でした。このことからテレワークをコロナ禍に実施していない企業の半分以上はテレハーフが可能な業務は無いと考えられます。

また1度テレワークを実施し現在は実施していない企業では「業務の生産性が下がる」ことが理由のトップに来ており、ローテーション勤務や時間しての勤務と組み合わせたテレハーフも結局テレワーク同様に業務の生産性は落ちると考えられるためあまり普及しないでしょう。

このことから緊急事態宣言が発令された現時点でテレワークを実施してない企業には、テレハーフも難しいと考えられます。東京都は緊急事態宣言下を「テレワーク緊急強化月間」と位置づけ、経済団体などを通じて企業に対して出勤者数の7割削減や、週3日のテレワーク実施を要請しているもののテレワーク実施率は約5割にとどまっており、テレハーフへの協力を仰いだとしてもこの割合が変わる見込みは少ないでしょう。

まとめ-テレハーフはあまり広まらないと考えられる-

テレハーフとは

この記事では本日誕生し発表された「テレハーフ」という言葉について解説してきました。筆者はテレハーフという言葉は普及しないと考えています。ここまであげたようなことがその理由ですが、その他の理由としはテレハーフという言葉が存在しないときからすでにテレハーフを実施している事業者は多数いることなどが挙げられます。

またすでに半ドンという言葉があり、それも使われておらず死語となっているため「令和の半ドン」と知事が語ったテレハーフは普及する前に死語になる可能性が高いと考えられます。

KAYAKURAでは働き方に関する用語の解説記事・考察記事を多数掲載しています。興味関心のある方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

参考資料
・FNNプライムオンライン, 「「テレハーフ」新たな働き方を 小池都知事が呼びかけ」.
・スポーツ報知, 「小池百合子都知事、今度は「テレハーフ」呼びかけ 事業者に推奨」.
・日刊スポーツ, 「小池知事、令和の半ドン「テレハーフ」を新たに推奨」.
・Oggi, 「【半ドンの正しい意味と使い方を解説】あれっ… どういう意味だっけ? という方へ」.

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この記事を書いた人

KAYAKURA 編集部

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