Clubhouseとは何か?-使い方を会得してわかった5つの課題点と難しさ-

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音声版Twitterとも呼ばれる新たな音声プラットフォーム「Clubhouse」が注目を集めている。

筆者も早速登録して使ってみていろいろとわかってきたが、Clubhouseに関する記事を検索してみると、Clubhouseの使い方や登録方法を解説した記事、Clubhouseの可能性について論じる記事は多数ヒットするが、その課題点について触れた記事は少ないように感じた。

そこでこの記事では使い始めて数日の筆者が感じたClubhouseがかかえる課題・難しさ(厳密にいえば、プラットフォーマーがかかえる壁と、仕組み上乗り越えられない壁がある)と、Clubhouseの概要を解説していく。

Clubhouseを使い始めて数日~数週間、モヤモヤしている人やこのツールを深堀したい人に届けば幸いである。(楽しくて良い点があることは前提!)

なお音声通話SNSであるClubhouseだが、音声通話がもつ可能性と課題についてはこちらの記事で考察している。興味関心がある方はあわせてご覧いただきたい。

→ビデオ通話では伝わらない!? 「対面のほうが言いたいことは正確に伝わる」は幻想

→ビデオ通話の社会学-疑問解決・ストレス解消 知って得するビデオ通話の豆知識-

Clubhouseとは何か

Clubhouseは2020年3月にアメリカの企業Alpha Explorationが始めた新サービスだ。米国のベンチャーキャピタルAndreessen Horowitzが1000万ドル(日本円でおよそ10億円)を投資し、2021年1月にはシリーズBラウンドでの資金調達を発表している。

巷では音声版Twitterと呼ばれているが、筆者はTwitterとは少々異なるように感じる。聞いていた人や閲覧した人のログが残ったり招待性だったりする意味でmixiに近いだろうか。しかしこれら以外にmixiとの共通点もないので違う気もする… 他のツールに形容しがたくもはやなのかも疑わしい、それがClubhouseである。

Clubhouseでは登録するとさまざまなルームに入り音声でコミュニケーションがとれるが、使ってみて驚いたのは音声通話のクオリティである。数あるビデオ通話、音声通話媒体を使ってきたがタイムラグは非常に少なく話しやすい。LINE通話やMesssengerよりも優れている気もするので、ただの通話媒体としても使えそうだ。

Clubhouseはコロナ禍に人と話したいけど話せないというモヤモヤをかかえていた人たちに一気に広まったようにもみられている。これだけ急速に広まった背景にはSNS業界でFOMO(The Fear Of Missing Out)という言葉で表現される「乗り遅れたくない!この波に何と乗りたい!」という感覚によるものだろう(記事を書く筆者もその中の1人)。

Clubhouseの特徴「招待機能」

Clubhouseが注目を集めている第一の理由は「招待制」であることだ。現在、Clubhouseは既存のユーザーからの招待でしか登録できない。この招待枠は1人あたりたったの2枠(2021年2月4日現在、早くから使い始めた人に関しては招待枠が追加されつつある)。それ以外の方法ではユーザーネームを予約してウェイトリストに入り、電話番号を交換している既存ユーザーへClubhouseが通知を送るときを待つしかない。

ここでのポイントは「電話番号を交換しているユーザーからの招待」である点だろう。今の時代に個人の電話番号を交換している相手は、一体どの程度いるだろうか。筆者は招待してもらうために知人とLINEで電話番号を交換したが、この手間はなんなのだろうかと少し思った(それでもやりたいので送ったが)。

仕事の付き合いがある人よりも、意外と電話番号でつながっている相手は地元の友達や親戚だったりする。そういう意味では、懐かしいコミュニティがClubhouseによって復活する可能性はあるかもしれない。

また1人あたり2枠しか招待枠はなくても、意外とそのつながりは急速に広がっていく。私たちはたった5人を介せば世界中の誰とでもつながる「小さな世界(It’s a small world)」を生きており、それは六次の隔たりと呼ばれる。Clubhouseをつかってこの感覚を覚えた人には、あわせてこちらの記事もご覧いただきたい。

→六次の隔たりとは?わかりやすく解説-SNSで共通の友達が出てくるのは小さな世界を生きているから-

Clubhouseがかかえる課題/難しさ1-ヘイトスピーチへの対策-

日本ではClubhouseは「今がボーナスタイム」と呼ばれているが、早くに参加したほうが多くのメリットがあるということでインフルエンサーやアーリーアダプターを中心に加速度的に登録者が増えている。

始まったばかりということで良いところがピックアップされがちなClubhouseだが、初めて数日でみえてきた課題もいくつかあるので以下では課題を羅列していく。

2020年末に、ある起業家がヘイトスピーチに対するアプリ側の対応が不十分でTwitter上でそのことを訴えるという出来事があった。リアルタイムでのやり取りで記録が残らないのがClubhouseの特徴だが、充実しているとされる規約に対して運営者側が違反を網羅的に確認する方法は無いように思われる。

ニューヨーク・タイムズがClubhouseを運営しているAlpha Explorationに取材したところ、広報担当者は次のようにコメントした。果たしてここでのコメント通りに運営側はできるのか、今後の対応に注目である。

「あらゆる形態の人種差別、ヘイトスピーチ、虐待は禁止されており、コミュニティガイドラインと利用規約に違反しています。アプリの一時停止や削除など、これらのルールの違反を調査して対処するための信頼と安全の手順を定めています」

Clubhouseがかかえる課題/難しさ2-既存のコミュニティを超えられない-

Clubhouseの日本での広がり方はTwitterと強くリンクしているようにみえる。そのため既存のネットワークを超えたコミュニティにおけるコミュニケーションの広がりは、なかなか難しいのが現状ではないだろうか。

既存のコミュニティとネットワークで構成された現在のClubhouseでは、知らない人たちが話しているトークに入って聞いたとしても、そこで挙手して招き入れてもらうには、そこそこ勇気がいる。しかしもし知り合いがモデレートしていたりスピーカーとしていれば、手を挙げるのも入るのもそこまで難しくはないだろう。

もし主催者が知り合い以外の人にも入ってもらいたいと考えるならば、仕組みをつくる必要がある。例えばモデレーターが定期的に「聞いている人で入りたい人は遠慮なく手を挙げてください!」と言ったり、ルームのタイトルに「誰でもスピーカーOK」と入れるなどだ。目的によって運営の仕組みは変える必要がある。

Clubhouseがかかえる課題/難しさ3-避けるのが難しい身内ノリ-

Clubhouseの懸念事項や不快感を感じた例としてあげられる「身内ノリ」も一定程度は上記の仕組みづくりで避けられるかもしれない。身内ノリになりそうであればタイトルでそう宣言すればいいし、逆であればだれでもウェルカムを可視化すればいい。

しかしどうしても避けられない身内感もある。例えばこれは筆者の経験だが対等な立場のAさん~Eさんの5人が話していたとする。そこにBさんとCさんの友達のFさんがスピーカーとして招かれる。そうするとそれまで5人は対等な立場で話していた中に、突如「BさんCさんFさん」という3人の小さなコミュニティが発生するのだ。

もちろんこれは過敏に反応しすぎかもしれない。しかしこの3人で生じた空気は自然と大きくなり、気が付くとAさんDさんEさんの発言回数は減りBさんCさんFさんの発言回数が多くなったりするのである。

Clubhouseがかかえる課題/難しさ4-現時点では英語が最大の壁-

Clubhouseは現在、基本言語が英語となっている。ダウンロードも登録も通話後にアクションするためのボタンもすべて英語である。そのため英語を母国語とする国もしくは第二言語で使える人が多くいない国では、なかなか広まっていない。

これは筆者の感覚ベースになるが、日本でも英語の理解能力がClubhouseの利用層と非利用層を分けているように感じる。小磯らによる日本人英語使用者の特徴と英語能力についての研究によれば、英語能力は子どものころの家庭環境で英語能力の差がついていく傾向がみられる。

また現在の日本ではイングリッシュ・ディバイドの拡大の兆候もみられ、英語能力が高い者、仕事で英語を使う者とそうでない者の格差が広がる傾向もある。そしてこの英語力は階層や収入と連関する部分も多い。

つまり断定はできないが現時点でClubhouseは英語がある程度理解できる階層と収入が一定程度高い人たちの社会的ネットワークの中で広がっているため、利用層と非利用層が大きく分かれていると予想できる。

Clubhouseがかかえる課題/難しさ5-PCでもアンドロイドでも使えない(2021年1月時点)-

ここまで記事を読んでこの見出しに失望した方もいるかもしれないが、現在ClubhouseはiOS版のみで、Androidユーザーは使えない。またパソコン版も無いため利用媒体によって利用が大きく制限されている人は多いだろう(個人的にはパソコン版を熱望している)。

この点についてはTechCrunchによれば、今のところはiOS版のみだが、今後の資金調達でAndroid版の開発を始めるほかクリエイターが収入を得られる仕組みを用意するという。

最後に-これからClubhouseはどうなっていくのか-

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本記事ではClubhouseの概要と使い始めて2日の筆者が感じた課題点を羅列した。今後さまざまな使い方が模索されると予測できるが、ある一定範囲のネットワークを超えて登録者が増えてからが本番だろう。マネタイズができるような仕組みも考えているとの発表があるため、こちらも注目だ。

どんなSNSでも最初に始めた人たちは登録者が増えてくると「最初は良かった」と語る。Clubhouseもそうなることは避けられないがそのときがいつ来るのか、来たときにClubhouseはどのような場所になっているのか注目である。

参考資料
小磯かおる, 「日本人英語使用者の特徴と英語能力」『日本版総合的社会調査共同研究拠点 研究論文集[9] JGSS Research Series No.6』.
Clubhouse: Drop-in audio chat.
CNET JAPAN, 「話題の音声SNS「Clubhouse」はなぜ人々の心を掴むのか–考えられる3つの理由」.
HUFFPOST, 「「Clubhouse(クラブハウス)」とは? 音声SNSが人気沸騰。アメリカではヘイトスピーチを懸念する声も」.
Clubhouse announces plans for creator payments and raises new funding led by Andreessen Horowitz.

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最後に、効率よく学ぶために本を電子版で読むこともオススメします。

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この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.