SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは?現状・企業の取り組み・解決策などを解説

SDGs14 海の豊かさを守ろう

この記事ではSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」について、多面的に解説していきます。

本記事だけでは補うことができない側面もあります。あわせてこちらの記事も、ぜひご覧ください。

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SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」の目的は海洋保全

SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」の目的は「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用すること」です。

目標14は以下のようなことの実現と促進を目指しています。

  • プラスチックごみの廃棄や漁業の乱獲による海洋資源や生物の減少を食い止める
  • 海洋資源の持続可能な利用でいまだ貧しい島国の経済的利益を増大させる
  • サンゴ礁壊滅の危機を食い止める
  • 漁業従事者の雇用を守る

目標14「海の豊かさを守ろう」を達成するために、企業/個人単位でできることとしては、

  • マイバッグやマイボトルを積極的に使う
  • 海の生物に興味関心を持つ
  • ペットボトルをリサイクルに出す
  • プラスチックのスプーンやフォークを使わずマイ箸を使う

などがあります。この記事ではSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の目的・課題と背景・ターゲット・指標・企業と自治体の具体的な取り組み・今日から私たちにできることを紹介していきます。本文に入る前にSDGsについて改めて押さえておきたい方は、こちらの記事をご覧ください。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の目的とは?英語では?

SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」の目的は「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」です。英語では「Preserving the Bounty of the Sea」となります。

地球の面積の7割を占める海は、地球のあらゆる命の源であり私たちの生活は海からの多くの恵みによって成り立っています。さらに実は海は地球の水の97%を蓄え、地球の生き物が暮らす空間体積の99%を占めていることは多くの人が知らない真実です。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の現状・課題と背景

SDGs14 海の豊かさを守ろう

海洋汚染や漁業に携わる人々を襲う問題は深刻です。

水産資源の乱獲・獲りすぎ

水産資源の乱獲・獲りすぎは世界的な問題になっています。現在、世界の魚の33%は獲られすぎで60%はもうすぐ限界を迎えようとしており、海の資源は持続的に維持できない状態にあります。獲りすぎによって1970年代から海の魚の量はどんどん減っており、現在は1970年代の約50%の量しか海洋生物がいなくなってしまいました。もしこのまま魚を獲り続ければ、海洋生物はもっと少なくなり絶滅する種も多くなってくるでしょう。

漁業と雇用

海は人間の雇用問題とも関連しています。世界の人口76億人のうち30億人以上が魚を日常的に食べており、世界には実に3億人の漁業従事者がいるのです。この3億人のうち約90%は小規模漁業が占めておりこのうち約50%は女性が担っています。つまり漁業の衰退は、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」やSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に大きく影響を与えるのです。

プラスチックごみ

海洋汚染と直結しているのが「プラスチックゴミ」の問題です。プラスチックの生産量は年々増加しており、2030年には現在の倍の生産量になるといわれています。以下にプラスチックゴミの実態をリスト化しました。これほど生産され使われるプラスチックは、自然界で分解されないので海洋汚染の最大の要因の1つとなってしまっているのです。

  • 直近の10年間で20世紀に使用した量よりも多くのプラスチックが生産された
  • 1分間に100万本のプラスチックボトルが売られている
  • 世界では毎年、4800億本もの飲料水用ボトルが売られている。
  • 毎年、世界では5兆枚のビニール袋が使われている
  • 私たちがつかっているプラスチックの50%は使い捨て
  • 水用のプラスチックボトルをつくるために毎年1700万バレルの石油が使われている
  • ごみ全体の10%がプラスチック

このほかにもサンゴ礁絶滅の危機や海の酸性化(サンゴや貝の成長に必要な炭酸カルシウムがつくれなくなる)なども誘発しており、海の豊かさを守るために課題を解決し現状を変えることは喫緊の課題なのです。

UN environment
FAO駐日連絡事務所「各国は小規模漁業者の重要性を認識」
MSC「持続可能(サステナブル)な漁業とは?」

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」のターゲット

14.12025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.22020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
14.3あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。
14.4水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
14.52020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
14.6開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。
14.72030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
14.a海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
14.b小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
14.c「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の指標

14.114.1.1 沿岸富栄養化指数 (ICEP)及び浮遊プラスチックごみの密度
14.214.2.1 生態系ベースにアプローチを用いた管理が行われている国内の排他的経済水域の割合
14.314.3.1 承認された代表標本抽出地点で測定された海洋酸性度(pH)の平均値
14.414.4.1 生物学的に持続可能なレベルの水産資源の割合
14.514.5.1 海域に関する保護領域の範囲
14.614.6.1 IUU漁業(Illegal(違法)・Unreported(無報告)・Unregulated(無規制))と対峙することを目的としている国際的な手段を実施する中における各国の進捗状況
14.714.7.1 小島嶼開発途上国、後発開発途上国及び全ての国々のGDPに占める持続可能な漁業の割合
14.a14.a.1 総研究予算額に占める、海洋技術分野に割り当てられた研究予算の割合
14.b14.b.1 小規模・零細漁業のためのアクセス権を認識し保護する法的/規制/政策/機関の枠組みの適応についての各国の進捗
14.c14.c.1 海洋及び海洋資源の保全と持続可能な利用のために「海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)」に反映されているとおり、国際法を実施する海洋関係の手段を、法、政策、機関的枠組みを通して、批准、導入、実施を推進している国の数

外務省日本語訳

SDGs目標14と深くかかわる「マイクロプラスチック」とは

マイクロプラスチックとは「人には視認しづらい細かな粒子として使用されているプラスチック」です。プラスチックと名前がついていますが、洗顔料や歯磨き粉にも実は含まれています。このマイクロプラスチックが海洋生物の生態系の破壊を加速させている実態があります。

マイクロプラスチックは体内に入れると消化に適していないため、消火不全や胃潰瘍などを引き起こし、海洋生物を死に至らしめてしまいます。多くの魚類、甲殻類、貝類やカモメといった海鳥、アザラシなどの海洋哺乳類が海水に混じったマイクロプラスチックを飲み込んでしまっているのです。そして海洋生物によってはのちに人間が食すため、人間の体内にも海洋生物を通ってマイクロプラスチックが入ってきてしまいます。人間への悪影響を押さえるためにも、なんとか海洋マイクロプラスチック問題を食い止めなければなりません。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」自治体の取り組み

2020年時点で目立ってSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」にコミットしている自治体はないのが現状です。他の目標と絡めて取り組みを進めている自治体が多く、今後特に海に面した自治体や島の自治体から積極的な取り組みが生まれることが期待されます。以下に他の目標と絡めながら目標14にもコミットしている環境未来都市or環境モデル都市自治体をピックアップしました。ぜひこれらの自治体のWebサイトを訪れ取り組みを参考にしてみてください。

  • 北海道下川町
  • 福岡県北九州市
  • 岩手県気仙広域
  • 宮城県岩沼市
  • 熊本県水俣市
  • 岐阜県御嵩町
  • 兵庫県神戸市
  • 北海道ニセコ町

「環境未来都市」構想推進協議会(2017)

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」日本企業・法人の取り組み

SUSTAINABLE JAPANの取り組み-海洋浮遊ゴミ回収機SEABIN-

熊本県熊本市に本社を置く環境系に強い企業SUSTAINABLE JAPANは、SEABIN(海のごみ箱)という名の商品を取り扱っています。海洋浮遊ゴミ回収機SEABINは海水を吸い込んで吐き出すための小型ポンプがついており、フロートと組み合わせて効率的に海面のゴミをキャッチできる商品です。2mmを超えるマイクロプラスチックも回収可能なすぐれもので、販売のほかにリースも行っています。

SUSTAINABLE JAPAN SEABIN

ミス日本協会-海の日に合わせた多角的活動-

ミス日本協会は数十年前からさまざまな社会貢献活動を行っています。社会に対しても興味関心をもち実際に行動できる女性はミス日本としても相応しいという価値観に基づき、毎年、世界に誇る日本の海の魅力を発信するために海の日にSDGs目標14と絡めた多角的な活動を実施しています。

具体的には、ミス日本「海の日」を選出、航行の安全呼びかけキャンペーン(ポスターモデル起用)、稚魚の放流活動、ボートの操縦活動、新造船の公開イベント出席、SNSでの情報発信などが行われています。年間を通して活動するのが難しくても、年に1回力を入れることでSDGsにコミットメントすることは可能です。

ミス日本協会

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」私たちにできること・解決策

SDGs14 海の豊かさを守ろう

SDGs目標14は海をもっと豊かにする目標ですが、海がない地域に住んでいる人も当事者性をもって臨む必要があります。生活の中で実践しやすいのは、いかに無駄なプラスチックゴミを出さないかです。ここで紹介する私たちにできる解決策は一部にすぎませんが、1人1人が実践することで大きな効果を発揮します。今日から実践してみましょう!

  • プラスチックごみをできるだけ出さないようにする
  • マイバックやマイボトルを持ち歩く
  • ペットボトルはリサイクルに出す
  • 海のエコラベル「MSC認証マーク」がついた魚を買う
  • ビニール袋をできる限りもらわない
  • プラスチック製のスプーンやフォークの代わりにマイ箸を使う
  • 海の生き物に興味関心を持つ!

まとめ-SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」-

島国日本は海と共に今日まで歩んできました。海の汚染が進むことは日本の環境が汚染されることと同義であり、海が豊かになることは日本が豊かになることと同義と捉えても決して極端ではありません。個々人にできることをコツコツ始めるところから、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」実現のために取り組みを行っていきましょう。

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この記事を書いた人

KAYAKURA 編集部

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