栃木県那須高原でワーケーションサービス「ナスコンバレー構想」の提供開始-観光・仕事環境・コテージ体験レポート-

栃木県那須でリゾートワーケーションを体験できる「ナスコンバレー構想」が2020年10月1日にリリースされた。サービスは日本全国の企業のデジタルシフトの実現を支援する株式会社デジタルシフト(本社東京都千代田区)と、日本駐車場開発株式会社のグループ会社である藤和那須リゾート株式会社の2社が共同提供している。

ナスコンバレー構想で提供されるのは、那須の大自然の環境の中で仕事ができるワーケーションサービス。Withコロナ時代において、これまでの働き方が見直される中、ワーケーションを導入したい企業のニーズに対して那須の既存の観光資源や藤和那須リゾートが運営するTOWA ピュアコテージ in NASU HIGHLAND RESORTを活用した最上級のワーケーション環境を提供するサービスだ。

ワーケーションの括りで地域の資源を生かしてIT企業やフリーランスを誘致する取り組みはコロナ禍に全国で行われているが、果たしてここ那須で展開されるワーケーションサービス「ナスコンバレー構想」は一体どのようなものなのか。実際に体験取材してきた様子をお届けしていく。

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なぜ栃木県那須高原でワーケーションなのか

ナスコンバレー構想について説明する株式会社デジタルシフト代表取締役社長 鉢嶺登氏

ナスコンバレー構想を展開する株式会社デジタルシフトと藤和那須リゾート株式会社は、ワーケーションサービスを始める際に大切にしたかったこととして「那須だからできること」を掲げている。株式会社デジタルシフト代表取締役社長の鉢嶺登氏は、ワーケーションで大切なこととして以下の4つを挙げ、これら全てが那須にあると語る。

  • 充実したWi-Fiの設備環境
  • 東京から1時間で行ける手軽さ=いざとなれば本社に戻れるアクセス
  • リゾート(レストラン、カフェ、施設等の魅力)など、何度も行きたいと思うコンテンツ
  • 綺麗で、まとまった人数が収容できる宿泊施設

ではそもそもなぜ那須の地でこのタイミングでワーケーションサービスを提供することとなったのか。そこには鉢嶺氏の3つの思いが背景にある。

  • テレワークで都会の狭い自宅に引きこもりの社員に、もっと開放的で豊かで働きやすい環境を提供したい
  • デジタル化時代ゆえに人間本来の営みを大切にしたい:先進企業中心にナスコンバレーからSociety5.0を促進
  • リゾートライフの民主化:富裕層だけの働き方を一般化したい、手ごろな価格で提供したい

「リゾートライフの民主化」を体現するワーケーション料金プラン

「リゾートライフの民主化」という言葉はナスコンバレー構想の特徴と強く紐づいた思いである。自身も別荘を持つ鉢嶺氏は、より多くの人にリゾートライフの良さを体感してもらい人生を豊かにしてもらいたいと考えており、その思いは今回の料金設定にも反映されている。

ナスコンバレー構想のワーケーションサービスは、株式会社デジタルシフトが運営するデジタルシフト総研の有料会員向けサービス(25,000/月)である点は要確認だが、大前提としてデジタルシフト総研のコンテンツはとても質が高いためインプットのために会員になる価値はあると筆者は思う。

会員は個人、企業問わず、上記のスライドのような金額でコテージを借りワーケーションが可能となる。1コテージで月に2.5万円は破格の安さであることは一目瞭然であるため、この金額設定から2社が目指すリゾートライフの民主化への思いの強さがうかがえる。

藤和那須リゾート株式会社が提供するこだわりのコテージ

ワーケーションプラン参加者が宿泊できるコテージ

ワーケーションプランを活用する場合、基本的にはこの写真のようなコテージへの宿泊となる。コテージのタイプを指定することはできるが、基本的には遊休の資源を活用したサービスとなっているためピンポイントで希望のコテージを指定することはできない。

さまざまなタイプのコテージ以外を見学したが、どこも綺麗で生活感ある内装だったのでどこのコテージに泊まることになっても満足できるはずだ。

中は広々しておりワーケーションで必要なアメニティはすべてそろっている

コテージの中は広々としており、10月初旬だったがとても暖かく過ごせた。より寒くなると写真左の暖炉も使えるとのこと。また敷地内には藤和那須リゾート株式会社が運営する温泉もあるため温泉で癒されながら温まることもできる。

那須温泉の開湯は飛鳥時代の西暦630年と古くから親しまれてきた

なおベーシックな料金プラン+αを支払うことで、よりハイグレードなコテージに宿泊することができる。筆者は今回、以下の写真のようなハイグレードなコテージに宿泊したが広々とした空間は家のリビングにいるようなくつろげるデザインでとても快適だった。

コテージを活用した家族単位でのワーケーションを通して、那須高原の関係人口になっていくのもおもしろいかもしれない。

筆者が泊ったハイグレードな新しいコテージ
ソファー、テーブル、カウンター、そしてベッド。そこでもWi-Fiがつながり作業しやすい環境

室内の隅から隅で場所でWi-Fi接続してみたが、何不自由なく使うことができた。コテージは昨年から強い要望がありWi-Fiをコテージ1つ1つに設置しているとのことで、ワーケーションに対応できる環境を現在進行形で整備しているという印象。数か月単位でワーケーション環境はよりよくなっていくだろう。

ワークするなら森の中に佇むカフェ&バー「MINAMO(ミナモ)」がおすすめ

気分転換にコテージ以外でワークをするなら、TOWAピュアコテージから歩いて数分のFACTLANDのカフェ&バーMINAMOがおすすめ。日中はカフェ、夜はバーとして営業しているためドリンクや軽食が頼めるのはありがたい。

池にせり出すテラスの端までWi-Fiが通っているので外で作業することも可能。心地よい風を感じながらのワークはとても集中できた。なお室内に行くと4か所電源もあるため、もしも電源が無くなっても充電することができる。

どの世代でも楽しめる充実した観光コンテンツ

那須ハイランドパーク

中長期間ワーケーションする際に、悩ましいのが家族との時間だ。平日は仕事をして土日だけ家族と合流したり、数日間家族と一緒に過ごしたりするときにいかに子どもが退屈しないかは継続的にワーケーションをするうえで重要である。

那須高原のワーケーションではそんな悩みも解決できる。なぜなら藤和那須リゾート株式会社が運営するおよそ45のアトラクションを有する遊園地 那須ハイランドパークがあるからだ。ワーケーションでコテージに泊まる際は那須ハイランドパークを割引価格で楽しむこともできる。ワーケーションのバケーションが世代を問わず楽しめるのが那須でのワーケーションの特徴だろう。

いま流行りのグランピングも体験できる

最近では那須ハイランドパーク横に、アウトドアを気軽に体験できるグランピング用ドームも設置されている。「コテージもいいけどよりキャンプやアウトドアも楽しみたい!」という方にはこちらもおすすめだ。

那須の森の空中アスレチックNOZARU

那須ハイランドワークエリア内には、日本最大級のアスレチックNOZARUもある。身長130cm以上の人が利用できるNOZARUコースは、樹上10mのスリル満点のアクティビティや、森を抜ける100mのオーバーのジップラインがあり大迫力だ

NOZARUには子どもが楽しめる大型アスレチックも併設されている、こちらは子ども~身長185cm未満の大人も遊べるため、親子で安心して楽しむことができる。

最後に-ナスコンバレー構想の今後から目が離せない-

ワーケーションしやすい環境が整った那須高原だが、鉢嶺氏いわく課題もある。その1つが移動手段だ。レンタカーを利用する場合、2週間この地でレンタカーでワーケーション体験した社員は、交通費だけで約7万円+高速代とガソリン代がかかったと語っている。そのため現状は自家用車を持っている層にフォーカスしていく計画もあるという。

しかし鉢嶺氏はこの課題を強みに変えようとしている。例えば那須高原内でのカーシェアやレンタカーへのニーズの細かな対応、そして将来的には自治体や企業と組みながら那須高原内でスマートシティ(交通だとMaaS)や自動運転の実証実験などやっていきたいとビジョンを語る。実は本サービスを提供する日本駐車場開発株式会社の第二株主はTOYOTAである。

企業や行政と連携しながらよりワーケーションしやすい環境を整えていく予定の本事業は、まさに「ナスコンバレー構想」の名にふさわしい様相を呈してきている。すでに契約している企業は10社あり、10月以降もいくつかの企業が幹部合宿などでワーケーションを行うという。

企業がワーケーション実践のために集まり、そこで生まれた新しいIT技術やアイデアで地域や環境をよりよい方向に進めようとしているナスコンバレー構想。那須高原のワーケーションから今後も目が離せない。なお詳細は以下のページをご覧いただきたい。

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この記事を書いた人

Masato ito

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター研究員/講師。長野県出身。博士(社会学)。一橋大学大学院社会学研究科、日本学術振興会特別研究員を経て2024年より現職。専門は地域社会学・地域政策学。研究分野は、地方移住・移住定住政策研究、地方農山村のまちづくり研究、観光交流や関係人口など人の移動と地域に関する研究。立命館大学衣笠総合研究機構客員研究員。武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所客員研究員。日本テレビDaydayやAbema Prime News、毎日新聞をはじめ、メディアにも多数出演・掲載。