地理学とは「地球表面のいろいろな自然および人文の現象を研究する科学」です。
本記事では、地理学をこれから学びたい人やこれまで以上に地理学を深く学びたい人におすすめの本・入門書を16冊ご紹介します。内容の差というよりも、構成や焦点の当て方、解説方法の差を主に紹介しているので、ぜひ自分にあったものを見つけて買って読んでみてください。
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地理学入門書・初心者におすすめの本1|はじめて地理学【KIndle版あり】
最初に紹介するのは2017年出版『はじめて地理学』です。地理学の中でも自然地理学の入門書としておすすめです。
本書は「地理学」とは何をする学問なんだろう?そんな疑問を抱いた方にこそ読んでいただきたい地理学の入門書。具体的な事例を紹介しながら、地理学の考え方や魅力を学べます。
地理学入門書・初心者におすすめの本2|世界がわかる地理学入門【KIndle版あり】
2冊めに紹介するのは新書で地理学が学べる『世界がわかる地理学入門 ──気候・地形・動植物と人間生活』です。
本書では気候区分ごとに世界各地の自然環境と人々の暮らしが解説されています。50か国以上を訪問した著者による具体的なエピソードや写真が豊富で、電子書籍版ではカラー写真で読むことができますよ。
地理学入門書・初心者におすすめの本3-6|東京学芸大学地理学会シリーズⅡ
この4冊は東京学芸大学地理学会がシリーズで出版した地理学入門書です。どの本も中学高校の「日本の諸地域」の学習から、大学の「日本地誌」の講義まで、幅広く基本をまなべるテキストになっており教員免許取得を目指す学生にも地理学の研究者になりたい人にもおすすめです。
シリーズ1,2は西日本編と東日本編に分かれて日本の全体像を解説。シリーズ3は景観写真で地理を読み解く方法を、シリーズ4は東京をテーマに地理学的に考察する方法を解説しています。
地理学入門書・初心者におすすめの本7|地理学概論
本記事を読んでいる人の中には中学や高校の社会科教師を目指している人も多いことでしょう。こうした学生におすすめの地理学の教科書が『地理学概論 (第2版) (地理学基礎シリーズ1)』です。
現代の社会情勢や人類が直面するグローバルな課題、地球や社会に生起する諸問題を踏まえて地理学的な視点や方法を理解できるように具体的に解説した本書は、教科書でありながら地理学の基本的な考え方や用語を押さえている点で地理学入門書としても有用です。
地理学入門書・初心者におすすめの本8|役に立つ地理学
地理学の理論や考え方を学んだあとに気になるのが、地理学を実践とどのように結びつけるのかです。こうした地理学と実践を「役に立つ」をキーワードに様々な側面から解説したのが『役に立つ地理学』です。
本書は以下のような2部構成になっておりそれぞれ専門分野の異なる筆者が、自分の分野において「地理学が役に立つ」とはどういうことかを具体的事例を示しながら紹介しています。
第1部 地理学からのアプローチ(地図学者からのアプローチ;経済地理学者からのアプローチ;商業地理学者からのアプローチ;都市地理学者からのアプローチ;観光地理学者からのアプローチ;行動地理学者からのアプローチ;農村地理学者からのアプローチ;歴史地理学者からのアプローチ)
第2部 他分野からみた地理学(生物学からみた地理学;土壌学からみた地理学;環境倫理学からみた地理学;環境経済学からみた地理学;法律実務家(紛争解決分野)からみた地理学)
地理学入門書・初心者におすすめの本9|文化地理学ガイダンス
文化地理学とは人文地理学の一分野で「地球上のさまざまな地域や時代において人間が育んできた文化事象を対象とし、その多様性や差異、形成過程などから地域的パターンや地域の特徴を明らかにする」分野です。
この文化地理学分野で2022年話題の図書が本書『文化地理学ガイダンス[改訂版]―あたりまえを読み解く三段活用』です。
文化地理学の対象と手法を、発見と説明・解釈に分けて分かりやすく示す、文化地理学の定番テキストの改訂版。文化地理学の入門に最適なテキストです。
地理学入門書・初心者におすすめの本10|自然地理学 第6版
『自然地理学 第6版:地球環境の過去・現在・未来』は地理学の両巨塔「自然地理学」と「人文地理学」のうち、自然地理学の日本語入門書といえば本書と言われるくらい有名な本です。
刊行以来第6版を重ねる本書は過去に起きた環境変化、現在進行中の現象とその原因追究、将来的に起こりうる環境変化予測のための最新データが満載。
第5版(2017年3月刊)から、図表のデータと記述の一部が最新のものに更新されています。自然地理学に興味ある人は必ず手元に置いておきたい本ですね。
地理学入門書・初心者におすすめの本11|よくわかる都市地理学
読みやすいサイズと見開き2ページでキーワードがわかりやすく解説されていることで定評のあるミネルヴァ書房のやわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズの1つ『よくわかる都市地理学』は都市を地理学の視点から研究したい、勉強したい人におすすめです。
都市を中心とする地域の空間構造やシステム・メカニズムの考察は現在ますます重要性を増しています。
そうした現代的状況に対応すべく本書では研究対象やアプローチの多様化が進む都市地理学の基礎と最新の研究内容が多面的に紹介されています。
都市社会学や都市経済学など地理学以外の分野で都市研究を行っている人にもおすすめの1冊です。
地理学入門書・初心者におすすめの本12|人文地理学への招待
12冊目は地理学の中でも人文地理学と呼ばれる分野の入門書『人文地理学への招待』です。本書は好評を博した人文地理学のテキスト『人文地理学』のリニューアル版で、大学の授業でも多く採用されている人文地理学テキスト。
地理学の研究は地図・写真,統計・文書,フィールド観察・聞取りなど多様な情報を動員して地域を読み解くことに醍醐味があります。その営みは消して簡単ではありませんが刺激に溢れていると筆者は言います。本書では15人の地理学者が豊富な事例を通じてわかりやすく地理学の考え方やアプローチを解説しています。
地理学の中でも特に 産業、文化、集落、交通、人口などの人文事象を対象に、これらを地域的観点から研究する学問である人文地理学は、地域で起こる現象と人間の関係性を深く考えたい人に触れてほしい分野です。
地理学入門書・初心者におすすめの本13|経済地理学とは何か
次に紹介するのは明治大学教授 中澤高志氏の著書『経済地理学とは何か――批判的立地論入門』です。筆者が授業を通して学生に披露し整理してきた経済地理学をめぐる議論を広く多くの人が読める内容にしたのが本書。
「経済地理学とは何か?」「地理学とは何か?」「経済とは何か?」そして「誰のための、何のための経済地理学なのか?」といった問いに対して立地論の批判的検討を通して迫る中身は経済地理学に興味関心をもつ人のみならず、批判的に先行研究を捉え学問分野を前進させる営みを学ぶこともできる1冊です。
地理学入門書・初心者におすすめの本14|実践Data Scienceシリーズ Rではじめる地理空間データの統計解析入門
地理学に限らず人文社会科学では近年、統計解析や量的調査の重要性が高まっています。本書『実践Data Scienceシリーズ Rではじめる地理空間データの統計解析入門』は地理学入門者が知っておきたい統計解析をわかり易く解説した良書。
GISの基本から始まり、いま話題の時空間データの解析まで解説されています。またサンプルコードと出力結果が詳細なので実践しながら学べる点も評価ポイントです。
地理学入門書・初心者におすすめの本15|マシューズ&ハーバート 地理学のすすめ
最後に2冊おすすめの翻訳本を紹介したいと思います。15冊目は自然地理学と人文地理学を専門とする2人の著者による『マシューズ&ハーバート 地理学のすすめ』です。
ここまで紹介してきた多くの入門書は人文地理学もしくは自然地理学のどちらかを重点的に扱っていたり、分野関係なく網羅的に解説しているものが多かったですが本書は自然地理と人文地理の療法をバランス良く押さえている点が特徴です。
具体例を交えながら読みやすい180ページというコンパクトなボリュームに収まっている点もおすすめポイントです。
地理学入門書・初心者におすすめの本16|なぜ地理学が重要か
最後に紹介するのはミシガン州立大学教授 ブレイ,ハーム・ドゥ氏の『なぜ地理学が重要か』です。
地理学のもつ魅力と可能性について、気候変動・中国の台頭・テロというニュースでもよく見聞きする身近な3つの題材から紐解いている点が特徴。学術書でありながら地理学に触れたことがない一般の人も楽しく読める文体となっています。
最後に-地理学は隣接領域とあわせて学ぶことでさらに深まる!-
本記事では地理学の入門書・初心者におすすめの本を紹介してきました。これらの本は地理学への入口となるので、ぜひ参考文献や言及されている先行研究からさらに地理学を深堀りしてみてください。
地理学は隣接する学問分野とあわせて学ぶことでさらに理解度が高まります。例えば社会学や人類学は扱う理論が重なってきますし、経済地理学は経済学と密接に関わります。以下の記事では隣接分野の本を紹介しているので、ぜひあわせて読んでみてください、
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