本記事の元となる2020年版の観光 インバウンドおすすめ本紹介記事を書いた時には、まさか新型コロナウイルスが流行し東京オリンピックが延期になるとは思ってもいませんでした。
2024年、観光インバウンドが完全に復活しつつある現在、これからの観光産業を正しく読み解いていくためにも知識を蓄えていくことが大切です。
(なお本記事には一部、2020年以降に書いた内容をそのまま掲載しているため事実と異なる部分もあります(新型コロナウイルス流行前のため)。ご承知おきください。)
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地域引力を生み出す 観光ブランドの教科書|岩崎邦彦
2019年11月に発売された新刊 岩崎邦彦著『地域引力を生み出す 観光ブランドの教科書』は、地域×観光という既存の公式に「ブランド」を掛け算することの大切さを説明した本。
2003年の観光立国宣言以降、日本政府をはじめ都道府県や自治体の観光関係者は観光客の「量」を増やすことばかりに着目してきました。その結果、オーバーツーリズムや観光公害といった問題が表出し始めています。これからの時代は地域ごとに観光ブランドを確立しリピーターを増やしたり1度あたりの満足度を高める「質」の観光への転換が必要だと説いてるのが本書。
2020年以降新しい「地域×観光」の教科書になること間違いなしの1冊です。本の詳細を知りたい方はこちらからどうぞ。
地域が稼ぐ観光 ボクらはコトづくりでチイキのミライをつくる|大羽昭仁
「観光で来た人に地域の良さが伝わればいいなだけでは、観光客を受け入れる地域が疲弊してしまう。たくさん稼がなくてもいいけど、持続的にまわっていく程度のお金は地域の観光で稼いだほうがいいじゃないか。」本書の主張はここにあります。
著者は大手広告代理店に勤めながら、実践者となって地域が稼ぐ観光をいくつも行ってきた人物。広告代理店が得意とする企画×視点の置き方にプラスして実際に行動した人にしか分からない「地域の理不尽なモヤモヤ・壁」を乗り越える方法を分かりやすい言葉で解説しているのがこの本の魅力。
地域×観光でどう稼げばいいのか分からない人、観光で稼ぐということがそもそも分からない人にぜひ読んで欲しい一冊です。本の詳細を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
新・観光立国論|デービッド・アトキンソン
日本の観光インバウンド関連本の中で最もヒットした1冊。筆者は日本人が見落としている、もしくは目を背けてきた観光産業の実態を数字と明確なエビデンスをもとにわかりやすく論じてみせました。大前提として私たちが押さえなければいけないのは「日本の観光産業はインフラの整備や意識改革、マーケティングが他の観光先進国と比べて遅れている」という事実です
2015年に本書が発刊されたときと比べると日本の観光産業は飛躍的に成長しました。しかし今でも本書が指摘した軸となる部分は抜本的に改革されておらず、上滑りの観光立国化を遂げているのが実態です。今こそ本書をもう一度読み直す必要があるように感じます。
インバウンド・ビジネス戦略|早稲田インバウンド・ビジネス戦略研究会
400P越えの本書は従来のツーリズム分野のプレイヤーに加えて、新規参入者が増えているインバウンド・ビジネスにおいて押さえておくべきポイントが網羅できる良書です。新規参入を含めた多様なプレイヤーが大きな方向性を議論する具体的なフレームワーク、戦略を構築し具体的に実践する指針を提示するのが本書の狙い。
「ツーリズム×イノベーション」「インバウンドツーリズム×マーケティング」「ツーリズムエコシステム×ICTプラットフォーム」「アートツーリズム×まちづくり」「ツーリズム×統合リゾートビジネス」など、いま押さえておくべき注目の表題がズラリ。内容の量と質の高さに比べて価格が安いのもグッドポイントです。
インバウンド・ルネッサンス 日本再生|池上重輔, 早稲田大学インバウンド・ビジネス戦略研究会
『インバウンド・ビジネス戦略』の発売から約2年、早稲田大学インバウンド・ビジネス戦略研究会から続編ともいえる新たな本が2021年に発売されました。
本書はアフターコロナのニューノーマル下にある世界のツーリズム・ビジネスを見渡し「観光立国日本」を実現していくための新たなキー概念として、サステナブルに発展する「インバウンド・アウトバウンド・ループ(IOL)」という独自のフレームワークを提示している点が特徴。
国内外の事例を紹介・分析しながら、収益をインバウンド・アウトバウンドとスパイラル(循環拡大)させることで、一過性のビジネスにとどまらない、重要な基幹産業(貿易産業)として持続的に発展させる日本経済飛躍の方向性を提示しています。
月刊事業構想2020年1月号 大特集インバウンド6000万人 新時代の観光ビジネス|事業構想大学院大学出版部
新しい時代の企業活性、地方創生、イノベーションを考え創発する月刊誌「事業構想」の2020年最初のテーマが「新時代の観光ビジネス」です。事業構想にしか集められない豪華な有識者陣と企業・自治体の多彩な事例が魅力的な一冊。
HIS会長が語る観光産業の変化の先にある未来について、無印良品が人をつなげてローカルを強くする目的で展開するMUJI HOTELについて、住民の力で世界的リゾートを目指すニセコの事例など官民問わず注目度の高い取り組みがわかりやすくまとめられています。
観光学ガイドブック 新しい知的領野への旅立ち|大橋昭一、橋本和也 他
学問としての観光が学べる「観光学部/学科」を掲げた大学が、近年増えています。産業ビジネスとしての観光は重要ですが、一方で「そもそも観光とは何なのか」「各学問領域ごとに観光はどのように扱われてきたのか」「観光は社会にどのような影響を与えるのか」を改めて考えることも大切です。
本書は日本の観光学を作り上げてきた4人の先生方が執筆した新しい時代の観光学の教科書。観光学に触れたことが無い人にとっては初めはとっつきにくいかもしれないですが、学部1,2年生が観光学の基礎を学ぶために書かれたレベルの本なのでこれさえ読めば大まかに学問としての観光を知ることができます。今すぐ読まなくても、いざというときのために手元に置いておきたい本です。
観光社会学2.0 拡がりゆくツーリズム研究|須藤廣、遠藤英樹
観光学ガイドブックで触れた学問としての観光は細分化の傾向にあります。その中で社会科学である社会学の視点から観光を分析する学問が観光社会学です。日本では1995年に社会学者J,アーリ『観光のまなざし』が翻訳出版されて以降、観光文化×社会理論という図式が広まっていきました。
本書は、世界がフラット化した現代において「グローバル化」と「移動」が観光にどのような影響を与えているのかを多角的に複数の執筆者が論じています。右肩上がりで関わる多くの人が盲目的に「よいもの」として観光を捉えている今だからこそ、読む意味がある一冊です。
世界一訪れたい日本のつくりかた|デービッド・アトキンソン
「新・観光立国論」で全国的な注目を集めた著者が、前作では触れられなかった具体的かつ最新の行動案を提言しているのが本書。例えば筆者は、消費額が多く滞在日数も長く日本の真の魅力を楽しもうとするヨーロッパへのPRに力を入れるべきだといいます。
同時に「おもてなし」を代表とする文化やあたたかさの観光を日本は押し出してきましたが、より世界的にファンが多い自然を生かした観光にもっと注力すべきだとも述べています。
「新・観光立国論」をまだ読んだことが無い人は、ぜひ2冊同時に購入し一気に読むことをおすすめします。
「おもてなし」という幻想 10年先の日本をつくるインバウンド立国論|眞野ナオミ
本書の一番の主張は「日本人が自分たちの主観でイメージする訪日観光客が喜びそうなものを提供していてはダメ。もっと日本はマーケティングに力を入れターゲットのニーズを組み込んだ本当に訪日観光客が喜ぶものを提供するべき」というもの。
訪日観光客は日本人が好きだろうとイメージするツアーパッケージや大型テーマパークよりも、オーセンティックな景観であったり普通の日常的な体験を求めていたりします。
本当のニーズを知るためにも日本がさらなる飛躍を遂げるためにも、力を入れるべきはインバウンドマーケティングであると読んだ後に思わされる1冊です。
インバウンド再生: コロナ後への観光政策をイタリアと京都から考える|宗田好史
新型コロナウイルス流行を受けインバウンド復活に備えるべき今、私たちは何をすべきなのでしょうか。本書は身近な場所での異文化交流を文化都市に転換する力にする観光政策のあり方を示した意欲的な1冊。
観光公害が問題となるイタリアや京都の事例から、量を制御し質を高め地域を豊かにする8つの戦略と、観光公害・コロナショックから何を学ぶべきかなどを提示しています。
インバウンド対応 実践講座 「エリア目線」で成果を最大化する成長戦略|村山慶輔, やまとごころ編集部
本書は「エリア目線」をキーワードにインバウンド対応を学ぶ実践的な本です。国別傾向や推移、行き先や目的など訪日客の実態をつかめるデータを掲載しており、「インバウンド対応とは?」という基本知識から、最新動向に合わせた解決策までを図解とともに丁寧に解説。
成功事例が豊富なので参考にしやすいほか、政府が新たに創設した訪日客受入れ策の指針となる「おもてなし規格認証」と「トラベラー・フレンドリー認証」の解説など最新情報もわかりやすく取り扱われています。
PR視点のインバウンド戦略—訪日中国人の興味は「爆買い」から「体験」、「都市」から「地方」へ|電通パブリックリレーションズほか
中国におけるコミュニケーションの専門家がインバウンド・ビジネスを成功に導くヒントを享受する1冊。
筆者は訪日中国人観光客は、買い物だけでなく文化や精神的な癒しを享受する体験型の観光を楽しんでおり、一面的な中国人理解・インバウンド理解は問題であると警笛を鳴らします。
多面的にインバウンド観光客を理解したうえで長期的トレンドである体験型観光を促すために欠かせないのが、日中間のコミュニケーションを円滑にするPR視点。本書を読めばPR視点の大切さや実践方法が学べます。
インバウンド観光入門 ―世界が訪れたくなる日本をつくるための政策・ビジネス・地域の取組み|矢ケ崎紀子
本書は今、インバウンド観光に求められるのは、政府、地域、企業の総合力であると主張します。
そこでインバウンド観光の基本をまずは知ることが重要であるとし、世界のインバウンド市場・インバウンド観光振興の仕組み・インバウンド観光の実際・地域の取組の理解・インバウンド観光の意義と課題をわかりやすく各種データや事例に基づいて解説しています。
観光再生 サステナブルな地域をつくる28のキーワード|村山慶輔
「移動制限」「訪日客99.9%減」という新型コロナウイルス流行の危機から観光再生を目指すためのヒント&事例が満載のヒット本。キーワードごとに解説されているので興味関心ある部分だけ読むのでもOK。
地域を担う人、事業者、自治体などすべての関係者に読んでもらいたい1冊です。
本書はAmazonの聴く読書「Audible」なら、無料で読むことができます。
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『インバウンド実務主任者認定試験 公式テキスト』安田 亘宏、 全日本情報学習振興協会
全日本情報学習振興協会が数年前から年に4回実施している「インバウンド実務主任者認定試験」の公式テキスト。「試験勉強用の本はちょっと…」と思ったあなた、あなどることなかれ、この本はインバウンドを勉強している人も実践している人も0からインバウンドのことが学べるように分かりやすくまとめてあります。
ビジネス面、ニューツーリズムの種類、国ごとの傾向と理解、実践的な対応方法、集客、そしてまちづくりと実務者であれば押さえておきたい内容が400p以上にわたって掲載されています。スキルが目に見えにくい業界だからこそ、2020年に資格取得にチャレンジしてみるのもいいかもしれませんね。
2020年は今まで以上に多くの観光インバウンド本が出ること間違いなし!
2022年は今まで以上にさまざまな角度からの多くの観光インバウンド関連本が出ることは間違いありません。
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