豚コレラ(CSF)を分かりやすく解説!読み方は?なぜ感染は拡大した?人間が感染することは?

豚コレラ

知っているようで知らないニュース用語を分かりやすく解説する連載。今回は、豚コレラについて分かりやすく解説します。2019年11月21日に、 江藤拓農林水産相が参院農林水産委員会で、感染拡大が続くCSF(豚コレラ)について「そもそも神様が悪いと思っている」と発言したことで、再度、注目をあつめています。

豚コレラはCSFともよばれる豚やいのししの病気です。同じく動物の名前がつく鳥インフルエンザが日本中に広まった際には「鳥に触っちゃだめ!」とか「鶏肉食べていいの…?」と不安がひろまったことを覚えている方も多いはず。

豚コレラも同様に名前は聞くけど、原因や感染経路、人間との関係性について分からないことだらけのニュース用語ですよね。そもそも、”とん”コレラなのか、”ぶた”コレラなのか名前もよくわかりません!

そこで、ニュースでよく聞くけど読み方も意味もイマイチ分からない「豚コレラ」の基本について、この記事では分かりやすく解説します。明日、家族や友達と話したくなる情報であること間違いなしです。

”とん”コレラ?”ぶた”コレラ?豚コレラの正しい読み方は?

豚コレラの正しい読み方は、”とん”コレラです。(映像のニュースを見ずに文字だけで豚コレラのニュースに触れている人は、勘違いしている人も多いはず…)

TBSの人気ニュースラジオ番組Session22の豚コレラ特集回によると、「とんこれら」が確認される前に、「とんたんどく(豚丹毒)」という病気があり、これに合わせて「とんこれら」と呼ぶようになったようです。長い間、業界で使われなじんだ響きに合わせたんですね~

豚コレラになった豚は全部殺処分って本当?

豚コレラの感染力は非常に強力です。次なる被害を出さないためにも、感染が確認された養豚場や農場の豚は基本的に殺処分という結末を迎えます。悲しい…

実は、これほど強力な感染拡大防止策が講じられるのには理由があります。それは、今回のウイルスがこれまでの豚コレラよりも毒性が低く、簡単には感染に気がつけないからです。豚がたくさん死んだら感染に気が付きますが、気が付かない農家が当初は多かったようです。感染してもけっこう元気な豚も多かったそう。

しかし、毒性が弱くても感染力がとても強いので、感染した豚はウイルスを元気にまき散らし続けます。気づいた時には、ときすでに遅しで、広範囲にウイルスが広がっていたようです。

中国や韓国・ロシアなど海外でも豚コレラってあるの?

2015年以降、ロシアや東欧で豚コレラの感染が急激に拡大し、2018年の8月以降、中国の100か所以上の養豚場や農場で豚コレラの発生が確認されました。

2019年の10月時点で、韓国政府の農林畜産食品部は1万頭あまりの殺処分を決定(6万頭以上の殺処分予定ともいう) しており、韓国でも豚コレラは猛威を振るいました。韓国ではその結果、豚肉の価格が急激に上昇したほど、国内市場に大きな影響を与えました。

ロシアや韓国など上記の国で確認された豚コレラは、日本のCSFとは異なるASF(アフリカ豚コレラ)という種類のもの。豚コレラにもいろんな種類があるんです!

アフリカ豚コレラ(ASF)は豚やイノシシのウイルス性感染症で、40度から42度の高熱や食欲不振、起立不能、嘔吐、皮膚出血などの症状が現れる。人体には無害だが、有効なワクチンはなく、致死率は100%近い。1912年にケニアで発見され、英国の獣医病理学者モンゴメリーがAfrican Swine Fever(アフリカ豚コレラ・ASF)と命名した。

Newsweek: https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/post-13192.php

一節では今回の方は中国がモンゴルで発生しているものと遺伝子が近いので、海外から侵入したウイルスに野生のイノシシが感染し、それが養豚場の豚にも感染していったというのが有力な見方のようです。

豚コレラなのにワクチンが打てない!? ワクチン接種が遅れた理由とは?

農林水産省は、当初、ワクチンの使用について反対していました。「ワクチンを打ったほうが感染しなくていいんじゃない?」と私たちは思いますが、ワクチンを打ち始めるとウイルスをすべて殺すまでに何年もかかってしまうので、まずは衛生管理をしよう!というのが発表内容でした。

また、一部の有力な養豚県からワクチン接種に対して猛反発があったという情報もあります。ワクチンを接種することにより日本産豚肉の輸出規制につながる可能性があり、産業自体が危機的状況になる可能性があったからです。

しかし、県ごとにワクチンの接種が2019年秋からスタートし、静岡県は11月下旬に7万9000頭すべてのワクチン接種が完了しました。今後の各県の対応に注目です。

豚コレラは人間にうつる?消毒などで感染経路を広げないように気を付けよう!

豚コレラは豚やいのししの病気なので、人に感染することは絶対にありません。また、農林水産省によると、もしもあなたが豚コレラにかかった豚の肉や内臓・肝臓を食べてしまったとしても、身体に影響はないとのこと。

さらに、農林水産省は自信をもって「感染豚の肉が市場に出回ることはない」と断言しています。

ただ、ウイルスは様々な経路をたどって感染していきます。感染経路を増やさないように、養豚場や豚が飼われている場所の近くに「靴を洗う用のホース」や「靴の汚れを落とすマットレス」があったら、必ず綺麗にしてから移動するようにしましょう。

感染経路を広げないために他にできることは、きのこ狩りで山に入るときに気を付けたり、死亡したイノシシを見つけたらすぐに連絡するなどがあります。より詳細に知りたい人は以下のサイトをご覧ください!(長野県の方向け)

長野県や岐阜県での豚コレラの広まり方

2018年9月に、岐阜県にある養豚場で豚コレラに感染した豚が確認されたのが、国内では26年ぶりの豚コレラ発生でした。どんどん感染が広がり、2019年2月には愛知県、大阪府、長野県と4府県に広がってしまいました。

長野県では、野生イノシシによる感染拡大により伊那や木曽、松本地域などでどんどん豚コレラは広がっていきました。2019年10月30日付で、長野県内全体でおよそ20農場が感染拡大を防ぐための監視対象農場に登録されています。

まとめ―ワクチン接種の効果がどのように表れるかがこれからのチェックポイント―

豚コレラについて、少し詳しくなれたでしょうか?記事中でも触れたように、豚コレラの感染を防ぐためのワクチン接種が2019年後半から全国で進められています。感染してしまった豚はしょうがないですが、ここからの勝負所はいかに感染を広げないか、そのためのワクチン接種がどれほど効果を発揮するかです。引き続きニュースをチェックしていきましょう!

参考資料

中国でのASF発生状況等|農林水産省

CSF(豚コレラ)について|農林水産省

韓国で広がるアフリカ豚コレラ感染……南北境界線の一般開放を中断|Newsweek

長野県で発生した野生イノシシでの豚コレラウイルス感染確認事例に係るプレスリリースについて|長野県

「豚コレラ 感染拡大をどう防ぐか」(時論公論)|NHK

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KAYAKURAは「新しい地域と観光を考える」をコンセプトに、地域と地域にまつわる言葉や動向を深く考える地域考察メディアです。

この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.