マルクス 『資本論』を簡単にわかりやすく解説した記事は本当に簡単にまとまっているのか

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NHK Eテレの人気番組100分de名著で2021年1月に取り上げられることで注目を集めるマルクス『資本論』。『資本論』は難解なことで有名で、経済学や社会学など『資本論』と関連する分野の学部生や大学院生でも手こずる人は多いです。この記事を書いている私も、その中の1人。

マルクスの『資本論』は難しいからこそ、多くの解説本や記事が世の中にあふれています。理由は「資本論は難しいが、読んでおいたほうがいいと思わせる魅力がある」から。

例えば最近では哲学者で経済思想史研究者の斎藤幸平氏は著書『人新世の資本論』でSDGsを批判的に捉え、本質的に持続可能な社会をつくるためのヒントが書かれた本として『資本論』やマルクスの関連研究を紹介しています。

思想史家で政治学者の白井聡氏は、私たちの当たり前の働き方や日常に疑問をいだき変革するための書『武器としての『資本論』」でとてもわかりやすく解説しています。

良質な『資本論』の解説書は巷にあふれている。しかし多くの人はこう思っているはずです。「本を読まずに、もっと短時間で『資本論』の核を知りたい」と。そこで本記事ではGoogle検索で「マルクス 資本論 簡単に」「マルクス 資本論 わかりやすく」と検索した場合に、上位に表示される4記事をピックアップし、本当に”簡単に””わかりやすく”解説されているのか、検証していきます。

この記事がマルクスの『資本論』の入り口となる記事を探す入り口になれば幸いです。ぜひNHK Eテレ100分de名著の前に、最中に、後に、読んで学びを深めてみてください。(検索順位は2020年12月9日現在のものです)

5分でわかる「マルクス主義」入門。わかりやすく解説! 批判や問題点も解説

1本目の記事は、「マルクス 資本論 わかりやすく」で検索1位、「マルクス 資本論 簡単に」で検索2位のIWAMOTO MASASHIさんによる解説記事です。検索上位ではありますが、残念ながらあまりおすすめはできません。

共産主義の解説部分で「共産主義宣言」という言葉が出てきますが、これは『共産党宣言』の間違いだと思われます。マルクスに関連する最も重要な書籍の1つのタイトルが間違っています。

唯物論的歴史観の説明部分もイマイチです。特に唯物史観についてまとめた3つの項目は、Wikipediaからの転載です。この部分も含め、記事の説明の根拠となる引用文献や参考文献も1冊も紹介されていないのも気になります。

あえて良い点をあげるならば、社会学や経済学に対して書いた方が専門的な知を有していない(と考えられる)からこそ、客観的に色眼鏡をかけずに用語や考え方をまとめていること。ただ中身の精度は低いので、他の記事を参考にするのをおすすめします。

3分でわかる!マルクス『資本論』| DIAMOND online

2本目の記事は、「マルクス 資本論 わかりやすく」で検索2位、「マルクス 資本論 簡単に」で検索1位の記事です。著述家で現・河合塾日本史科講師の富増章成さんの著書『読破できない難解な本がわかる本』の関連記事として掲載されたものです。

記事では本に掲載するために書かれたイラストも用いられており、飽きずにわかりやすく読めます。また、記事の重要な部分は太字にしてあるのも好ポイント。「3分でわかる!」とありますが、太字だけ押さえれば最速1分くらいで『資本論』の核はつかめそうです。

記事の文章量が少ないため用語の意味は使い見づらい部分がありますが、1本目の記事と比べるとこちらのほうが圧倒的におすすめできます。DIAMOND onlineというある程度、大手の媒体に掲載されている点も、編集など書いた人以外のチェックがあると思うので信用できるポイントです。本記事の元になった富増さんの著書が気になる方は以下からチェックしてみてください。

資本論とは?【死ぬほどわかりやすく要約】

3本目は「マルクス 資本論 わかりやすく」で検索3位、「マルクス 資本論 簡単に」で検索3位の記事です。書いたのは素人哲学者 ミルマノさん。タイトルに「死ぬほどわかりやすく」と書いてありますが、確かに今回紹介する4記事の中では、最も平易でわかりやす文体で書かれています。

記事自体の質に関しては、あまり高いとは言えません。1本目と同様に引用がなかったり、根本的な言葉の言い回し(例:『資本論』を「現在でも人気のある経済本」と表していたり)がおかしかったりします。ただ先ほども書いたように、文章はとても平易なので「固い文章が苦手!」という方には、入門の入門の入門として、正しい情報を得るというよりニュアンスを掴むためにはありな記事かなと思います。

10分でわかるマルクスの「資本論」入門。初心者にも分かりやすく要約・解説します。| クリプトピックス

3本目は「マルクス 資本論 わかりやすく」で検索4位、「マルクス 資本論 簡単に」で検索4位の記事です。書いたのは、経済・経営系の修士課程を修了し会社員として働きながら、経済学をわかりやすく解説するWebサイトクリプトピックスを運営するクリトピさん。経済・経営系の修士課程を修了している点で、一定の信頼ができます。

クリプトピックスの記事は『資本論』以外も、イラスト多めで見た目がキャッチ―、重要な部分は太字で、さらに重要な部分はマーカーがひいてあり読みやすくとても学びになります。ということで、マルクス『資本論』の記事も、おすすめです。

解説の中身は項目立てて端的に解説されていてわかりやすい構成になっています。また経済学に特化したサイトなので、マルクス紹介記事や用語解説記事が他に多数あるのもおすすめできるポイント。いくつかの記事を周遊することで、より深くマルクスの『資本論』を学べると思います。今回紹介した4記事の中では、この記事が最もおすすめです。

最後に-オンライン上の入門記事を読むのは、悪いことじゃない-

2つ目に紹介した記事の元となる本を書いた富増さんが、記事の最後でよいことを言っています。

もちろん原典と比べてその情報量は雲泥の差です(本書の場合、500ページ以上ある本も見開き4ページにまとめているのだから)。でも、なんにも読まないよりずっといいでしょう? そう思いませんか。分厚い本を一冊買って、読まないで部屋に飾っておくより、本書を電車の中で読んだほうがよいのではないでしょうか。

https://diamond.jp/articles/-/206477?page=3,

この記事にたどり着いた人にも、まさにこの精神でマルクスの『資本論』解説記事を読んでもらえたらと思います。富増さんは本ですが、多くの人が解説本さえ読むのが難しい状況にあるかもしれません。そこでオンライン上の解説記事を読むわけですが、せっかく読むなら質の高い解説記事を読みたいですよね?

KAYAKURAでは、この記事以外にも主に社会学の用語解説記事を掲載しています。ぜひ今後のスキマ時間の学びに生かしてみてください。

この記事を書いた人

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Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.