アメニティ移住とは

移住大辞典

アメニティ移住は2000年代から欧米を中心にある特徴をもつ移住現象を指す言葉として現れた言葉。

意味は「非経済的な理由で、現在住む都市環境よりも地理的環境や文化的環境が美しかったり、静かだったり、心を揺さぶられたりするような地域に移住すること/人々。」

アメニティ移住とは

アメニティ移住(amenity migration)とは2000年代から欧米の研究者を中心に用いられるようになった、ある特定の移住形態を指す概念です。国内移住のみならず国外移住も射程範囲に収めており、2010年代に入ると欧米以外の地域を対象とした研究も盛んになり、欧米中心的な用法へは批判的な言説も登場してきました。

都市地理学や開発学を専門とするAxel Borsdorfらによれば、アメニティ移住とは「通常、非経済的な理由で現在住んでいる都市環境よりも、地理的環境や文化的環境が美しく、静かで、心を揺さぶると認識される地域に移住する行動と人々を指す」概念です。

背景にあるのはライフスタイル移住と同様に、反都市化や農村のまなざしの変化、農村の再構築、文化論的転回、移動論的転回、ポストプロダクティビズム、SBNRなどがあります。

アメニティ移住の例と研究

アメニティ移住研究は、比較的、山岳地帯への移住者を対象としたものが目立ちます。例えばイタリアのアルプス山脈やチリのアンデス山脈周辺では、数十年にわたる純人口減少を経験したのち、2010年代に入ってからかなりの数のアメニティ移住者を観測しています。

この2つの地域を対象とした調査から明らかになったことは、アメニティ移住者は自然環境や山々の環境に魅了されて移住しているということです。またアメニティ移住者は、移住先の環境が都市での生活時よりもストレスが少ないと感じる傾向もあることがわかっています。

一方、イタリアのアルプス山脈地域では都市部に近接しているため日帰りの移動者も多く、アメニティ移住者と地元住民の間で価値観の対立が生じている現状もあります。

これらの傾向は日本における地方移住や田園回帰、ライフスタイル移住の実態とも重なる部分が大きいです。同じ地方という括りでも、先行研究のような山に近い場所に移住する人々を対象に研究したり政策を考えたりする際に有用かもしれません。

参考資料
Axel Borsdorf, Rodrigo Hidalgo and Hugo Zunino, 2012, 「Amenity Migration: a comparative study of the Italian Alps and the Chil-ean Andes」The Journal of Sustinability Education.
David Matarrita-Cascante, Gabriela Stocks, 2013, 「Amenity migration to the global south: Implications for community development」『Geoforum』91-102.

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この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.