皆さんは「デジタル専門人材派遣制度」を知っていますか?本記事では、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 内閣府地方創生推進室が2020年4月から運用を開始する予定の「デジタル専門人材派遣制度」について、分かりやすく解説します。事業がまだ始まっていない、一部計画中なので随時、変更する点もあるかもしれませんが、大枠は変わらない見込みなので参考にしてみてください。
デジタル専門人材派遣制度とは?民間人材が地方の地域課題を解決?
デジタル専門人材派遣制度は、政府の「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」に基づいて、民間のデジタル専門人材を地方市町村に派遣する新たな制度です。
地方の課題を解決するためには、最先端のデジタル技術がこれからの時代は不可欠。政府は意欲と能力がある民間の人材に地域課題解決のために頑張ってもらおうと考えているわけです。
デジタル専門人材の派遣期間は半年以上2年以下
今後のスケジュールは、2019年の12月上旬~2020年3月に、協力する民間企業と地方市町村のマッチングを実施。年度が替わる2020年の4月から人材の派遣を始めるようです。
派遣期間は2020年4月1日~半年以上2年以下。ただ、これは、市町村と派遣元の調整によっては時期や期間を変更することが可能となる予定です。
デジタル専門人材派遣の要件は?どんな人が向いている?
デジタル専門人材の派遣先は、必ず市町村(行政)になります。職種は課長、部長、副市長村長や地方創生を担当する幹部職員、もしくは地方創生のアドバイスを行う職員です。地域おこし協力隊のような制度と異なり、デジタル専門人材が就くのは、行政内でも上のほうの役職であるのが特徴です。
デジタル専門人材の望ましい条件としては以下のようなものがあります
- 地方創生への意欲が高いこと
- 未来技術に関する施策の策定または実行のための能力を持っていること
- 未来技術や情報通信技術を活用した企画~研究~販売~運用などの業務経験と知意識があること
条件をみると分かるように、ただ技術があればいいわけではなく、施策の策定や実行、事業の企画~販売など幅広い知識と経験が求められます。就任する役職も考えると、ある程度、社会で経験を積んだ人が想定されているようです。
全国19都道府県 31市町村が派遣希望を出した
2019年11月29日に政府が発表したデジタル専門人材派遣に関する市町村向けの調査の結果、全国の19都道府県、31市町村が派遣を希望していることが明らかになりました。最も多かったのは鹿児島県で4市町村、続いて奈良県と山口県が3市町村でした。
私が住む長野県は上田市と東御市が派遣希望を出した模様。上田市は新幹線の駅があるので東京からのアクセスがよく、長野県内でも早い段階からコワーキングスペースがありデジタル人材にとっての環境は整っていました。長野工科短期大学というデジタル系の人材を育成する学校も上田市と東御市から近い場所にあるので、このあたりも派遣希望に関係していそうです。
まとめ-デジタル専門人材派遣制度が成功するために大切なこと-
デジタル専門人材派遣制度は、2020年4月に始まる新しい制度です。ここ数年、地方の市町村では県や国の若手職員が出向し第3者視点から改革に乗り出す事例が増えてきています。同様に、民間企業で培ったノウハウを行政で活かしてもらうポストをおく地方市町村も増えてきています。
従来のやり方で失敗しているのならば、従来の方法を変えなければならない。しかし、行政職員は従来の方法しか知らないため変革する方法がわからない。そこで、外部人材の登用が増えているわけです。ここで重要なのは誰が来るかではなく「受け入れ側が、外部人材と手を組んでいい結果を出そうという意識があるかどうか」です。
地域おこし協力隊もそうですが、同じ制度を使っていても成功失敗が大きく分かれます。個人の責任もある一方で、最も大きな影響を与えるのは受け入れ側の対応です。地域おこし協力隊を含む過去の制度の反省を生かし、派遣人材の能力を最大限引き出す環境と仕組みを各市町村がつくれるかがポイントになります。
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