里山とは何か?-定義や意味・里山がかかえる問題・生物多様性との関連などを解説-

里山とは

「里山を保全しよう」という言葉をよく聞きますが、一体「里山」とはどのような環境を指すのでしょうか。なぜ里山を保全する必要があるのでしょうか。

里山とは「自然環境と都市空間との間にあり、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域」です。里山は水質浄化や土砂災害の防止、大気浄化など人が生きていくためのよりよい環境をつくる機能を多数有しています。

本記事では里山の定義や意味を知らない方に向けて分かりやすく、里山とは何かを解説します。里山の定義や意味、英語での表現、里山が持つ価値や特徴、里山がかかえる問題、里山と生物多様性の関係性など。ぜひ読んで学んでみてください。

里山とは-定義と意味を知る-

里山とは自然環境と都市空間との間にあり、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域を指します。よりシンプルに定義すると「集落や人里に近く、人間の影響を受けた生態系が存在する山」を指します。

里山は農林業などに伴うさまざま人々の働きかけを通じて環境が形成・維持されてきました。里山は大きく山地・丘陵地・台地の3つにわけられることもあり、この3つは同じ里山でも環境が異なります。

日本にある里地里山エリアのうち3割は都市圏内、7割は都市圏外に分布しています。一方、里地里山の人口は約8割が都市圏に集中しています。

里山の特徴・価値

「里山の保全が大切」といわれますが、一体、里山が持つ価値や特徴はどこにあるのでしょうか。愛知県観光局は里山の特徴と価値を次のようにまとめています。これをみると里山を保全しなければいけない理由がよく分かります。

  • 資源生産
  • 水源涵養・水質浄化
  • 土砂流出・崩壊防止
  • 野生生物の生息・生育環境
  • 都市微気候の緩和
  • 大気浄化・緩衝緑地・避難空間
  • 感性・想像力涵養・文化の継承の場
  • レクリエーション・リフレッシュ・交流の場
  • 環境学習の場

里山は英語で何というか

里山を1つの英単語で説明することは難しいですが、Satoyama Landscapeと言われるように里山をそのままローマ字にすることが多いです。

里山の意味やニュアンスを伝えたい場合は「Woodland close to the village (living area)」「An undeveloped woodland area near a village」などと伝えるのが良いと思います。

里山がかかえる問題

少子高齢化がすすむ現代社会において、里山は様々な課題を抱えています。背景には戦後の高度経済成長とともに産業構造や生活様式が急激に変化したことがあります。

少子高齢化がすすむ現代社会において、里山は様々な課題を抱えています。背景には戦後の高度経済成長とともに産業構造や生活様式が急激に変化したことがあります。

燃料としての薪炭や草、カヤの利用の停滞、衰退・人口流出による里地里山地域の過疎化、高齢化・人工林化の進展とその後の外材輸入拡大に伴う森林資源利用の縮小・宅地、ゴルフ場等の造成、農地・河川整備など開発による自然の改変がその理由です。

結果として現在の里山は、山林や農地、水路などの自然環境の荒廃・里山特有の生物の生息域の消滅と生物種の減少・地域固有の文化の喪失や景観の悪化・国土保全機能の低下による災害発生、水源をよりよい状態に保つ機能の低下などの問題が生じています。

これらの問題を解決するために、最近では自然環境に興味関心ある人たちによる移住など関心の高まりや、企業のCSRに対する意識の向上里山保全活動の活発化などの動きがみられ始めています。

里山と生物多様性

里山は長い時間をかけて人々が自然と寄り添いながらつくりあげてきた自然環境であり、農地、ため池、樹林地、草原など多様な自然環境を有する地域です。そのため里山には生物の多様性があります。

しかし上記の問題により里山の生物多様性は危機に直面しています。平成14年度の調査によれば日本で絶滅の恐れのある動植物が集中する地域のうち、およそ6割が里山に分布していることが明らかになっています。このことは里山の保全は生物多様性の保全とイコールであるということです。

問題の原因としては、(維管束植物のRDB種の場合)環境が変化することである場所の植物を構成する植物の種類が時間の経過とともに別の植物に移り変わってゆく植物遷移という現象や、管理の放棄などが要因とみられています。

最後に-里山についてより深く知るためにおすすめの本-

里山とは

本記事では里山の定義や意味、生物多様性との関連やかかえる問題をみてきました。記事を読んでより深く里山について学びたいと思った人に向けて、おすすめの本を3冊ピックアップしました。ぜひ買って読んで里山への学びを深めてみてください。

金沢大学教授らによる著作。里山が形成される場所や過程がはらむ問題、歴史的に形成・構築された言葉のあり方を様々な視点から解きほぐしていくことにより、里山という参照軸から自然・環境をめぐる人間の価値観の交渉を明らかにした1冊。

第20回木村伊兵衛賞、第28回土門拳賞を受賞した写真家 今森光彦氏の著作。NHK・BSプレミアムの人気番組「ニッポンの里山ふるさとの絶景に出会う旅」で紹介された100の里山をまとめて1冊にした本。

2013年に発売された本書は反響を呼び発売3か月で16万部を突破した里山の可能性を全国に広めたヒット作。藻谷浩介氏とNHK広島取材班の造語「里山資本主義」は、里山のような身近なところから水や食料・燃料を手に入れ続けられるネットワークを用意しておこうという思想を指しています。

参考資料
環境省, 「資料3 里地里山の現状と課題について」.
愛知県観光局, 「里山保全活動マニュアル 4 新たな里山の役割」.
里山へGO!, 「ABOUT SATOYAMA」.

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最後に、効率よく学ぶために本を電子版で読むこともオススメします。

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この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.