地域のために活動をしている学生団体は、あらゆる地域に存在すると思います。
しかし、コロナ禍では学生団体として地域活動をすることが難しくなっています。中には団体をたたむ状況に追い込まれてしまったところも多いと聞きます。
幸い、私が代表を務める「学生団体たまこまち」は、今でも活動を続けることができています。
そんな自分が感じた「With コロナで学生団体として地域活動をすることの難しさ」と「コロナ禍でも活動し続けてきたことで見えてきたもの」を、この記事ではお伝えできればと思います。
この記事が、すでに地域活動をしている学生、これから地域活動をしていきたいと考えている学生、または地域活動をしている学生と接点を持ちたいと思っている地域の方が新しい一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
学生団体たまこまちとは?
学生団体たまこまちは2018年に設立された学生団体です。
設立から3年が経過した現時点で、一橋大学の学生を中心に30名ほどの学生が在籍しております。我々の主な活動は国立市谷保地域にある「ゲストハウスここたまや」の運営です。
地域コミュニティに興味があり、人と人のつながりを生むゲストハウスの可能性に注目していた創設者が、若者と地域の方が交流する拠点としてゲストハウスの設立を決意して、この団体は創設されました。
そして、谷保で空き家になっており取り壊される予定だった築40年のアパートを地域の方々と協力しながらリノベーションを行い、2019年の1月に民泊施設として開業しました。
学生団体たまこまちは「学生が主体的に挑戦することを通じて、誰もが誇れる地域社会の実現に貢献する」というミッションを掲げております。
ゲストハウスの運営を通じて学生が「やりたいことを実現する」とともに、ゲストハウス運営を通じて繋がった方々が地域のことをより魅力的に感じることができて、地域のことをより大切にしようと思えるように活動をしてきました。
ゲストハウスここたまやは創業2年目にしてコロナという危機に直面しましたが、それでも2020年度は宿泊者数・延べ宿泊者数ともにコロナ禍前の2019年度よりも増加しており、運営メンバーもほぼ倍増しました。
しかしWith コロナで学生団体として活動することは非常に難しかったです。そして、実はちょうど1年前には、この団体も崩壊しかけていました。
では具体的にどのような難しさがあったのかを、学生団体という組織上の特性を踏まえて振り返ってみようと思います。
コロナ禍で学生団体として活動することの難しさ
①大学からの活動制限
大学公認の学生団体の場合、大学が提示する活動指針に従う必要があります。実際に一橋大学が提示している活動指針は以下の通りです。
詳細は省きますが、基本的に文化系の団体は体育会系の部活とは異なり、コロナ禍で対面活動を行うことは禁止されているため、我々の場合は、一時期は宿泊を受け付けないようにしたり、定期的なミーティングや新歓活動もオンラインに移行したりすることで、大学の活動指針に従っていました。
しかし我々はゲストハウスを運営する団体であり、運営をするにあたって様々な方の協力を得ているので、運営を止めることで財政的に破綻する状況はどうしても避けなければなりませんでした。そこで、学生団体としての活動ではなく、あくまでも個人の活動という名目上宿泊の受け付けを再開せざるを得ませんでした。
もしそれで大学公認の団体ではなくなったとしても仕方がないという覚悟はあるわけですが、本音を言うならば、体育会系の部活だけではなく、我々のような文化系の団体にも対面での活動を一部でも良いので許可をしてもらいたいなと思います。
我々以外にも、地域活動をしている学生団体は大学の活動指針に従わなければならないが、対面での活動をしないと団体が崩壊してしまうのではないかという葛藤に悩まされていると思います。
②地域との関係性の維持
学生団体として地域活動をする際に最も重要なのが地域との関係性を維持することだと思います。未熟者でもあり、他所者でもある我々学生は地域の方のサポートなくして、地域活動は行えません。
しかし、コロナ禍で地域との関係が希薄化してしまったと感じます。
コロナ禍前は地域の方を招いたイベントを開いたり、地域内のイベントに参加したりすることで、新たに地域の方と出会ったり、一度構築した人間関係を維持したりすることができました。
しかし、オンライン授業になったことで大学に通わなくなった学生が増えて、そもそも学生が地域に出る回数も減りましたし、地域で開催されるイベントも少なくなりました。
我々がイベントを開催しようと思っても、対外的に発信しづらい状況であるため集客が難しい、また、そもそも大学の活動指針に従えば対外イベントの開催は禁じられています。
実際に我々もコロナ禍前は月に1回ほどの頻度でイベントを開催したり、イベントに参加したりしていました。しかし、With コロナではイベントの主催はできていません。また、イベントへの参加回数も大幅に減ってしまい、これまでに先輩方が築き上げた地域との関係性が希薄化しているのを実感していて、やるせない気持ちで一杯です。
つまり、学生が地域との繋がりを構築して、それを維持する機会がほとんどなくなってしまったため、地域活動を行いにくくなってしまっているのです。
③学生のモチベーション維持
学生団体はほとんどの場合、メンバーの活動に対して報酬を支払うことができません。
所属メンバーが内発的に動機付いて活動していることが大前提ではありますが、地域のためとなる活動をするためには、時にはメンバーに動機が薄いこと、多くの労力を要する辛いことまでこなしてもらう必要が出てきます。
つまり、メンバーには何の義務がないにも関わらず、メンバーが「やりたい」とは思えないことまでもやってもらう必要があるのです。
対面での活動が可能だったときは、地域の方の顔が見えるため、手触り感のある活動ができており、自分が活動に取り組むことの社会的意義を実感しやすかったと思います。また、団体内での人間関係の構築も行いやすくて、人間関係が良好だから辛いことも乗り越えられるということがあったと思います。
しかし、対面での活動が禁止されている状況では、団体の活動が地域にどのような影響を与えているのか実感しにくく、オンラインでの活動がメインだと団体内での人間関係も構築するのが困難で、容易にメンバーが離れてしまいます。
実際に我々の団体も2020年の4月頃にはどんどんメンバーが離れてしまい、一時期は4人だけで活動していることもありました…..。
我々の団体に限らず、構造的に学生団体という組織は機能しにくい状況なのではないかと思います。
コロナ禍でも活動し続けることで見えてきたもの
With コロナで活動することの難しさを3点ほど説明しましたが、それでも困難に向き合いつつ、粘り強く活動することで見えてきたものもたくさんあります。
①人が集まる
まず、コロナ禍で活動している団体が少ないからこそ、コロナ禍でも活動している団体には人が集まってきます。課外活動をしたいという需要は変わっていないにも関わらず、供給が減少しているからです。
学生団体たまこまちも一時期は活動しているメンバーが4人しかいませんでしたが、粘り強く活動し続けたことで、メンバーが徐々に増えていき、現在は30名近くが所属する団体になりました。
しかも、コロナ禍前であればほかの団体に流れていた層までもが入ってくれている感覚があり、新しい風が組織に吹き始めております。
②組織のアップデートの機会になる
また、組織として成長する機会になったと思います。
コロナ禍という人が離れやすい状況だからこそ、団体の理念を見直すことで、活動の方向性を見失わないようにしたり、メンバーのモチベーションが下がらないように1ON1制度を構築したり、組織内ワークショップを開催したりしました。
こういった一連の施策を通じて、組織の足腰が大幅に強化されたと思います。
③地域の方々との協力体制の強化ができる
そして、地域の方々との協力体制を強化する機会にもなったと思います。
地域との関係性を維持することが難しくなっていることと矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、学生も地域の方々もコロナ禍という同じ課題を抱えているからこそ、一緒に乗り越えるために協力を呼びかけやすくなっています。
例えば、我々の場合はお客さんを送り合うことを地域の商店街の方に提案ができたり、イベントを共催することを提案したりすることができました。
確かに地域との関係性が希薄化した部分もありましたが、その一方で地域の方々との協力体制を強化できたという側面もありました。
コロナ禍で苦しんでいることもたくさんありますが、このピンチをチャンスに変えることは十分可能だと感じましたし、しっかりと困難に向き合い続けて良かったなと心の底から思っております。
最後に-ゲストハウスここたまやに、いつでもお越しください!-
コロナ禍で活動し続けることは相当大変なことです。しかしこの状況に屈せずに、すでに活動している学生、これから活動しようと考えている学生の皆さんには我々と一緒に頑張っていただきたいです!
そして、地域の方々は学生がこういった事情を抱えていることを踏まえて、学生と課題を共有し合ったり、協力体制の提案をしてくださったりすると、学生は大変助かります!
我々はゲストハウスここたまやにいますので、もし個別で話したいことなどがありましたら、いつでも遊びに来て下さい!
最後まで読んでいただきありがとうございました。