近年、EBPM(エビデンスに基づく政策形成)の高まりや、DMOにおけるKPIの形成確立の要請など、調査や統計に基づく観光施策の実施が求められています。
しかし、エビデンスに基づく観光施策の実施をめぐっては、以下のような課題や壁がよく聞かれます。
「正しく調査を行うための、質問項目作成が難しい…」
「従来の方法では、統計的に十分な数の回答を集められない…」
「調査したとしても、どのように分析すればいいかわからない…」
そこで、KAYAKURAでは2019年度から、企画運営から分析報告までを一貫して行う新たな観光動態調査事業を行っています。調査プランは訪問者を対象とした「訪問者満足度調査」と、非訪問者を対象とした「未訪問者認知度調査」、そしてこれらを組み合わせたものの3つです。
主には自治体を対象とした観光動態調査となりますが、民間事業者様からのご連絡も大歓迎です。まずは、お気軽にお問い合わせください。
KAYAKURAの調査の4つの特徴・強み
訪問者調査と非訪問者調査の同時実施
訪問者調査と非訪問者調査を同時実施は、全国的に見ても例が少なく、KAYAKURAの調査の特徴です。同時に実施することで、訪問者による印象と外部イメージのギャップや、情報発信をめぐる課題などが明らかになります。
調査と観光PRのダブル効果
KAYAKURAの調査はプレゼントキャンペーンとの連動や、各地域のローカルメディアと連携した調査実施により観光PR効果が付随します。予算項目に応じた柔軟な対応が可能となり、調査の意義が理解されにくい場合にも意義と効果を説明しやすいのが特徴です。
1年の調査で4,000人を超える回答者数
統計的に問題のない調査のためにはある一定以上の回答者数が必要不可欠です。KAYAKURAの調査は独自のシステムにより訪問者調査の場合約1,000人、非訪問者調査の場合は約3,000人の回答を収集することができます(人口規模10万人程度の自治体のケース)。そのため、従来の行政職員による調査や調査員設置型調査の数倍の回答を得ることが可能です。
EBPM時代の観光政策立案を専門家が支援
2010年代以降の政策現場ではEBPM、エビデンスに基づく政策立案が求められています。KAYAKURAの調査は、EBPM時代の観光政策に必要な調査企画とエビデンスの収集、それに基づく分析考察を一貫してサポートします。企画、調査、提案は一橋大学所属政策学や社会学を専門とする研究者、日本学術振興会特別研究員、ほか大学客員研究員など学術的に第一線で活躍する者が行うため、学術的知に基づいた信頼性の高い結果をご提供することが可能です。
来訪者満足度調査の特徴とフロー(一例)
来訪者満足度調査の概要
来訪者満足度調査では、QRコードを記載した周知ポスターを使用します。観光スポット等に設置したポスターから回答していただき、期間後に抽選で当選者に地域ゆかりの賞品や宿泊割引券等を郵送します。ただの調査事業ではなく、観光キャンペーンとすることで、広く回答を集めることが可能となります。
具体的には、ポスターからのオンライン回答を基本とした通年型の調査を行います。来訪者の属性や観光満足度・消費額・再訪移行等のデータが収集分析可能です。調査結果は観光振興の他に情報発信や文化財活用・交通施策等にも活用できます。
来訪者満足度調査の特徴
- 調査員の設置や紙による従来型調査と比較し、無人でのポスター×QRコード×プレゼントキャンペーンを活用したオンライン調査に移行することで調査分析の効率化とスリム化を達成。
- 調査地点の増加が可能。プレゼントキャンペーンとすることで従来は把握できなかった層の動向を分析できると同時に、回答数の増加により調査の信頼性が高まります。また、調査自体が観光PRの性格も有するため調査名目での予算確保が厳しい場合にも実施しやすいのも特徴です。
非来訪者認知度調査の特徴とフロー(一例)
非来訪者認知度調査は、各地域の観光Web事業者と連携して実施します。キャンペーン期間は約1ヶ月、キャンペーンページ上で公開しSNSやニュースサイト等から回答を促します。
観光Web事業者と連携したオンライン調査で、従来は把握が難しかった未来訪者の観光ニーズや観光資源の認知度・興味関心等のデータが収集分析可能です。多様なアクターを巻き込んだ地域協働型の側面も有します。
非来訪者認知度調査の特徴
- 来訪者調査と同時に実施することで双方の認知度や興味関心度の共通点・異なる点が明らかになります。これは潜在的来訪者への観光PR等アプローチ方法を検討するのに有効です。
- 観光Web事業者との連携企画とすることで調査を通した観光PRが可能になります。また来訪者調査同様にプレゼントキャンペーンとすることで地元産品の発信につながります。さらに若年層のニーズや興味関心をSNS等を通して詳細に把握することが可能です。
他社との比較(来訪者満足度調査、A自治体のケース)
こちらの表は、来訪者満足度調査について、従来型の調査員設置方式の調査を行う他社と比較した表になります。
表の通り、KAYAKURAの調査の場合は、従来よりも少ない予算で、多くの回答を得ることが可能となります。また、調査員設置型では協力を仰ぐことが難しく少なくなりやすい“若年層”の声も、KAYAKURAの調査ではしっかりと拾うことが可能です。
KAYAKURA | 他社A | |
回答者数 | 来訪者1,297人 非来訪者3,945人 | 343人 |
調査期間 | 4月-翌1月 計10ヶ月間 | 4月、9月、12月-1月 計:4ヶ月間 |
金額 | 来訪者調査:100万円- 非来訪者調査:60万円- 来訪者調査+非来訪者調査 :160-300万円 | 来訪者調査のみ :200万円-500万円 |
調査方法 | QRコードによる オンラインアンケート調査 | 調査員を設置した 聞き取りアンケート調査 |
調査箇所(地点)数 | 50箇所 | 16箇所 |
若年層割合(30代以下) | 26.9% | 12.4% |
年配層割合(60代以上) | 28.0% | 54.5% |
初来訪者割合 | 33.9% | 23.3% |
質問項目数 | 20 | 15 |
PR効果 | あり | なし |
分析内容と調査報告書のイメージ(一部抜粋)
1.回答者属性(回答時期など):詳細な回答者属性の分析
・KAYAKURAの調査では回答者属性の分析に力を入れています。訪問時期、性別、年齢層、居住地域、来訪回数、同行者、来訪手段、滞在時間などの項目を基礎的情報として分析します。居住地域は都道府県ごとの分析のほかに長野県内は市町村ごとの把握もできます。
・回答者属性は以降の質問とクロス集計することで集計したデータを細分化して把握できます。クロス集計により従来の調査では把握しづらかった来訪者ごとの観光行動の特徴や関心の有無などが明らかになります。
2.〇〇市への旅行で利用した情報源(複数回答可)
・分析方法と結果の示し方は調査項目ごとに最も適したものを選択します。
・クロス集計の場合は棒グラフもしくは線グラフによる分析結果と、クロス集計結果を表で示した2つの分析結果から分析結果と考察を示します。
・満足度調査のように回答に段階がある場合は積み上げ棒グラフ分析とクロス集計を行い属性ごとの満足度を詳細に分析します。
・調査目的と分析内容にあわせて他の分析方法(クラスター分析、対応分析、共起ネットワーク分析、インタビュー調査等)も適宜採用します。
3.自由記述の量的質的分析:〇〇市へのご意見 (自由記述)
・せっかく調査を行っても分析が十分にできず主観的な結果の考察に留まってしまうのが「自由記述」です。KAYAKURAの調査の特徴は自由記述を量的質的両面から詳細に分析することです。
・社会科学分野で導入が進んでいる計量テキスト分析により数千の自由記述の傾向を視覚的に把握することが可能。難しい分析結果の読み取りや解釈、それに基づく考察提案まで行います。
・未訪問者認知度調査でも計量テキスト分析(この場合は共起ネットワーク分析)は有効です。例えば回答者属性に基づいて長野県内在住者と長野県外在住者に分類し、それぞれの移住記述を量的に分析することで県内在住者と県外在住者がいだくその地域へのイメージの共通点や異なる点を明らかにできます。こうした結果は観光戦略に即日応用できるものです。