わかりやすい観光インバウンド用語解説まとめ2-OTA・LCC・旅行業法など概論-

2003年に当時政権を握っていた小泉政権が「観光立国」宣言をして、早16年。2016年には訪日外国人旅行者数が過去最高の2400万人を記録した。本記事では、インバウンド実務主任者認定試験受験者をはじめ、観光インバウンドに携わる人、興味関心がある人が知っていたい用語を複数回に分けて解説していきます。第2回目の今回は、概論その2。その1に引き続き、観光インバウンドの学び初めに知っておきたい用語を解説します。

参考文献:インバウンド実務主任者認定試験 公式テキスト

OTA(オンライン旅行会社) オンライン上で取引する旅行会社

OTA(Online Travel Agent)とは、インターネット上で取引をする旅行会社を指します。従来の旅行会社は店舗を持っていましたが、インターネットの普及以降、店舗は減少。現在では、店舗での旅行販売は2割以下となっており、旅行販売のほとんどがオンライン上でのやり取りになっています。OTAの普及以降、24時間いつでも旅行の予約や券の販売ができるようになり消費者の旅行へのハードルが下がっています。OTAの増加が観光産業の活発化に与えた影響は計り知れません。

LCC(格安航空会社)

LCC(Low Cost Carrier)は、格安航空会社をさします。効率的な運営と低価格の運賃で消費者から人気を集め、旅行へのハードルを世界的に下げました。世界中でLCCが急激に増えた一方、競争激しい業務形態のため事業停止や経営破綻、吸収合併された会社も数多くあります。LCCが普及したことによる観光産業への影響は、消費者の選択肢が多様化したことです。今までは高くて訪れられなかった遠方の観光地を訪れるハードルが低くなり多様や階層が旅行を楽しめるようになりました。

観光行政 仕事の内容や役割は観光に関すること全般

観光行政とは、国や地方自治体が決めた観光に関する政策を実現するために、具体的なアクションを起こすことです。行動する施策自体を指すこともあれば、実施する観光協会や一般社団法人それ自体を指すこともあります。国が観光施策を行う場合は、2008年に設置された観光庁が実施主体となり観光行政となります。

日本政府観光局(JNTO 読み方は「ジェーエヌティーオー」

JNTOとは、外国人旅行者の誘致活動を実施する政府機関で、日本に限らず世界中の国々が政府観光局を主要なマーケットに設置し誘致を行っています。日本政府観光局(Japan National Tourism Organization:独立行政法人 国際観光振興機構)は、東京オリンピックが開催された1964年に誕生しました。国際交流を推進する国際交流基金に関連する団体で新宿四谷に事務所があります。

観光庁 訪日外国人やインバウンド対応含め観光に関するすべてを行う

観光庁は、国土交通省の外局の一つで、日本の観光立国実現に向けて、魅力ある観光地の形成、国際観光の振興、その他観光に関する様々な業務を行います。2008年に設置された比較的新しい省庁です。主な業務は以下の通りです。

  • 観光地及び観光施設の改善その他の観光の振興
  • 旅行業、旅行業者代理業その他の所掌に係る観光事業の発達、改善及び調整
  • 通訳案内士、地域限定通訳案内士、国際戦略総合特別区域通訳案内士、地域活性化総合特別区域通訳案内士及び福島特例通訳案内士
  • ホテル及び旅館の登録であり、主務局としてJNTO(正式名称:国際観光振興機構、通称:日本政府観光局)を配下に置いています。

旅行業務取扱管理者 観光を仕事にするなら必須 試験合格率は国内が約4割、総合が約10割

旅行業務取扱管理者は、ツアーや観光事業を提供する際に各営業所ごとに必ず1人設置しなければならない監督する専門人材で国家資格です。旅行業界に携わる人は必ずと言っていいほど通る道。国内旅行業務取扱管理者と総合旅行業務取扱管理者の2種類があり、国内だけか海外も含むのかでどちらを取得するか変わります。試験は年に1度。最近は合格率が高まっていますが、それでも国内試験が38%、総合試験が11%と難易度は高めです。受験を検討する場合は1年がかりでの準備が必要でしょう。

旅館業法 改正され民泊許可要件が変更 宿泊者名簿・宿泊拒否にも注意

旅館業法は、旅館業の適正な運営を促進するとともに宿泊者のニーズにあわせたサービスの提供を増やすために定められた法律です。旅館業法では「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を旅館業としており、簡易宿所営業として法律に則って民泊を行うことができます。しかし、旅館業法に則って民泊を行う場合は手続きなどがとても面倒なので、2018年に民泊新法を定めより民泊を提供しやすくなりました。宿泊者名簿の備え付けが義務で、迷惑客断りが民泊同様にホテルもできるようになりました。

民泊新法(住宅宿泊事業法) 問題点や規制が多い内容に困惑?

住宅宿泊事業法、通称、民泊新法は近年増加する民泊に対応するために新たに制定された法律で平成29年6月に成立しました。安全、衛生、騒音、ゴミ出し、近隣トラブルなど様々な問題に対応し健全な民泊サービスを普及させることが目的です。民泊を推進させる一方で、規制が厳しかったり事業者と管理者の2名が必要だったりと問題点もいくつかあげられています。自治体に条例があればそちらを守る必要もあるため、法律だけ遵守すればいいわけではないのも難しいところです。

通訳案内士(試験) 合格率が低いことで有名な国家試験

1949年から実施されている資格試験で、語学試験としては唯一の国家試験です。レベルはとても高く、英語検定1級と同レベルといわれています。英語の資格試験と大きく違う点は、英語だけでなく歴史や文化、政治、経済、観光産業、国際問題など試験範囲がとても広い点です。外国人旅行者の案内を行ったり、Webでインバウンド向けの情報発信をしたい方は取っておくと確実に信頼度が上がります。一方、国会試験の中で最も難しい試験ともいわれており、合格率は8~10%です。

IR推進法 別名「カジノ法案」とも呼ばれる理由とは

正式名称を「特定複合観光施設区域の整備の推進移管する法律」という平成28年12月に定められた法律です。カジノを含む統合型リゾートを整備するための法律のため、日本で禁じられたカジノ解禁とも関連する法律として様々な側面から議論がなされています。2019年現在、全国から数か所の都市が名乗りを上げており2020年代前半に日本初のIR施設が開業する予定です。IRは、日本の観光産業の弱点とされていた夜の観光の推進と、雨の日に楽しむ施設の充実、多額の消費を促す施設として注目を集めています。

観光インバウンド用語は常にアップデートされているので日ごろの情報発信が重要

観光インバウンド用語は、近年、急激に増加&変化しています。日ごろからニュースをチェックし新たな情報を身につけていきましょう。その際に意識したいのが、幅広い分野のニュースをチェックすること。観光インバウンドは様々な産業と関連するため、政治、経済、国際、地域など複数のニュースカテゴリーをチェックしないと情報をゲットできない分野です。幅広い分野の観光インバウンド知識を身につけ、観光のプロに近づいていきましょう。

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この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.