「人の視線が気になって落ちつかない」「毎日気をつかいすぎてつらい」
それは、HSPかもしれません。
聞きなれない人もいるかと思いますが、約5人に1人がHSP気質であるとされ、多くの人が生きづらさに悩んでいます。
今回は、まだ知らない人も多いHSPの概念と上手なつきあい方、これからの社会についてご紹介します。
HSPの概念と特徴
①HSPとは?診断の4つのポイント
HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、『生まれつき非常に強い感受性と、敏感な性質をもつ人』を意味する言葉です。
もともとは、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱したもので、おもに以下の4つにあてはまる人が、HSP気質とされています。
- 情報を深くつきつめて考える
- ささいな刺激にも敏感
- 共感力が高い
- 刺激や情報に対する感受性が強い
HSPさんはとても繊細で、普通の人が気にならない情報やささいなことにも、過剰に反応してしまいます。つねに頭の中のセンサーを張り続けている状態なので、こころがなかなか休まりません。
普通に生活しているだけで「生きづらさ」と「精神的な疲れ」を感じてしまうのです。
②特徴から見るHSPさんあるある
HSPさんは、周囲の状況に対してとても敏感。無意識に、表情やオーラからその人が考えていることを察知してしまいます。とくに複数人での会話や飲み会の席では、自分の意見を発することが苦手です。
人の感情や視線が気になりすぎて、具合が悪くなってしまうこともあります。異常なまでに人の視線やオーラを感じとってしまうのが、HSPさんの特徴です。
また、豊かな感受性をもつHSPさんは、自分と他人を切り離して考えることも苦手とします。悲しいニュースやドラマの映像など、たとえ自分に身に起きたことではないできごとでも、強く共感して傷ついてしまうのです。何日もその感覚が頭から離れず、気分が落ちこんだままの場合もあります。
自分と無関係のできごとに共感しすぎてしまうのも、HSPならではの特徴です。
HSPとの上手なつきあい方と自分らしさの選択
①そのままの自分を受け入れる
普段の生活で「生きづらい」「周囲と何かがちがう」と感じるのであれば、まずはそのままの自分の感情を受け入れてあげてください。
HSPさんは完璧主義な人が多いので、たとえ不安がおそってきても「甘えている、自分はダメだ、情けない」と気持ちにふたをして、乗りこえようとしてしまいます。
概要でも説明したとおり、HSPは生まれもった性質、いわばその人の個性です。
個性をおしころして日々を過ごすのは、どれほど苦痛なことでしょうか。いつかこころが悲鳴をあげて、自分が自分ではなくなってしまいます。
HSPについて正しく理解し、きちんと自分を受け入れて、正面から向きあうことが、HSPと上手につきあうための大切な一歩です。
②HSPは才能!けっしてマイナスではない
特徴だけをみるとネガティブなイメージが強いHSPですが、自分のものにさえしてしまえば生きていくうえでの強力な武器になります。
HSPさんは、ほかの人が見落としてしまうような、小さなものごとや現象に敏感に気づくことができます。これは、「仕事を細部まで手を抜くことなく、ていねいにやり遂げることができる」という立派な才能。
ほかの人に対して強い共感力を発揮してしまうことも、うらをかえせば、「相手のこころに深くよりそい、親身になって話を聞いたり、相談にのったりすることができる」という強みです。
HSPは自分の受けとり方しだいで、プラスにもマイナスにもどちらにもなりえます。上手なつきあい方とは、HSPの特徴を自らの力でプラスの方向へ働かせることです。
③自分らしさを選択する勇気を
いつまでも「生きづらさ」がこころに残るのであれば、思いきって新しい環境に飛びこむのもひとつの方法です。
HSPを理解することや自分自身を受け入れること、上手なつきあい方を研究することは、個人の努力しだい。いくらでもプラスの方向へと進めることができます。
しかし、現在の環境そのものが「生きづらさ」の原因だとしたら?いくら努力をしても根本は解決できません。知らず知らずのうちにこころが疲れて、結局自分らしさにふたをしてしまうでしょう。
「自分らしくいられる場所はどこか」「HSPを才能として発揮できる仕事は何か」
とても勇気が必要で、簡単に決断できることではありませんが、一度立ち止まって考えてみてください。
自分が自分らしくあるための生き方や、新しい働き方を選択する勇気をもつことも、HSPと上手につきあっていくために必要なのです。
HSPとこれからの社会
①HSPと社会の現状
HSPについての書籍が販売されたり、著名人がHSP気質であることを公表したりと、すこしずつHSPという言葉が社会に広がっています。
しかし、気持ちを理解されず、悩みを抱える人があとをたえないのが現状です。
周囲の人からは「気にしすぎ」のひと言で片づけられ、会社や学校で自分の居場所がないと感じたり、ますます自分のことが嫌いになったり。なかには、うつ病へ発展してしまうケースも見られます。
原因は、HSPの当事者と、当事者以外の人との間にあるギャップです。
当事者ではないから、HSPについて知らない。知らないからこそ、自分の感覚だけで「気にしすぎ」と決めつけてしまう。
現状を改善するためにはギャップを埋めること、すなわち、HSPについて正しく知り、社会全体で認識を高めることが重要なのです。
②当事者以外の人ができることとは?
「自分自身HSPではない」「周囲にHSPの人がいない」という場合、HSPの概念は無関係と考えがちです。
しかし、5人に1人は存在するとされるHSP気質。現在はかかわりがなかったとしても、今後出会う可能性は十分に考えられます。
無関係と決めつけず、まずはHSPの存在を知ってください。
たとえ当事者の気持ちが理解できなくても、HSPの概念を知っていることで、適切なかかわり方を選択することができます。
無意識に「気にしすぎ」と発言することもなくなるでしょう。
HSPの当事者とのギャップを埋めるために、そして誰もが生きやすさを実現するために、HSPの概念を社会全体で受け入れる必要があります。
③多数派よりも自分らしさ
現在の社会は、多数派をより高く評価する傾向があります。多数派とは、「高校から大学へ進学、大学卒業後は企業で会社員として働く」のように、昔からより多くの人が歩んでいる道のことです。
社会全体がHSPの概念を受け入れるためには、「多数派だから良い」という風潮をなくす必要があります。
HSPさんの多くは、多数派の枠に収まることが苦手です。自分らしさを発揮できない、生きづらいと感じてしまいます。
たとえ多数派ではなくても、才能がある人はいますし、自分らしい生き方を体現することは可能です。自分らしさに多数派も少数派もありません。
恐れずに、「多数派だから良い」という固定観念から脱却しましょう。ひとりひとりの意識の変化が、社会全体の風潮や環境を変えることへとつながっていきます。
多数派よりも自分らしさを重要視する社会へと変化できれば、HSPさんをはじめ、多くの人が生きづらさを感じることなく、生きていくことができるのではないでしょうか。
HSPは新しい生き方の先駆者
すべての人同士が理解しあうことはとても難しいです。HSPがあたりまえの概念として、社会に浸透するのも時間がかかるでしょう。
HSPさんは、人とすこしちがう才能をもっているからこそ、常識にとらわれずに別の視点から、ものごとを見つめることができます。まさに、新しい生き方を体現する先駆者です。
どうか恐れずまっすぐに、自分らしい生き方を見つけてください。
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