Go To Travel キャンペーンが迷走に次ぐ迷走をしている。17日午前、赤羽国交相は観光支援事業「Go To Travelキャンペーン」について、重症化しやすい高齢者や若者の団体旅行や、宴席を伴う場合は「利用を控えてほしい」と説明した。
また東京都内の宿泊や東京都在住者を提唱から除外することも決定。さらに須賀官房長官は「キャンセル代金は特別な対応を行わず、旅行会社に判断いただく」と、キャンセル料の徴収については旅行会社側に一任することを示した。
一体、誰のためのGo To Travelキャンペーンなのか。一体、誰が変わり果てた姿のGo To Travelキャンペーンを求めているのか。7月17日以降に発表されたGo To Travelキャンペーンの変更方針とその影響をまとめ考察していく。
7月21日追加情報:政府の観光支援事業「GoToトラベル」で、旅行を取りやめた人のキャンセル料について政府は、事業者に対しキャンセル料の最大3割程度となる「実損相当額」を支払う方針を固めた。
Go To Travelキャンペーン 東京と発着の旅行を対象外に
赤羽国交相は東京と発着の旅行についてGo To Travelキャンペーンの対象外とすることを表明した。事前に都への説明は無かったとのことで東京都の幹部からは「政府による都への嫌がらせではないか」との声も。
東京都のここ数日の感染者数は以下のように推移している。東京都は全国の感染者数の約半数を占めることから除外することにした説明があった。東京都での感染が落ち着いてきたあとにキャンペーンを実施する見通しと発表したが、例えば今後他の都道府県でも増えてきた場合にはどうするのだろうか。これは東京都だけの問題ではない。
7/9 224
7/10 243
7/11 206
7/12 206
7/13 119
7/14 143
7/15 165
7/16 286
7/17 293
数字だけをみると感染者数は増えているように見える一方で、PCR検査をしている人の数自体が4月5月よりも圧倒的に増えているためそこまで警戒する必要はないのではという声も。一部都道府県からはすでに東京都がGo To Travelキャンペーンの対象外になることを受けてのキャンセルが増えているとの情報もあり、一瞬だけ観光事業者や旅行関係者に期待させた政府の罪は重い。
Go To Travelキャンペーン 高齢・若者の団体旅行を対象外に
赤羽国交相は、新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすい高齢者や若者の団体旅行、宴席を伴う場合は「キャンペーンの利用を控えてほしい」と表明した。説明にお夜と宴会を開く場合は50人以上のケースを想定しているとのこと。
年齢や団体旅行音人数については具体的な線引きは示されなかった。
Go To Travelキャンペーンの二転三転する方針は、都道府県が独自に実施しようとしている政策にも影響を与えている。なぜならGo To Travelキャンペーンがどこまで対象になるかによって県のものと併用化にするかどうかや、独自施策をいつから実施するかに影響があるからだ。一部都道府県の首長からは「独自施策の邪魔をしないでほしい」との声もある。
Go To Travelキャンペーンキャンセル料は旅行会社に一任
菅官房長官は今回の決定に伴うキャンセル料の徴収について「キャンセル代金は特別な対応を行わず、旅行会社に判断いただく」と表明。これは事実上、旅行会社に一任したことになる。本来は旅行会社を救済するものになるはずだったGo To Travelキャンペーンだが、こうなってくると一部早めに対応していた業者はダメージを負いかねない。
新型コロナウイルスによって広まる分断と今後の影響
Go To Travelキャンペーンは新型コロナウイルスによって深まる分断をわかりやすい形で顕在化している。感染者数の急増を「東京の問題」と発言してきた菅官房長官に対し、小池氏は「むしろ国の問題」と反論してきたが、この政府と東京都との分断の構図がGo To Travelキャンペーンにもそのまま影響したようにみえる。
また東京都の感染者が増える状況に対して一部の道府県知事からは懸念の声も上がっていたため、表向きには言わないものの地方道府県知事からするとホッとしているところもあるかもしれない。ここにも新型コロナウイルスによって深まる地方と都市の分断が見え隠れする。
地方道府県からは政府への批判の声も上がっている。独自策によって観光の復興を行いたいにも関わらず、政府の方針が決まらないためなかなか実施することができない状況にある。地方道府県と中央政府の分断がここにある。
英断と断定によって強い政権・強いリーダーシップを発揮してきたようにみえる安倍政権だが、社会的な危機が生じている中での本当のリーダーとはリスクを引き受けて国民に誠心誠意理解を求め協力を求めるリーダーではないだろうか。今回のコロナ関連の対応は「責任を逃れ」「説明を逃れ」すべてを国民の自己責任としているようにしか残念ながら見えない。もちろん誰にも正確な将来は描けないため失敗はある。しかし失敗したとしてもその後に誠意ある対応をすることは誰にでもできる。
今回のGo To Travelキャンペーンでの一連のごたごたは今後、他の分野でも起こるゴタゴタだろう。政府の二転三転と弱いリーダーシップによって良くも悪くも「国民の自立意識=自分でどうにかしないと誰も助けてくれない」という感情は高まっているが、これは政府に対して「あなたたちは必要ない」という意見の表明だともいえる。これは国民だけでなく自治体も同意見だろう。「自己責任」と言いつつ「深く干渉」することにそろそろ区切りをつけなければ、今後も同じ過ちを犯す。「自己責任」だというのであれば、国民を自治体を信頼して最低限の支援にとどめ「任せる」ことが必要ではないだろうか。
ちなみに、一般社団法人全国旅行業界の会長が二階俊博氏であることもこのGo To Travelキャンペーンの一連のゴタゴタに影響を与えているのではないかという声もある。いま1度「誰のためのGo To Travelキャンペーン」なのか、救いたい人をこの制度で救うことができるのか、考えてほしいものである。
・TRAICY, 「Go To トラベルキャンペーン」、東京除外によるキャンセル料補填せず 旅行会社に一任
・共同通信社, 高齢、若者団体はGoTo対象外.
・GoTo東京除外、都に説明なし