社会化は社会学や心理学の分野で用いられる用語です。しかし実は社会学において社会化は2つの意味を持っています。この記事では2つの用法の違いとポイントを具体例とともにみていきます。
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ジンメルによる社会化とは?
1つ目は、ジンメル,G.が提唱した「社会化」です。ジンメルは、社会とは心的相互作用によって構成されると言います。心的相互作用とは、表面上の相互作用(視線を交わすだけとか、すれ違うだけとか)ではなく、互いが心から他者に働きかける相互作用を指します。そして、この心的相互作用による関係性の構築によって「社会的なもの」ができるというのです。
ジンメルはこの過程を「社会化」と名付けました。
形式と内容とは?
ジンメルはさらに、社会化の「形式」と「内容」を区別します。少しややこしくなってきたので、一つずつみていきましょう。
ここでいう「内容」とは、一定の目的や一定の衝動のために成立するものを指します。例えば、僕が良く例に出す地方にありがちな例でみてみましょう。「何度も訪れるうちに、とある街がどうしようもなく気に入ったので仕事を辞めてとりあえず移住してみた!」みたいなのは、一定の衝動と目的達成のために行われたことなので「内容」です。
対して、「移住してから、地元に昔から住んでいる人と自治会のルールの在り方について対立してしまった」「衰退している自治会をよりよくするために知恵を出し合い地元の人と協力した」などの「対立」や「協力」は、内容や登場人物に関わらずあらゆる場面で当てはまる型なので、こちらを「形式」と呼びます。
この場合、形式は内容なしには存在しません。しかし、内容だけから社会が生まれるわけではなく、形式をとることで社会が生まれます。ジンメルは、社会学の特徴は、この形式を研究する点であると述べます。経済や宗教、政治といった内容ではなく、それらに共通する「社会化の形式(formen der Vergesellschaftung)」を研究するのが社会学なのです。
パーソンズによる社会化とは?英語ではSocialization
こちらの社会化には「人が成長するのに伴って、その社会にふさわしい価値観や態度を習得していく過程」を指す意味があります。
アメリカ社会学の大家であるパーソンズ,T.は、「子供がなぜ、個人で自由でありながら社会に適合した行動をとるようになるのか?」を考えました。そこで、彼は「社会に合った行動」=「社会に存在する規範を内面化することで成り立つ」=「社会化」と考え、これが社会が長く続いていくために大切であると考えました。
あえて、先ほどのジンメル的な言葉を用いれば、社会化は相互作用の安定のために重要であると言えます。
パーソンズの社会化は学習の意味
こちらの社会化には社会おける逸脱への傾向を未然に防ぐ予防的なメカニズムの役割もあります。なので、こちらの社会化は参考書等では「社会化(学習)」と表記されます。どういうことかというと、例えば子供がお店にある商品を勝手にポケットに入れて家まで持ってきてしまったとします。このとき、親は大抵の場合は怒るでしょう。そして「怒られた」とき、子どもは「そうか、こういうことはやってはいけないんだ」と知ります。この瞬間に、子どもの逸脱を防ぐための社会化=学習がなされたと言えるでしょう。
まとめ-社会を学ぶのにおすすめな本-
今回は2種類の「社会化」についてみてきました。社会学では、同じ言葉だけど用いる社会学者によって意味が異なるということはよくあります。片方の意味を辞書や参考書で調べると、大抵はもう一つのほうの意味も出てくるのでセットで覚えるのがおすすめです。KAYAKURAではこのほかにも社会学用語の解説記事を書いています。興味がある方はぜひ以下の記事もご覧ください。
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