相対的剥奪とは「現在の状態と期待している状態の間のギャップ」のことを指します。1982 年にフランスの社会学者レイモン・ブードンが定式化したモデルです。具体例を参照しながら意味を理解していきましょう。
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相対的剥奪とは?
相対的剥奪とは「現在の状態と期待している状態の間のギャップ」のことを指し言葉で、相対的剥奪は社会の不満の発生を説明するために用いられます。現実の状態と期待している状態のギャップ=相対的剥奪が大きいと人間はどうなるでしょうか?この状態は不満が大きい状態であると言えるでしょう。
不満が大きいということは、「こんな社会じゃだめだ、変革だ!」という気持ちになり集合行動(デモなど)に参加する可能性が高くなります。現実と期待の差が大きければ大きいほど、激しく大きい集合行動に結びつく。その極端な最終形態が革命であると言えるでしょう。
大規模な集合行動が起きやすいとき
デービーズ,J,Cという学者は、ロシア革命やフランス革命など実際の集合行動の分析を通して、ある理論を打ち立てます。それは、「長期的な経済成長が続いたのち、急激に発展が低下する場合に最も革命や大規模な集合行動が起こる」というもの。
長期的に経済成長が続くと、人は心の中で「この先も、経済は成長し続けるだろう!」と希望を蓄積していきます。しかし、ある時を境に急激に成長は低下していきます。そうすると、みんなは「え!? この先も成長が続くと思っていたのに低下!? そんなバカな!」と思いますよね。
このとき、1人1人の相対的剥奪感はMAXになります。なぜかというと、経済が成長すると思っていたので理想はとても高い状態、対して現実では経済は急激に低下していくので現実はとても低い状態になります。その結果、理想と現実のギャップがとても大きくなり相対的剥奪感が大きくなるのです。
その結果、個々人の相対的剥奪感の高まりは彼らを集合行動へと駆り立てます。「みんな、この社会、この政府をどうにかしよう」と。その結果、大規模な集合行動や革命が起きるのです。
この理論は、全体としては経済成長しているのに大規模な集合行動や反乱がなぜ起こるのかを説明するための理論として広く用いられました。長期的にみると経済は成長している、しかし、ある時、急に低下する。この低下は長期的にみれば成長している中でちょこっと沈むだけかもしれませんが、ギャップは大きくなるので、全体として経済成長していても大規模な集合行動や反乱がおきるのです。この理論は、公民権運動や学生運動が盛んだった1960年代に人気を博しました。
相対的剥奪論のその後
しかし、そんな相対的剥奪論は1970年代後半から批判されます。
1960年代の学生運動や公民権運動に参加したインテリたちは、社会運動=大きな集合行動が情動や非日常性によって発生するという相対的剥奪論に基づく集合行動論はよくないと言い出します。
彼らは、それよりも目的を達成するための合理的な手段として社会運動を捉え組織や戦略、メディア、戦術、専門家の役割を重視し、運動が始まる盛り上がり収束するまでを、実際に社会にある資源がどの程度投入されるかやどのような戦略によって起こったかを説明しようとしました。それは資源動員論と呼ばれ、日本では1980年代の住民運動などに大きな影響を与えました。
個人個人の情動よりも、日常的な社会的ネットワークとかのほうが社会運動が発生する過程では重要であると資源動員論は説いたのです。
まとめ-相対的剥奪を学ぶためにおすすめの本-
ということで、今日は「相対的剥奪」と最後のほうで少し「資源動員論」を取り扱いました。相対的剥奪論は1970年代に批判の対象になったものの、その考え方やロジックは今日も全く色あせていません。逆に、合理的に戦略的に資源を動員し社会運動を作り出そうという資源動員論のほうが時代に合っていない感じさえします。KAYAKURAでは他にも社会学用語の解説記事を公開していますので、興味ある方はぜひ読んでみてください!
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