卒業論文の書き方をわかりやすく解説-文系大学院生が卒論の疑問に答えます-

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学部最終年度に課される試練、それが「卒業論文」です。いざ書き始めようと思ってPCの前に座ったものの「書き方がわからない!」「何から手を付ければいいかわからない!」という方は多いはず。そこでこの記事では現役国立大学大学院生の筆者が、

  • 卒業論文の書き方・構成
  • 卒業論文を書くための先行研究を読む方法
  • 卒業論文の書き方で注意しないといけないこと
  • 卒業論文を書くときにおすすめの本
  • 卒業論文のテーマの決め方

などをわかりやすく解説していきます。テーマによってはより丁寧に書いた記事のリンクを貼ってあるので、ぜひそちらの記事もご覧ください。

そもそも卒業論文とは何か?レポートの違いは?

卒業論文とは学部生が最終学年で作成する研究成果をまとめた論文です。文系学部の中には一部卒業論文が必須ではない大学もありますが、多くの大学が卒業論文の提出を卒業の条件としています。つまり卒業論文は「4年間学んできたことの成果を示す文章」であり、1年間時間をかけて準備してやっと完成する程度の質の高いものが求められます。

学部時代に何度も書いてきた「レポート」と卒業論文の違いは「テーマ設定」と「独自性」の有無です。通常レポートの場合は教員があらかじめテーマを決めていたり、もしくはテーマを自由に設定して書いたりします。しかし卒業論文では自分で0から研究するに値するテーマを決める必要があります

またレポートが参考文献などを調査してまとめても及第点がもらえるのに対して、卒業論文は先行研究を参考にしつつ自分で設定したテーマに合わせて独自性の高い研究を行わなければなりません。つまりレポートがただのまとめでOKでも、卒業論文はただのまとめではNGなのです。

「そもそも論文とは何?」という方はこちらの記事でわかりやすく説明しているのであわせてご覧ください。

卒業論文はテーマが命

私が卒業論文を書くときに指導教員に言われたのは「卒業論文はテーマが命だよ。だから多少時間がかかっても妥協してはいけない」ということでした。これは卒業論文を書くすべての人が念頭に置いたほうがいいことだと思います。

では一体、卒業論文のテーマはどのように決めればいいのでしょうか?ここでは卒業論文のテーマを決めるうえで大切なこと&事前にやっておきたいことを5つ列挙します。ポイントは「自分が興味関心をもてることで、かつ自分にしか書けないものをテーマとして選ぶこと」です。

  • 1年間興味関心が持続する卒論テーマを選ぶ
  • 当事者性の高い「自分にしか書けない」卒論テーマにする
  • 絞りすぎと思うくらい卒論テーマは絞るべき(※広げすぎない!)
  • Google ScholarやCiNiiで先行事例を調べる
  • あえて興味関心とちょっとズレた本や論文を読む

詳しくは卒業論文のテーマ設定について分かりやすく解説したこちらの記事をご覧ください。

卒業論文の本格的な執筆前の5月6月段階で研究計画書の提出を求める大学もあります。現時点で決まっているテーマや方向性・参考文献を書いて提出するのが研究計画書です。研究計画書の書き方を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

卒業論文を書く前にまずは先行研究を読もう

卒論のテーマを決める前後で必ずやらないといけないのが先行研究の調査です。先行研究とは「過去にすでにされている研究」のことです。先行研究を調べることが重要な理由として以下のようなことが挙げられます。

  • 自分が考えたテーマは研究するに値するものか確かめるため
    (自分が考えたテーマが既に十分に論じられていて書きようがない場合は、研究テーマを変える必要がある。逆に先行研究が少なすぎる場合にも研究ができずにあとで苦労することになる)
  • 自分が考えているテーマを研究する方法や視角が学べる
  • 自分が論じたいことを補強する研究が見つかる

「では一体、先行研究はどのくらい調べればいいのか?」という疑問に対しては、私の経験では「研究テーマと関連する本(主に学術書)を20冊以上、論文を20本以上読む」と、卒業論文の場合は自分が目指すべき方向がなんとなく明確になると思います。大変ですが先行研究をいかに多く調べたかが論文の質を左右するといっても過言ではありません。

先行研究は以下のような方法で調べることができます。ぜひできる限り早い段階から読み進めていきましょう。

  • 読んだ論文や本の参考文献表の中から次に読む本や論文を見つける
  • 図書館で関連する書籍や雑誌を探す
  • 卒業論文の指導教員に相談する
  • Google ScholarやCiNiiなど論文サイトに知りたいキーワードを打ち込んで探す

先行研究を読む際に大切なことは「批判的に検討すること」「疑問を持つこと」です。なんとなくさら~っと読んで「おもしろい内容だった!」ではダメで、その先行研究で明らかにされていないことは何なのか、それっぽく説明しているけれど実は間違っている箇所があるんじゃないかというスタンスで読むことで、自身の卒業論文に有効に生かしていくことができます。先行研究を読む際はぜひ、印をつけたりメモを取ったりしながらあとで気づきがわかるようにしましょう。

卒業論文の文字数

これまで多くても数千文字のレポートしか書いたことが無い学部生にとって、卒業論文で戸惑うのが文字数です。何文字以上書かないとダメというルールはありませんが、一般的には20,000文字~40,000文字が目安とされています。

A4サイズの用紙の場合、1行に40字×30行=1,200文字でだいたい1ページ埋まるので全く図表が無かったとするとA4で16枚~33枚ほどとなります。ここに図表・参考文献・参考資料が加わると50Pを超えることも普通にあります。

注意点として、卒業論文の文字数を通常カウントする際には参考文献・タイトル・氏名・学籍番号・学科・目次・引用先リンクなどは文字数に加算されません。逆にいうと参考文献や補足資料の量に制限もあまりないので、必要な場合は文字数や枚数を気にせずにしっかりと補足を加えましょう。

卒業論文の文字数に関する疑問や悩みについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

卒業論文の書き方・構成

卒業論文に限らず「論文」にはある程度決まった書き方=構成があります。しかし「100%この形式で書けばOK」もしくは「この形式で書かなければならない」というものもありません。大学やゼミごとにルールが決まっていることもあるので周囲の人に聞いてローカルルールを事前に把握しておきましょう。ここでは一般的な論文の書き方(構成)と、各部分の簡単な説明を記します。

  1. 概要
  2. 導入
  3. 先行研究
  4. 本論
  5. 評価
  6. まとめ
  7. 参考文献

1, 概要

概要とは論文全体を数百文字でまとめた内容を指します。初めてあなたが書いた論文を読む人は、まず初めに概要に目を通し興味ある分野かそうではないか、おもしろそうかおもしろそうじゃないかを判断します。先行研究~まとめ・結論まですべて含めて簡潔に書きましょう。

2, 導入

導入では、筆者がこの研究を通して解決すべき問題の背景やその問いの重要性を説明します。この研究を通して何を明らかにしたいのか、なぜこの研究をしようと思ったのか、この研究は社会的にどのような意義を持つのか、などを導入では書きましょう。

3, 先行研究

先行研究では、あなたが研究するテーマに関連する既存の研究とそれらの問題点、未解決点を取り上げます。先行研究はあなたが目標とすべきラインであると同時に超えるべきラインでもあります。先行研究は称賛するだけでなく批判的視点をもって記述することが大切です。

4, 本論

本論ではあなたが論文を通して提案することの概要と、それを検証した方法を具体的に記述します。「仮説」を明確に示し正しく「検証」したことを読む人に伝えるために、できる限り詳細に丁寧に書きましょう。

5, 評価

評価は、本論で検証したことがもともとの仮説をどの程度解決したのか、先行研究の問題点をどの程度乗り越えられたのかを評価し考察するパートです。当初の仮説の検証が失敗しても成功しても誠実かつ客観的に評価を行いましょう。

6, まとめ

本論文の成果を分かりやすくまとめる部分です。ここではあなたが書いた論文では乗り越えられなかった問題点や課題も記載し「私はここまで明かすことができたが、ここは分からなかった、次の人よ頼む!」と未来へのバトンを渡しましょう。もしあなたが同じテーマでさらに研究を深堀するのであれば、そのバトンを受け取るのは未来のあなたです。分かりやすく誠実に書きましょう。

7, 参考文献

参考文献はあなたが論文を執筆するうえで参考にした書籍や論文、オンライン上のページ、新聞記事などを指します。参考文献に載せずに文章を引用するのは盗みです。必ず参考にした文章は調べる段階からまとめ論文の最後に載せましょう

参考文献の書き方は論文執筆時によくわからない点の1つです。まず大前提として「卒論の参考文献の書き方は学問分野によって異なります」。驚かれるかもしれませんが、理系と文系でもルールは異なりますし大学によっても指定される書き方は異なります。

私は「すべての論文で統一された参考文献の表記はないので、面倒かもしれませんが担当教員に聞く」ことを強くおすすめします!オンライン上で調べて正しい方法を知ることは残念ながら難しいです…(あとで書き直しとなると相当面倒!)参考文献の書き方やルールについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

卒業論文の書き方で注意すべきこと!

最後に卒業論文の書き方で気を付けるべきことを列挙します。ルールやマナーとして知っておいたほうがいいものから、間違えたら一発アウトなものまであるので卒業論文を提出する最後の最後まで気を付けてください。

語尾は”~である””~する”を使う

文章の文尾は、”~です”, “~ます” ではなく、“~である”, “~する” を使う。 また、”~だろう”, “~と思われる”, “~のようだ” などのあいまいな表現は避けて、 “~である”, “~と考えられる”, “~と予想される”といった断言的な言い回しを使うようにしましょう。

データは常に2か所以上に保存

PCで書く際はデータを2か所以上に保存しましょう。私は卒業論文執筆時にPC内とGoogle DriveとUSBの3か所に同じものを保存していました。これは万が一データが消えたときのためのリスクヘッジです。

提出時は余裕をもって準備する

卒業論文の提出は余裕をもって準備しましょう。特に提出時期は多くの学生が印刷機を使うため、印刷時に印刷機が故障するトラブルが多発します。ギリギリになって機会トラブルで提出が遅れた!なんてことがないようにしましょう。

剽窃(コピペ)は絶対NG

剽窃(コピペ)は絶対NGです。引用する際は引用箇所を参考文献・引用文献で正しく記しましょう。また後でどこを引用したかわからなくなることを防ぐために、引用箇所は随時メモするようにしましょう。

読みやすく書くことを心がける

卒業論文は自分の学問分野に詳しくない人が読む可能性もあります。他の学部の生徒でも読んで理解できるくらいの文章で書くことを心がけ、見やすくするための努力(改行・句読点をバランスよく使う。図や表で視覚的に示す)を心がけましょう。

卒業論文の書き方が学べるおすすめの本

卒業論文の書き方を解説した本はたくさん出ていますが、ここでは私が実際に卒業論文執筆時に読んで役に立った本を紹介します。特に1冊目の『新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)』は私が現在籍を置く一橋大学でもおすすめしている本で、私自身もどれか1冊買うならまずはこれをおすすめします!

最後に-細かい卒業論文の書き方・進め方は大学によってルールが異なる-

卒業論文の書き方は大枠は大学関係なく共通していますが、細かい卒業論文の書き方や進め方は大学によって異なります。オンライン上で調べられる情報量には限界があるので、わからないことがあったらネット検索とあわせて必ず指導教員に聞いてみるようにしましょう。そして、もしも指導教員とネットの情報で異なる点があったら指導教員の指示に従いましょう。あなたの卒業論文執筆が成功することを祈っています!

KAYAKURAでは「卒業論文に関してこういう記事も書いてほしい」というリクエストがあればできる限り応えたいと考えています。リクエストがある方はお問い合わせフォームからご連絡ください。

参考資料
・早稲田大学政治経済学術院 須賀晃一研究室:レポート・卒業論文の書き方
・明治大学:卒業論文の書き方

この記事を書いた人

Masato ito

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。2019年からは都内の企業と地方の企業や自治体をつなぐ新たな取り組みも開始。訪日観光客向け観光情報発信サイトNAGANO TRIP運営。池田町第六次総合計画審議委員。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など寄稿多数。2019年4月から東京都国立市と長野県池田町の2拠点居住実践中.